浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



あんかけ豆腐、かぶのつゆ

12月12日(水)夜



今日は、あんかけ豆腐。



なにを食べようか夕方から考えていて、
決めていた。


寒いし、温かいもの。
そして、ダイエット?。


温めた豆腐にとろみのある餡をかけたものだが、
今どき、あまり家庭では食べないもの、
ではなかろうか。


私もそうだった。


随分前だが、この日記を書き始めて、
池波作品に登場する料理を作ってみていくうちに、
あんかけ豆腐にたどり着いた。


鬼平だと、清水門外の火盗改役宅の濠端に出ている
茶飯の屋台で出す、あんかけ豆腐と燗酒。
それを同心の木村忠吾なんぞが夜、こっそりやる。


まあ、そんな場面、で、ある。


まったくなにも入っていない豆腐の
あんかけ、なんというのが、うまいのか、
若い頃は、そんな風にしか思えず、メニューの再現でも
後の方であった。


なにも入らないので、餡の出汁がポイントであろうと、
最初、乾燥椎茸のスライスを使ってみた。


やってみると、これがなかなかうまい。
そして簡単。


以来、冬には思い出したように作っている。


帰り道、いつものハナマサで絹ごし豆腐を三丁。


むろん、そんなにはいらないのだが、
三丁、100円なので。


帰宅。


あ!。


蕪。


先週であったか、蕪が安かったので
一束かっておいて、そのままになっていた。


これも、食べなければ。


同じようなものだが、蕪もつゆにしようか。


まずは、あんかけ。
乾燥椎茸スライスを鍋に入れ、
水を入れ火にかける。


蕪の方は、だしをかえて、ちょっと中華風。
干し海老、それから、干し貝柱もあったので
これも1個。
干し海老のだしで作る冬瓜のスープがあるが、
そのイメージ、で、ある。


水から入れて、火にかけておく。


蕪は大きいのが3個あるが皮をむいて、
1個はスライスして、塩漬けにでもしよか。


ボールに入れて、塩でもんで、昆布をちぎって
混ぜ込んでおく。蕪は2〜3日はかかるであろう。


残りの蕪は一口に切って、干し海老の鍋に入れて煮る。


椎茸の方は、今日は鰹も、加えよう。
網(お茶の急須に使っていた網)に鰹削り節を詰め込んで
椎茸の鍋に入れておく。(弱火)


豆腐の方は、一度温めるので、鍋に湯を沸かし、
一丁を半分に切って入れておく。


椎茸のだし。


だいぶいい色になっている。


鰹削り節の網はあげて、味付け。
しょうゆ、濃口と、薄口両方。
酒、みりんも少し。ちょっと味に深みが出るので
ニョクマムを一たらし。


煮立てて、味見。


豆腐が淡泊なので、濃いめの方がよい。
薄口しょうゆを足す。


水溶き片栗粉を回し入れ、かための餡にする。


OK。


蕪の方。


冬瓜のスープがイメージなので、煮崩れる寸前まで
煮込んだ方がよいだろう。


燗をつけるために火鉢の用意。


火熾しでいつものように炭を熾し、火鉢へ。
鉄瓶もガスで熱くする。


OK。


豆腐が温まれば、準備完了。


皿に豆腐を入れ、スライス椎茸ともども
餡をかける。


一先ず、これで一杯。


火鉢の鉄瓶で燗をつける。






ふむふむ、なかなかよい出汁が出ている。
椎茸だけでも十分だが、鰹が加わるとよりよい。


半丁分食べて、蕪の方の様子をみる。


よい具合に柔らかくなっている。


ふと思い立ち、残り物処理。
冷蔵庫にあった、カニカマを細かく切って入れてみる。


味付けはしょうゆ、酒。
海老と貝柱からよいだしが出ているので
これで十分。





見た目はなんだか、似たような感じだが、
蕪の方はコクのあるコンソメスープのような
感じになった。(カニカマは人工のフレーバーが
付いているので、ちょっと余計だったか。)


もう一本、酒。


豆腐ももう半丁。
(結局、さらに半丁。一丁半、食べてしまった。)


出汁がよければ、あんかけ豆腐もうまいもんである。


あたたまった、あたたまった。