浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・弁天山美家古寿司 その2

4435号

引き続き、浅草・弁天山[美家古寿司]。

つまみに、鰹と味の染みた蝦蛄。
にぎりにかえ、すみいか、鯛、平目昆布〆。

光物、小肌、まで。

まだまだ、光物、で、ある。

私は、とにかく光物に目がない。
あるものは、全部食べてしまう。

次は、鯵。

ちょっとおもしろい切り方である。
いつもこうであったか。
半身の身の間に包丁を入れて開いて酢飯を
はさんでいる、のか。

ここは、鯵も〆る。
軽く、ではあるが。

最初は酢洗い程度かと思っていたが、
若親方に聞くと、〆ている、と。

江戸前、特に古い江戸前を看板にしている、
例えば[美家古寿司]の流れを引くところでも
鯵を〆てにぎるところは少なかったのでは
なかろうか。

獲れてすぐの処理が進歩し、冷蔵設備が発達した今、
当然だが、状態のよい鰺はいくらでも
手に入る。もちろん、それもうまい。

ただ、〆たものは別物、として考えるべき
であろう。別のものとしてうまい、のである。

光物は続く。

次は、さより。

味はむしろ白身に近いが、さよりも光物。

これも〆てあり、鯵と同じように開いて
にぎってあるか。
気持ち水分が抜けてプリっとした食感が
うまい。

光物はここまで。

ここで、内儀(かみ)さんのリクエスト。

ここで海老ははずせない、と。

ゆでたさいまき海老。
若親方は内儀さんの好物を覚えていて、
おぼろをたっぷりはさんでくれた。

ゆでた海老ではあるが、ただゆでただけ、
ではない。甘酢に漬けてある。
これが江戸前流。
おぼろは、酢〆や酢漬けの種に使うのが
一応のルール。

次は、平貝。ガラスケースで見つけた。

貝の中では大好物。
このサクサクとした食感がよろしい。

次も、貝。
聞くと、ガラスケースには置いていなかったが、
煮はまが仕込み終わった、というので、
もらった。

煮はまといっているが、実際は煮ているのではなく、
漬け込み、と聞いたことがある。
甘だれも塗られちょっと蒲焼のよう。

次は、まぐろ二つ。

赤身。

ヅケ。

やっぱり、どちらも厚く切っている。
そして、どちらも濃厚。
熟成されたうまさ、というのであろうか。

漬けていない赤身が熟成された、というのは
妙ではあるが、そんな印象を与える。
うまいまぐろ、で、ある。

そろそろ、終盤。

内儀さんの玉子。

やっぱり若親方が、たっぷりのおぼろを
掛けてくれた。

なぜかわからぬが、とにかく内儀さんは
おぼろが大好物で、ある。

おぼろというのは、白身魚や海老などの身を
ほぐして甘く味を付けたもの。
手間もかかるし、東京の鮨やでも用意のある
ところは限られようが、江戸前鮨店特有のもの。

おぼろというのは、本来、和食の食材として
全国にあったものであろうが、東京の鮨やに
特徴的にあるのはなぜであろうか。

子供の頃あったでんぶのようなものなのだが
ここもそうだが、東京の江戸前鮨やのものは、
そこまでほぐしておらず、また、ほどのよい甘さ。
乙なものである。

最後は、海苔巻。

さび入りのかんぴょう巻。

わさびを入れるといってもほんの少し。
若い頃、呑む人だったら、こういうのがありますよ、
と、さび入りのかんぴょう巻を教えてもらった。
以来気に入って、ずっとかんぴょう巻には、
入れてもらうことにしている。
これも乙なもの、で、ある。

ここまで。

いつもながら、うまかった。

勘定は、ビールも入れて二人で
22,000円程度。

ご馳走様でした。

 

弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。