浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草弁天山美家古寿司 その2

4539号

引き続き、浅草[弁天山美家古寿司]。

つまみをもらって、にぎり。
昨日は、すみいか、まで。

白身

鯛。

ここの鯛は、湯引き。
湯引きというのは、鱗を取って皮目に熱湯をかけ、急冷する。
これは別段、江戸前に限った手法ではなく、日本全国、
和食に共通して行われるだろう。皮を残した方がうまい。
なぜであろうか。
皮がうまい。皮と身の間に脂がある。そんなところ、で、
あろうか。
やはり、厚切りが特徴だろう。

次は、平目。

これも、ここでは定番。昆布〆。
鯛もここでは、昆布〆にすることもあるが、平目の昆布〆は
まず必ずある。逆に昆布〆でない平目は置くことは、ほとんど
ないかもしれぬ。
もちろん、水分が抜け、昆布のうまみが足される。
また、置くこと自体でうまみが増えるということも
あるのかもしれぬ。

いか、白身ときて、光物。

小肌、から。

子持ちというくらいで、随分大きい。
半身で握っている。
ただ、味はよろしい。
なぜであろうか、小肌というのは、身が薄いのが
うまい、のである。
それで、子供が珍重される。

次は、鯵。

ここの鯵は、軽く〆る。
今は、東京の鮨やで、〆るところはまずない、だろう。
〆るのは、冷蔵設備のなかった頃のものではあるが、
必ずしもそうではない。
鯖も〆るが〆ると、まだ別のうまさが生まれる、というのは
皆さんうなづけることであろう。鯵も同様。
生もうまいが、〆たものもまた、別のうまさがある
のである。

そして、しまあじ

これも厚い。
これに限らないが、サクのものは厚く切ってにぎる。
この店の特徴である。
プリっと、堅めの歯応えと適度な脂ののり。
厚く切るのは昔からのことなのであろう。

次は、鰹。

たたき。
いや、これ、かなりうまい。
たたきだと、生とは違って、多少時間が経った?
ような印象かもしれぬが、左に非ず。
みずみずしさが、堪えられぬ。
鰹というのは、鮮度が命だと思うが、職人の目利きと技
でしか食べられないうまさ。

そして、これ。

なんだと思われようか。
これは、ぶり。美しいではないか。

脂はのっているが、適度でよろしい。
若親方に聞くと、太平洋らしい。

富山のものは今年はやはり、見ないとのこと。
富山湾の漁業が従前に早く戻ってほしい。
だが、若親方もいっていたが、太平洋でも
うまいぶりは獲れる。温暖化で北海道でもたくさん
揚がっているのは周知のことではある。
それはそれで、うまく食べればよい。

次は、海老。

小型の車海老、さいまき海老だが、甘酢に漬けて
あるのがここの江戸前仕事。
そして、内儀(かみ)さんが好きなおぼろを
たっぷりはさんでくれる。

次は、平貝。

やはり、あれば必ず食べたくなる。
貝の中では別格に思うのである。
このサクッとした食感が堪らない。
味も貝らしくない、かもしれぬ。
貝らしい貝は、私はもう一つ、なのである。

ここ数年少なかったのだが、このところ、ここでも
見られるようになってきた。少し持ち直したのか。
調べるとやはり天然ものの漁獲量は減少の一途。
風前の灯火といってよい量のよう。

完全養殖技術の研究開発も進んでいるようだが、
まだ、大きくはなっていないよう。
好物!、是非がんばっていただきたい。

そして、まぐろ。
明日はここ、休みなので、種の数が少なめなのだが、
赤身と赤身のヅケがあるよう。

両方もらった。
赤身。

やっぱり、このぶ厚さ。

ヅケ。

こちらも赤身のヅケなので、やはり、かなり近い。
ともかくも、濃厚なあまみ。

最後は、海苔巻。

干瓢に内儀さん用におぼろ入り。

そして、玉子とおぼろ。

以上。

いつも通り、うまかった、うまかった。

勘定は内儀さんと二人で28,380円也。

ご馳走様でした。

 


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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浅草弁天山美家古寿司 その1

4538号

4月6日(土)夜

さて、ちょっと間があいた、か。

今日は、お馴染み、浅草[弁天山美家古寿司]

