浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



ぬた

dancyotei2006-04-24

4月23日(日)夜


先日、読者の方から、わけぎで、ぬた、を作った、
というようなメールをいただき、
(もちろん、内容はそれだけではないが。)
どうも、ぬた、が食いたくなっていた。


ぬたというものも、冬にはあまり食べたいと思うようなものでもない。
こうして暖かくなってくると、うまそうな感じがするものである。


ぬた、の定義は、ねぎ、または、わけぎ、と魚介類の酢味噌和え。
膾(なます)の一種、と、いうことになるらしい。
(それにしても、ヌタ、とは、妙な音(おん)である。なんだろうか。)


一緒に入れるのはなにがよかろう。
いわしの刺身、が、思い浮かんだ。


夕方、御徒町の吉池へ出かける。


今日は第一食は、浅草馬道に新しくできた、極太麺のラーメン屋
ハッスルラーメン。落語の稽古がてら徒歩で行ってきた。
拙亭から、ぶつぶついいながら、馬道あたりまで歩くと20分程度である。
稽古にはちょうどよい距離。


ラーメンはかなり量があったので、腹が減らぬ。
結局、夜が第二食、ということになった。


さて、吉池についてみると、いわしはもとより、
刺身にできそうな青魚は、ない。
(今日はやけに品数が少ないように思われた。)


あさりむきみ(千葉産)、が、少し安くなっている。
これでよいか。


わけぎは佐竹商店街みかわや、というスーパー。
(ここは、筆者が以前住んでいた、葛飾区の四つ木が
本店という、ちっちゃな、ちっちゃな、下町のスーパーである。
もちろん、安い。)


“こねぎ”というブランド名の付いている
千葉産のもの。¥100。これは安い。


わけぎ、として、ちゃんとしたものを買ってしまうと、
大量にある。少量でよいのである。
これは水耕栽培らしく、量も少なめでよいかもしれない。
ついでに、谷中も。


と、見ていると、開いた生の穴子が四本も入って¥300弱、
なんというものが目に入った。これは安い。煮よう。


帰宅。


ぬた。


まずは味噌。


白味噌赤味噌八丁味噌)を合わせる。
白味噌だけの方が上品なのだろうが、筆者はこちらの方が好み。
酢、砂糖を合わせておく。


穴子を煮る。
水から、砂糖、しょうゆ酒で、煮る。
10分弱。


煮上がった穴子は上げておき、残ったつゆは、
煮詰め、ストックしてある、例のツメ(鮨屋の甘いタレである。)
と合わせ、さらに煮詰めておく。


穴子は、きゅうりをツマにする。
皮をかつらむきにし、千切り。
水に晒しておく。


ぬた。
いつも難しいとおもうのだが、ねぎの湯通し。
今日は、湯に入れるのでなく、湯をかけるだけにしてみよう。
水が出てしまった、ねぎほどまずいものはない。


ねぎを切り、一応、熱の通りを考えて、太い部分と
細い部分を分け、別々に、湯をかける。
しんなりする程度。湯をかけた後は、冷水をかけておく。


ついでに、浅利も湯通し。


準備完了。


盛り付け。


ビールを抜いて、食べる。



ぬた。


いつも難しいとおもうのだが、ねぎの湯通し。
やはり、湯をかけるだけで十分である。
大成功。このくらいの、硬めがよい。
あさりも、赤味噌の方がうまいように、思う。



穴子


もちろん、口の中でとろけるような、などという、
鮨屋のものとは雲泥の差があるが、
こんなもんでも十分にうまい。
安かったが、千葉産で、いたって普通の穴子であった。


なんということもないが、
ちょっと、江戸前っぽい、つまみ、で、満足である。