浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野そば翁庵/新ごぼう軍鶏鍋

今日は二本。

4074号

4月19日(火)第一食

上野そば[翁庵]

夕方から、そばやで一杯。

こんな時に最もよいのが、ここではなかろうか。
上野の[翁庵]。

上野警察前。
木造の和建築の二階家。
戦後の建築だとは思うが、そばや然とした佇まい。
街のそばやだが、歴とした老舗。
1899年(明治32年)創業で、

かつそばが看板の神楽坂下の[翁庵

の暖簾分けという。

つまり、敷居も高すぎないのがよい。
ちゃんとしていながら、親しみやすい。
また、通しでやっているのもよい。

16時、硝子格子を開けて入る。
昼は食券制だが、この時刻は座ればよい。

いらっしゃい~~、
お好きなところへ~~、とお姐さん。

開いている奥のテーブルに掛けて、お酒ぬる燗と
看板のねぎせいろ。

ねぎせいろは、そばつゆに小さなかき揚げが
入ったもの。

酒がきた。

お姐さんは、そばはもうお作りしてもよろしいですか?
と聞いてくれる。
酒とそば、同時に頼んでも、タイミングをみてくれる
のである。
以前のそばやは皆、こういう気の使い方をするのが
あたり前であった。

はい、お願いします。

枝豆で一杯、二杯。

ねぎせいろもきた。

小さいかき揚げには、ねぎといかが入っている。

このかき揚げをつまみ、残りの酒を呑む。
かき揚げは入っているを、そばをつけずらい
というのもある。
呑み終わったら、そばを手繰る。

ここのそばは、年中ほんのり緑がかっている。
本来は、緑がかっているのは新そばなのだが、
あえて色を付けているのであろう。
以前、藪系はこうであったと聞いたことがある。

ともあれ。
うまかった。勘定をして出る。
ご馳走様です。
よいそばや、で、ある。


台東区東上野3-39-8
03-3831-2660


4月16日(土)夜

ごぼう軍鶏鍋

秋葉原ハナマサで、新ごぼう、と、書かれていたものを
見つけた。

ごぼう、といえば、鬼平の軍鶏鍋である。

なん度もなん度も、数え切れぬほど書いているので
もはや説明の必要もないだろう。
池波正太郎先生の「鬼平犯科帳」に登場する軍鶏鍋には
ごぼうの笹がきが入る。

東京下町に残っている軍鶏鍋やはいくつかあるが
ごぼうの笹がきを入れるところは、知らない。
池波先生は、どこからこれを持ってきたのか。
以前はあったのかもしれぬ。
軍鶏鍋というのは、以前は夏食べるものであった。
夏に元気を付けるための食い物。

今、新ごぼうといって売られているものを
あまり見たことがないと思うのだが、どうであろうか。

ごぼうの本来の旬は春植えて秋収穫であるが、調べると
秋に植えて春から初夏に収穫するのを新ごぼう
いうよう。
今は、ごぼうも年がら年中売っているので、もはや
なにが新なのか、いつが旬なのか、わからないのだが。

ともあれ、若く柔らかいのが新ごぼうでよいのだろう。
軍鶏鍋を食べる時期とも重なる。

鶏肉は安いこま切れといって売っているものと、
鶏レバーを購入。脂を出すために皮もあればよいのだが、
まあ、今日は簡略でよいか。
青みは、芹、春菊などがよいのだが、妙に高い。
安い小松菜に。

帰宅、これが新ごぼう

熊本産「菊池水田ごぼう」と書いてある。
水田で育てる冬ごぼう、とのこと。

笹がきにして、水に浸しておく。
包丁で切っても、かなり柔らかいのがわかる。

皿へ。

しょうゆに酒、砂糖を入れて割り下を作っておく。
カセットコンロに鉄鍋。

鍋へ。

こま切れから先に投入。レバーはすぐに食べられる。
笹がきごぼうも、先、割り下も投入。
そして、レバー、小松菜の順。
煮る。

ビールを開ける。
煮えたら食う。

正しい新ごぼう笹がきの軍鶏鍋、
やはり、うまいもんである。

 

 

 

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