月イチではきたいのだが、タイミングが合わなかった。

予約して、18時。

東京の桜は満開。

この浅草、上野界隈も、名にし負う上野公園、隅田公園
むろんのこと、お寺の境内、学校、どこといわず満開。
観光客とみえる白人のおじさんが、お寺の桜が覆う
塀の脇で一人佇んでいたりするのを見ると、やはり
多少の奇妙さもありながら、ちょっと微笑んでしまう。

このところ雨で肌寒い日もあるのだが、今日は花曇り、
と、いうのであろうか、最高気温15.1℃(0時59分)。

日が暮れると、やはり肌寒いので、薄いコートを
羽織って、出る。

馬道伝法院通りの交差点でタクシーを降りて、
向かう。
このあたりも観光客でごった返している。

暖簾をくぐり、ドアを開け、入る。

おや、今日は親方の顔も見える。
このところ、夜は親方の姿はなかったのだが、
珍しい。
親方、若親方に挨拶。
コートやらを預け、若親方の前に掛ける。

カウンターもテーブル席も埋まっている。
やはり、親方の登場はお客が多いからか。

キリンビールでいいですか、と、若親方。

あ、はい。

ビールがきた。

(ちょっとピンボケ)
お通しは、北寄の切れ端の甘酢漬け。


と、こんなものも出してくれた。

なんに見えようか。

はらわた?、あるいはなにかのエラ?。
これ、小肌の玉子だそう。
甘辛に煮含められている。

若親方は、やはり、この時期小肌はもう大きく、
真子白子を持っているのも出てくるという。
それを煮たもの。

小さくて、言われなければ、玉子であることは
わからないが、なかなかうまい。

小肌という魚はもちろん、小肌で食べるのは、
生まれてから1年以内程度。つまり夏まで。
だが、小肌は、さらに大きくなって、鮗(このしろ)に
なり、なん年生きるのであろうか。少なくとも
3年以上は生きるのか。
大きく、コノシロになると江戸前にぎりには使えない。
値段が急落し、未利用魚として問題でもある、という。
大味になるのだが、骨も堅くなるらしい。
かといって無理矢理にぎりしてほしくはない。
なにか手はないものだろうか。

ともあれ。

つまみ。

掛けた目の前のショーケースに、たこ。
このところ、わりに見られるように思う。

江戸前の真蛸。
毎度書いているが、それを江戸前の技で拵えている。

食べたことのない方がいたら、絶対に一度は食べてほしい。
いわゆるゆでだことは色が違うのがお分かりになろうか
より、濃い。赤、ピンクよりも臙脂(えんじ)に近い。

下半分は塩で、上半分は甘いたれ。

元来は甘いたれを掛けることが多かったのであろう。
これもうまいし、そのままの真蛸の味がわかる、
塩もよい。

もう一品。

これも目の前にあって、うまそうだったので
もらった。

蝦蛄(しゃこ)。

わさびだけで、といって出された。

しょうゆ味の出汁に漬けてある。
この出汁感がすごい。
味が付いているので、わさびのみでよい、という
ことであろう。

ゆで具合というのか、しっかりした食感、
歯触りも、よろしい。

鮨やの蝦蛄というのをあまり食べてこなかった
と思うが、このところ、食べている。

蝦蛄というのも江戸前で昔から食べられている
と思うが、改めてうまいものと思う。
ゆでたものが流通していて、それが普通だと
思うが、ここでは、やはり生を買って店でゆでて、
つゆに漬けておく。水分が抜けずパサパサにならない。
そういうことか。

つまみを終えて、にぎりへ。

最初は、例によって、いかと白身

いか、から。

もちろん、すみいか。

目の前にショーケースにあるのを見いても
10cmほどであろうか、むいたもの。
随分と大きい。

だが、やはり、適度な歯応えと柔らかさ、
そして、あまみがちゃんとある。


つづく


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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吾妻橋やぶそば 本所吾妻橋、駒形橋界隈

4537号

4月5日(金)第一食

さて。
なにか、そばシリーズのようになっているが、
今日は吾妻橋[やぶそば]

