浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草弁天山美家古寿司 その1

4538号

4月6日(土)夜

さて、ちょっと間があいた、か。

今日は、お馴染み、浅草[弁天山美家古寿司]

月イチではきたいのだが、タイミングが合わなかった。

予約して、18時。

東京の桜は満開。

この浅草、上野界隈も、名にし負う上野公園、隅田公園
むろんのこと、お寺の境内、学校、どこといわず満開。
観光客とみえる白人のおじさんが、お寺の桜が覆う
塀の脇で一人佇んでいたりするのを見ると、やはり
多少の奇妙さもありながら、ちょっと微笑んでしまう。

このところ雨で肌寒い日もあるのだが、今日は花曇り、
と、いうのであろうか、最高気温15.1℃(0時59分)。

日が暮れると、やはり肌寒いので、薄いコートを
羽織って、出る。

馬道伝法院通りの交差点でタクシーを降りて、
向かう。
このあたりも観光客でごった返している。

暖簾をくぐり、ドアを開け、入る。

おや、今日は親方の顔も見える。
このところ、夜は親方の姿はなかったのだが、
珍しい。
親方、若親方に挨拶。
コートやらを預け、若親方の前に掛ける。

カウンターもテーブル席も埋まっている。
やはり、親方の登場はお客が多いからか。

キリンビールでいいですか、と、若親方。

あ、はい。

ビールがきた。

(ちょっとピンボケ)
お通しは、北寄の切れ端の甘酢漬け。


と、こんなものも出してくれた。

なんに見えようか。

はらわた?、あるいはなにかのエラ?。
これ、小肌の玉子だそう。
甘辛に煮含められている。

若親方は、やはり、この時期小肌はもう大きく、
真子白子を持っているのも出てくるという。
それを煮たもの。

小さくて、言われなければ、玉子であることは
わからないが、なかなかうまい。

小肌という魚はもちろん、小肌で食べるのは、
生まれてから1年以内程度。つまり夏まで。
だが、小肌は、さらに大きくなって、鮗(このしろ)に
なり、なん年生きるのであろうか。少なくとも
3年以上は生きるのか。
大きく、コノシロになると江戸前にぎりには使えない。
値段が急落し、未利用魚として問題でもある、という。
大味になるのだが、骨も堅くなるらしい。
かといって無理矢理にぎりしてほしくはない。
なにか手はないものだろうか。

ともあれ。

つまみ。

掛けた目の前のショーケースに、たこ。
このところ、わりに見られるように思う。

江戸前の真蛸。
毎度書いているが、それを江戸前の技で拵えている。

食べたことのない方がいたら、絶対に一度は食べてほしい。
いわゆるゆでだことは色が違うのがお分かりになろうか
より、濃い。赤、ピンクよりも臙脂(えんじ)に近い。

下半分は塩で、上半分は甘いたれ。

元来は甘いたれを掛けることが多かったのであろう。
これもうまいし、そのままの真蛸の味がわかる、
塩もよい。

もう一品。

これも目の前にあって、うまそうだったので
もらった。

蝦蛄(しゃこ)。

わさびだけで、といって出された。

しょうゆ味の出汁に漬けてある。
この出汁感がすごい。
味が付いているので、わさびのみでよい、という
ことであろう。

ゆで具合というのか、しっかりした食感、
歯触りも、よろしい。

鮨やの蝦蛄というのをあまり食べてこなかった
と思うが、このところ、食べている。

蝦蛄というのも江戸前で昔から食べられている
と思うが、改めてうまいものと思う。
ゆでたものが流通していて、それが普通だと
思うが、ここでは、やはり生を買って店でゆでて、
つゆに漬けておく。水分が抜けずパサパサにならない。
そういうことか。

つまみを終えて、にぎりへ。

最初は、例によって、いかと白身

いか、から。

もちろん、すみいか。

目の前にショーケースにあるのを見いても
10cmほどであろうか、むいたもの。
随分と大きい。

だが、やはり、適度な歯応えと柔らかさ、
そして、あまみがちゃんとある。


つづく


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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