2月11日(金)建国記念の日 第二食
「梅安先生。腹ぐあいは、どうですかね?」
「少々・・・」
「何か腹へ入れておきなさるがいい」
半右衛門が仕度をしたのは、蕪の味噌汁であった。
乱切りにした蕪を煮くずれるまで煮た、熱い味噌汁で、
これを炊きたての飯にかけて食べる。九州のほうでは、
これを「船頭飯」というのだそうな。
「こりゃあ、旨い」
梅安は二杯もお代わりをした。
池波正太郎著 梅安冬時雨―仕掛人・藤枝梅安 から
「師走の闇」 講談社文庫
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またまた、引用で恐縮である。
先日から読み返している仕掛人、藤枝梅安シリーズ、
いよいよ、最終巻である。
池波先生の、人気3シリーズである、鬼平犯科帳、剣客商売、
仕掛人・藤枝梅安、は、すべて、未完である。
つまり、作品全巻の完結を見ないで、他界されている。
(細かくいうと、鬼平、梅安は、最後になった一編自体が、
書きかけで、終わっており、絶筆といってよいのであろう。
剣客は、最終巻「浮沈」のさらに最後の一編「霞の剣」は
完結している。)
どのシリーズも、最終巻に入ると、
未完であることを知っているため
重苦しい気分で読まなければならない。
また、ストーリーも、先生の晩年の体調を反映しているような
暗さ、のようなものを、感じてしまう。
また、この梅安の最終巻には、
食い物のシーンが少ないような気もする。
(数えたわけではないが、おそらくは、当たっているであろう。)
そのなかでも、冒頭に引用させていただいた、
蕪の味噌汁の、ぶっかけ飯。
これは、うまそうである。
蕪は、味噌汁にしても、すぐに、煮え、煮崩れる。
作ろうと思わなくとも、できてしまう。
料理ともいえぬものでもあろう。
先生は、「九州のほう」と、書かれているが、
肥前船頭飯、というものが、あるようである。(詳細は不明)
簡単であるが、出汁だけは、ちゃんと取ろう。
鰹削り節で、濃い目に取る。
蕪は、葉を取り、皮を剥き、乱切りにする。
3個分を、出汁に入れ、煮る。
残った蕪は、葉とともに、昆布も入れ、塩もみ、
重石をして、塩漬けにしておく。
蕪はすぐに煮え、煮崩れる。
いい頃合で、味噌を溶き、葉っぱも少し、刻んで入れる。
飯は、冷蔵庫にあった冷や飯を丼で、レンジ加熱。
汁をかける。
食べる。
かき混ぜると、蕪は、サクサクと、崩れる。
サラサラと流し込む。
お代わりはしなかったが、
滅法旨い。