ちょっと、久しぶり。

以前は吾妻橋東詰めのアサヒビール側の通り沿いに
あったのだが、今は駒形橋の東詰めにある。

現代の地図

今回も少し昔のことを書いてみたい。

以前(上記21年のページ)に江戸の地図を出したが
今日は、明治の地図を出してみよう。

明治30年(1897年)

「東京一目新図」

明治30年厩橋はできているが、駒形橋は関東大震災後の
建設で、まだない。ここは駒形の渡しという渡し舟。

隅田川沿いの通りは江戸の頃から変わらずあるが、
清澄通り・浅草通りはまだない。
この界隈斜めの通りが多いがこうした細かい町割りは
現代と見比べるとやはり江戸の頃の名残のよう。

吾妻橋は江戸の頃は東橋という表記だが、隅田川
掛かる五本目の橋で、浅草と本所を結ぶランドマークと
いってよろしかろう。江戸期はもちろん木製だが、
できたのは安永3年(1774年)で田沼時代、江戸も中頃。
落語にも多く登場するが、やはり代表は「文七元結」であろう。
三遊亭圓朝作で作られたのは明治だが、設定は江戸。
若者の身投げを左官の親方長兵衛が止める舞台。
吾妻橋明治20年(1887年)に鉄橋だが橋板が木製
のものに架け替えられ、今のものはやはり震災後の建設。

余談だがこの「文七元結」の長兵衛の住まいは噺の中では
“本所達磨横丁”と言っている。本所達磨横丁の実際の場所は
ちょい南の東駒形一丁目に今もある実相寺付近のよう。
噺の中ではもう少し吾妻橋に近そうだが、こんな距離感である。

さて。
この界隈、もう一つ書いておきたいのがビール工場。
前にも一度書いた気もするが、まあ、よいだろう。

今、こんなところにビール工場があったというと驚く人も
少なくないのではなかろうか。
明治の地図に書き入れたが、ここは吾妻橋袂でランドマークに
なっている、今のアサヒビール本社と墨田区役所の一郭。
なんと昭和60年(1985年)までここでビールを作って
いたのである。そしてそれが、今のアサヒビールの本社
ビル群などになったというわけである。

ここにビール工場ができたのは明治33年(1900年)。

よって、ほんとは、上の明治30年の地図に書き入れるのは
正しくはないのだが。
この時、ここは札幌麦酒の東京工場としてできた
のである。

え?。サッポロ?、アサヒの間違いではないの?、
と思われよう。これ、間違いではないのである。
最初は札幌であった。どうしてアサヒに変わったか。

明治中に札幌麦酒は合併により大日本麦酒に名前が変わり、
さらに、戦争中、国策でビールは一つのブランドに
なったりもしている。
そして、戦後大日本麦酒は、GHQ財閥解体政策により、
朝日と札幌に分割され、元札幌のものであった吾妻橋工場は
朝日麦酒に所属することになったというわけである。

私自身、子供の頃はこの界隈に住んでいなかったので、
ここにアサヒの工場があったのを記憶してはいないが
写真を見ると、吾妻橋袂の壮観な姿であったよう。

やはり、大きなランドマークであったろう。

閑話休題
吾妻橋[やぶそば]で、あった。

ここは、昼のみ、15時までなので、早めにきた。
駒形橋を自転車で渡って、13時半前に到着。

ほぼ満席、入れ替わりを待って、相席で着席。
客層は、近所のサラリーマンのお昼というよりは、
わざわざきている感じであろうか。
この雰囲気であれば、酒をもらってもよい、で、あろう。

座ると、水が出る。
最近はそばの実の温かいお茶を出すところも多いが、
元来はそばやは水を出すものであった。
日本茶はそばの香りと合わないから、と聞いたことがある。

今日は少し肌寒いので、ぬる燗で。

やぶそば伝統の菊正宗。
また、お通しの、黒いそば味噌も。

つまみは、鴨ぬきを頼んだ。ここは珍しく、天と鴨の
ぬきが、品書きに載っている。

鴨ぬき。

小ぶりな丼。
これもなかなか熱い。
ゆずが浮いて、長く切ったねぎ、三つ葉、脂の付いた鴨肉。
つくねが入っているわけでもなく、まったく、シンプル。
ここはやはり、これがよい、だろう。
つゆが、じんわりと、うまい。
この味が、菊正に合うことこの上ない。

