浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野・洋食・ぽん多本家

4365号

6月25日(日)夜

さて。
今日は、上野の洋食[ぽん多本家]。

先月は、一人でいかフライを食いに行った。

今日は内儀(かみ)さんの希望。

クリームコロッケが食べたいと。

一応今は、二人でも予約できるようになっているが、
制限があったりして面倒なので、直接行くことにする。
やはりここ、フリのお客を大事にしたい、という
気持ちが強い、のであろう。

最近、黒門町のことを書いているが、そう、
ここも黒門町。正確には、旧東黒門町

江戸、明治の地図を出した前のものもご参照されたい。

今の中央通り、上野広小路、江戸の頃は、御成街道、が、
クランクしていた。

今、中央通りは広小路交差点に向かって右にカーブを
しているが、どらやきの[うさぎや]の前を直進し
T字路になり右に直角に曲がり、再度左に曲がっていた。

明治になり右カーブができ、今、交番やビルがある
三角州のような部分があるが、明治はここはなにもなく、
道路であったよう。

[ぽん多本家]の創業は明治38年(1905年)。
店を開いたのが今と同じところかどうかはわからない。
基本、この界隈の区画は江戸以来碁盤の目である。
だが、[ぽん多本家]の前の通りだけ斜めになっている。
明治を見てもまだ、碁盤の目。
その後、どこかの時点でこの斜めの通りができている。
東京の街の区画は関東大震災後に狭い路地の拡幅や、
昭和通りといった大通りを作ったり、江戸開府
以来の再整理を行っている。
斜めにする、というむしろ逆のことに見えるが、
どういうことであろうか。

ともあれ。
五時ごろ到着。

二人、というと、お二階へ。

上は先客一組で、意外に、すいていた。

窓側のテーブルに案内される。

ビール。
お通しは、前にも出たことがあるような
気がするが、ポテサラ。

前にもそう思ったが、小さく切ったレンコンが
入っているよう。

さて、注文は。
内儀さんの、クリームコロッケ。
ここはカニ、ではなく海老。

それから、蛤バタヤキ。私はここではカツレツの次に
よく食べているだろう。

それから、品書きにはここの看板、タンシチューがある。
ない場合は品書きから消していることが多い。

聞いてみると、やっぱり、ある、よう。
頼もう。

蛤から、きた。

付け合わせは、揚げ物だとキャベツ千切りだが、
これはレタス。ドレッシングはしょうゆ系。
ちょっとしんなりしているのが、うまい。

そして肝心の蛤。名前通りバタヤキだが、粉を
振って焼いていると思うが、なかなか濃い。
これがうまい。
そして、蛤が大きくて、プリプリ。

海老クリームコロッケ。

切ってみると、

こんな感じ。
かなり海老が大きい。
そして、クリームは、比較的堅め。
思ったよりもさっぱりしているかもしれぬ。
そして、粒が大きなパン粉の衣が、サクサク。

そして、きた。
タンシチュー。

ナイフで切ってみる。

この厚み、二枚重なっているのである。

黒毛和牛の[ぽん多本家]厳選のタン。
むろん、ほろほろ、トロトロ。
コロナ禍中、よい牛が手に入らなくなり、
ずっとメニューになかった。

そして、このデミグラスソース。
これもなかなかさっぱり。

内儀さんが、ご飯を一つだけオーダー。

やはり、これにはご飯であろう。

デミグラスソースというと本来はフレンチで
濃く、苦みもある。
私は、この苦みがもう一つ、なのである。

根岸の[香味屋]などもそうだが、やはり、
洋食老舗系のデミグラスソースは、ご飯に
最適化されていると、いってよい、のでは
なかろうか。

うまかった。

かなり腹が一杯。

ご馳走様でした。

 

 

ぽん多本家

台東区上野3-23-3
03-3831-2351

 

 

 

 

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