食べ終わる前、そば。
もりが、大、中、小とあり、中を頼む。

単純に中は、もりが二つ。

つゆをそば猪口へ。

微妙だが、細めではなかろうか。
色も、微妙だが、気持ち薄めか。
そして、かなりシャッキリ、堅めにゆで上がっている。
つゆもこのあたりのしょうゆの勝ったもの。
やっぱり、これでなくてはいけない。

よい喉ごし。

夢中で手繰る。
このふた山、どうしてなかなか量がある。

食べ終わり、勘定をして、出る。

ご馳走様でした。

ここ、土日は列、とも聞く。
距離的にはむろん、遠くはないのだが、
なかなか橋を渡ってまでこない。
ウイークデーなら、よいかもしれぬ。

 

 

墨田区吾妻橋1-11-2
03-3625-1550

 

 

 

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南稲荷町・手打ち蕎麦・志づや

4536号

4月1日(月)第一食

ここ、知らなかった。

自家製粉、挽きたて打ち立て、とのこと。

稲荷町というのは、むろん旧町で、東上野二丁目。

最寄り駅は新御徒町稲荷町か。
拙亭ご近所だが、場所を説明しずらい。
近くに目印になるようなものがないので。

清洲橋通りの西、春日通りの北の一郭。

マンションやら住宅も混じるオフィス街といってよいか。

こんなところに、こんな店が、と思える玄関。

驚いた。
完全な路地、通り沿いでないので、まったく気付かなかった。

開店は一昨年2022年でそれ以前は、蕎麦打ち教室で
あったよう。

夜の営業もあるのだが、昼行ってみる。

昼の営業時間は14時までと早い。

拙亭から清洲橋通りを渡って自転車なら5分も掛からない。

最近、私もあまり使わなくなった言葉だが、
“趣味そば”といっていた。

趣味のそば。なんとなくお分かりになろう。

藪だったり、砂場だったりの、老舗系でもなく、
または老舗の暖簾分けの町のそばやでもない、
趣味のそばや。
最近だと西浅草 [ひら山] に行ったがそれに入る。
もちろん、有名店も多数あるが、凸凹もあることも事実。

13時頃到着。そこそこ席は埋まっている。

お嬢さんが愛想よく迎える。
あいていたテーブル席へ。

最初なので、一杯呑もうと思ってきた。

広島の亀齢(キレイ)という名前の、辛口純米。
初めて。冷(ひや)といったが、冷やしたもの。
味は少し軽く、呑みやすい。

お通しのようなものはなし。これ、趣味そばでは
よくあるか。そばやなら、付けてほしいが。

そばは、品書きの一番上にある天せいろ。
特上はなく、上、1,900円也。

比較的、すぐにきた。

これでもかなり大きな海老天。薄く切ったごぼう天も。

呑みながら海老天。添えられている塩で。
天つゆや、そばつゆではなく、塩で、というのも
趣味そばの特徴であろう。これ、どこが始めたのか。
別段わるいことではないが。
かなりしっかりした衣。ちょっと堅すぎる?。
ごぼう天はカリカリで、うまい。

そばの香りを、と書かれているので、つゆなしで
食べてみる。が、やはり、私、正直のところ、
違いのようなものは、わからないのである。

そばは細くもなく太くもなく、黒くもなく、
白くもない。とても標準的。ただ、多少短め。
短いのは手繰りやすくてよい。
わさびを箸につまみ、手繰る。
つゆは、濃いめ。これは、この界隈下町の味に
近いが、気持ち甘味が勝っているか。
だが、十分うまいそば。

そば湯は写真左の器にテーブルに置かれている
そば粉を自分で入れて、お湯に溶いて作る。
意図はよくわからぬが。

お嬢さんはとても腰が低く、こちらが恐縮するほど。

ご馳走様でした。

4月3日(水)第一食

ご近所なので、書く前にもう一回食べてみることにした。
今日は雨、歩いて向かう。

今日は、酒はなし。
ちょっと見たことがないので、せいろだが
西京鴨せいろ(ロースト)1,500円也。

そばなのに、西京味噌のつゆ。
ニューウェーブ

入っているのは、鴨肉と焼いたねぎ。
黒いものが浮いているのだが、なにかを焦がしたもの?。
なんだろう、胡麻かとおもったら、違う。
細かく切ったねぎの焦がし?。わからぬが。

甘い西京味噌とそばが合うのか、というのかと
いえば、けっこう合う。まあ、甘辛なので?。
十分うまい。

そして、これ、鴨肉が絶妙のレアで、かなりのレベル。
低温調理かもしれぬ。
それもなかなかの量、入っている。
ここ夜は[さ和鶏]という名前で鴨肉料理店も
やっており、お得意か。

ただ、このつゆ、段々薄くなってくるのが気になる。
これは、味噌だから、ということもある?。
味噌の方が、薄く感じやすい?。
いや、そうでもなかろう。
しょうゆの甘辛でも薄くなると感じるものはある。
もう気持ち、濃くしてもよいのではなかろうか。
最初が濃すぎると感じない程度?。

だが、総じて、水準以上。
鴨せいろで、鴨肉たくさん。
これで、1500円は御の字であろう。

うまかった。

ご馳走様でした。
これだけのご近所。
よいかもしれぬ。

 

志づや

台東区東上野2-4-3
03-6284-4295

 

 

 

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立ち喰い鮨・浅草まぐろ人・雷門出張所 その2

4535号

さて。

引き続き、雷門の立ち喰い鮨[浅草まぐろ人]。

光物の二巡目、なのだが、やっぱりおもしろい
ものがあった。

太刀魚。
光物に入れるべきかどうか。
まあ、そもそも、刺身で食べる魚でもないのだが。
どこであろうか、東京湾でも最近は大きいのが
よく釣れるらしい。
従って、安いのか。

もともと、太刀魚は西の魚で、私が子供の頃、50年、
60年前には東京にはあまり出回らないものだった。
やはり、温暖化であろうか。
ともあれ、もちろん江戸前鮨のねたではなかった。

そして、もう一品、小鯛。
いわゆる、春子(かすご)鯛、で、ある。
若狭なども有名だが、江戸前鮨でも、これは昔からある。
光物に入り、〆てにぎってきた。
昨年も食べているが、ここでは、昆布〆で出される。

そして、大定番の小肌。

左から、小肌、太刀魚、小鯛昆布〆。

太刀魚は、塩とレモンを掛けますか、と、聞かれたが
味見のため、そのままにしてもらった。
淡泊だが、うま味があり、よい歯応え。

これ、なにかしているのかもしれぬ。
多少水分が抜けている感じ。
焼き霜(しも)などともいうが、バーナー?で
皮目を炙っている。または、炭ではなかろうが、ガスで
炙って、すぐに冷やして、皮を取る?。
なんとなく表面はそんな感じ。
お湯をかけて表面だけ加熱し、急冷するのを霜降りというが、
炙って同じ状態にするのを焼き霜という。
鰹の叩きなど、藁の火で炙るが、あれも焼き霜の
一種ということになろう。

小鯛昆布〆。
これ、どうなのであろうか。伝統的な春子の酢〆よりも
昆布〆の方が手間が掛からないということか。
普通の鯛では伝統的にやってきたもの。
水分が抜け、昆布のうま味が加わる。
まあ、これはこれでうまいとは思うが、
酢〆を越えてはいないように思う。
いかがであろうか。

小肌。
包丁を縦に入れ、半身。魚はかなりデカいか。
だが、身は薄く、十分にうまい。
〆加減もよろしい。
小肌は、身が厚くなるともはや小肌とは
いえなかろう。

ここで、ビールも呑み終ったので、
味噌汁をもらい、お茶に。

味噌汁は、浅利。

作る人によって、違う、と前に板さんの誰かが
言っていたのが耳に入ったことがある。
今日は心なしか、出汁が弱いような、、。

さて。

かわり種がまだある。
とはいっても、これはずっとあるか。

ふぐ、白魚。
そして、かわり種ではないが、平貝。
平貝は貝類では唯一好物。
サクサクとした食感がよろしい。
こうして長く切っているのはあまり見ないか。
いい感じ。

そして、4月に入るが、ふぐはいつまであったか。
昨夏のこの日記を見返すと、7月には食べていない。
6月にはふぐ白子だけ食べている。
さすがに夏にはなかったのか。
そして、このふぐ、なんであろうか。
とらふぐ?。私など、ふぐを長年食べているわけでもないので
まったくわからぬ。強い歯応えはふぐ、であるのは
わかるが、関東だととらふぐよりも、まだ、しょうさいふぐと
いうのが、一般的という。

白魚。
これは、茨城、青森あたりか、そろそろ終わりであろう。
江戸前鮨では、ゆでたものを昔から食べられてきたが、
やはり、生の軍艦がうまい。

随分食べたような気がするが、そろそろ、終盤。
ここでは、まぐろは食べておかねば。

ヅケと中とろ、といって出てきた。

これ、どう見ても、大トロ、であろう。
そして、厚切り。
ここで中トロはなん度も食べているが、こんなのが
出てきたのは初めて。(まさか間違えた?)
やはり、生、であろう。
さすがの、まぐろ仲卸経営。
極上。まさに堪えられぬ。

ヅケもよい塩梅。

最後は、海苔巻。

やっぱり、鉄火、細巻。

細巻だが、まぐろの太さ。

はち切れている。

ここの鉄火巻のまぐろは、実際には、時によって、
凸凹あると感じるのだが、今日は間違いなく、
みずみずしい生。

うまい。

あー、やばい。

調子に乗って、喰いすぎた。

かなりの、腹一杯。

ご馳走様でした。

勘定は、いつも4000円台のところ、
5000円台になってしまった。


浅草まぐろ人

台東区雷門2-18-12
03-3847-7139

 

 

 

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立ち喰い鮨・浅草まぐろ人・雷門出張所 その1

4534号

3月31日(日)第一食

開花宣言も29日に出て、やっと本格的に春、か。

季節が進むと、魚介類も変化する。

と、いうことで、鮨、で、ある。

[浅草まぐろ人]

3月の頭にきていた。

14時すぎ。

よい天気。
さすがにもうコートはいらない。
いや、それどころではない。
最高気温、28.1℃(13時32分)。
極端である。

雷門の立ち喰いは入れるであろうか。

相変らず、界隈はごった返している。

ガラス越しにのぞいてみると、一人くらいは
入れそうか。

開けてみる。

一人、というと、カウンターの一番手前が
開いているよう。

荷物をおろす。

おしぼりが出てくる。

手と顔も。
天気がよいと、やはり花粉がひどい。

ビールをもらう。ここは生のみ。

いつも通り、いかと白身から。

すみいか、活〆平目、鯛。

すみいか、というよりは、紋甲いか。と、いうのも
へんかも知れぬが、ともかくも大きいものであろう。
ただ、薄く切ってある。

平目も鯛もうまい、のだが、腹が減っていて、
なんだかバクバクと食べてしまう。

まあ、にぎりの鮨というのは、だらだら食べる
ものではない。そう、これは、池波先生の教えでもあった。
呑みながら、喋りながら、握ってもらったものを
いつまでもそこに置いておくのは厳禁、で、ある。

勘違いをしてはいけない。そもそも、そばやも同様だが、
呑みながらだらだらいるところではない。
酒なら一合、ビールは一本まで。
鮨やなら、あとはお茶。
酒が呑みたければ、居酒屋か料理やへ行け!。
おまけに、こんな立ち喰い、店にも迷惑である。

さて。
次は、光物だが、光物と白身の中間(?)から。

お!、やっぱり、顔ぶれが変わっている。
さより。
さよりの旬は春と秋、と聞くが、やはりこれを見ると
春になった気がする。

さよりは光物に普通入れるが、味はほぼ
白身、で、あろう。

と、いうことで、

白身と光物の中間。
さよりと、しまあじ、かんぱち。

しまあじ、かんぱちは、普通はどちらかといえば、
白身に入れるが、私は光物に入れたい。

さよりは、おろし生姜をのせている。

さよりだけ妙にちっちゃい。
魚が小さいのであろう。
この時期、さよりは脂がのる。
むいてしまう皮との間に脂がある。
皮だけ串に巻いて焼いたりしても、うまい、
のである。

しまあじ、かんぱち、も、ぷりぷりで、うまい。

次から正調、光物。

品書きホワイトボードの端から、いこう。
〆鯖、鰯、鯵。

光物=青魚、というのは、魚の中でも大好きだし、
にぎりの鮨でも、もちろん絶対的に欠かせない。
なぜか。
もちろん、うまいから。
そして、なにより安い。

また、光物は刺身もうまいが、にぎりに
するとよりうまい。これも大切なポイント、
で、あろう。

特に〆鯖というものは、棒ずしの京都はむろん、
全国にあると思うが、鯖は酢〆にしてうまいし、
酢飯との相性は抜群である。

ともあれ。

鰯も鯵も厚く切られている。
やはり、安い魚だからこそ、といってよかろう。
鰯は柔らかく、鯵はプリっとした食感。
光物のにぎり鮨として、十二分にうまい。

ここの〆鯖は、比較的水分多めに〆られている。
水分多めといっても生の部分があるわけではない。
きちんと全体に酢は入っている。
私が〆鯖を作っても最近はこんな感じであった。
たっぷりの塩で水分を抜いた後、酢100%ではなく、
水50%で割ったもので漬けている。
最近は皆こんな感じなのかもしれぬ。

そういえば、他の鮨やといえばこのご近所の
[美家古寿司]くらいにしか行かなくなったが、
あそこには〆鯖をあまり見た記憶がないような
気がする。本来の江戸前には〆鯖はないのか。
東京湾では鯖は獲れない?
今度聞いてみようかしら。


つづく


浅草まぐろ人

台東区雷門2-18-12
03-3847-7139

 

 

 

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とんかつ檍のカレー屋・いっぺこっぺ・秋葉原店

4533号

3月27日(水)第一食

カレーというのは、もちろん定期的に食べたくなる。
皆さんもご同様であろう。

スパイスカレーではなく、日本のカレー。

今まで、日本のカレーなら[日乃屋][ゴーゴーカレー
[上等カレー]の三軒のどこかであった。

どこでも、カツカレー。
やっぱり、カレーならば、カツカレーしか
あるまい。

それぞれカレーはうまいのだが、
ここを知ってからは、他の選択肢は
今のところなくなった。

とんかつ檍のカレー屋[いっぺこっぺ]秋葉原店

カツカレーだが、カツはとんかつ専門店の
ハイレベル。
カレーも十分うまい。
ロースのカツカレーで1200円。

前記の3チェーンと比べてもべら棒に高くはない。

さて。

今日は天気もよい。
最高気温、16.5℃(14時50分)。
まだ開花宣言は出ていないが、
本格的に暖かくなったといってよいか。
いや、明日はまた雨模様のよう。
もう少し掛かるか。

薄いコートを着て自転車で出たが、着くころには
もう脱いでしまった。

15時すぎ到着。
通し営業はありがたい。

入ると珍しく、珍しくお客はなし。
こんなこともあろう。

券売機でロースのかつカレーを買って、
カウンターの一番手前に掛ける、食券を
渡す。

ややあって、きた。

カレー、キャベツ千切り、ご飯、その上に
揚げ色は濃いめのロースのとんかつ。

ご飯とキャベツ千切りはおそらく型に入れて
盛り付けてある。
それで、どちらもかなりの大盛。

アップ。

厚いかつの断面。
ここは、ブレなく、薄ピンク。

当然のことだが、流石であろう。
タイマーなどは使っていないよう。

厚いロースにいつも差なく、ほどよく熱を入れるのは
よほど難しいことである。
油温の設定、調整、揚げている時間。

とんかつ、カツレツの名店ではそれぞれ、いろんな
方法を編み出して揚げている。
油温の違う油で二度揚げ、三度揚げ。
低温で長く。

それでも、毎日、毎回、同じではないのでは
なかろうか。
どうやって、程よい同じ揚げあがりを
見極めているのであろうか。
まったく、わからぬが。

いつも通り、小皿に塩を取って、つけて
かつを食べる。

そして、カレーはご飯と合わせて。

最後の一切れだけ、かつカレーにして食べる。

やはり、全部食べると、私にはかなりの量。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。

カレーが食べたくて、きたのだが、
やはり、かつを大事に食べることになる。

二倍愉しめる。

充実のかつカレー、で、ある。


とんかつ檍

千代田区外神田3-5-3
03-6384-0015

 

 

 

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