浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



韓国 その3

dancyotei2018-04-26


引き続き、韓国出張。


ソウル郊外、一山(イルサン)の焼肉店


そして、生の熟成肉


そして、生の熟成肉


生肉の方は、塩と胡麻油ではちょいとぴんとこない。
別段、くさみなどがある、ということではない。
淡泊でちょっと物足りないといった方がよいか。


塩と胡麻油以外には、コチュジャンのようんもの2種、
にんにくの強いものとノーマルなもの。
さらには、チャンジャのような風味のあるタレ状のもの。


私の好みでは、最後のチャンジャ風が一番うまかった。


チャンジャというのは、唐辛子なども入った、
鱈(たら)の内臓の塩辛。
以前から私は好きで、むろん日本で、たまに買って食べてもいる。


このチャンジャからおそらく内臓は抜いて、タレというのか
調味液部分だけを取り出したものであろう。


我が国には、味噌としょうゆという万能調味料があって、
なんでもこれらで済ましてしまう。
これに対して、韓国料理では、我が国にあるような味噌、
しょうゆもあるのであろうが、唐辛子の発酵調味料である、
コチュジャンあるいは、こういった魚介類の発酵物、
塩辛から作った調味料も多数使われている。
一般にキムチにもアミの塩辛などがよく使われるし、
なかなか複雑な味覚世界である。


ついでなので、塩辛、魚醤など魚介系発酵調味料について少しだけ
考えてみよう。


日本にも塩辛に由来する、魚介系発酵調味料(=魚醤)というのは
秋田のしょっつる能登のいしる、など日本海沿岸にあるにはあるが、
限定的である。また、塩辛そのものを調味料にする使い方も我が国にも
あるにはある。しかしこれも限定的である。調味料のスタンダートには
発展しなかった。


一方、ご存知の通り、フィリピン、ベトナム、タイ、インドネシアなど
東南アジアはニョクマムナンプラーなど魚醤がメインの調味料に
なっている。
我が国では魚醤が発展しなかった代わりに味噌としょうゆが
発達した。(どちらが先かはわからないが。)


しょうゆは味噌から発展したものなので、一先ず同じものと考えて
よいと思うが、大豆などを原料とする発酵調味料、味噌の発祥は中国。
従って、中国から周辺各地域に伝播した。
ただ、我が国だけが、魚醤を含む魚介系発酵調味料は発展せず、
味噌が発展をした。
本家の中国でも味噌、しょうゆは日本ほどの発展はしなかった。
日本だけある種独自の発展のしかたをしているように見える。
この違いはなんであろうか。
そう簡単に結論は出ない。私の宿題にしよう。


さて、考察ついでに、もう一つ。
肝心の唐辛子のこと。
韓国料理のメインの調味料はなにかといえば、
唐辛子である。これに異を唱える人はあるまい。


毎度の疑問だが、なぜ朝鮮半島には唐辛子食文化が
根付き、日本には根付かなかったのか。
この問題である。


大航海時代、我が国では戦国〜安土桃山期、
唐辛子は朝鮮半島とほぼ同時にヨーロッパの貿易船によって
(中国経由?)もたらされたといってよいのであろう。
片やメインの調味料として定着したが、我が国には
七味、鷹の爪など、ごくわずかに使われるようになっただけ。
この違いである。
朝鮮半島は肉食、あるいは、気候的に寒いから?。
この二つがすぐに思い浮かぶのだが、本当にそうなのか。
朝鮮半島の冬も寒いが、唐辛子が栽培できて、
もっと寒いところは世界で他にもありそうである。
中国だって然りであろう。


だが、朝鮮半島ほど唐辛子がメインの調味料の地域は他にない?。


唐辛子の原産地メキシコ以外ではもしかすると韓国が最も
唐辛子を使っている国ではなかろうか。


が、調べると、さすがにそんなことはなく、インド、バングラデシュ
タイあたりが唐辛子1人当たり消費量のトップグループ。メキシコは
パキスタン、エジプトなどと並んで第二グループ。韓国はアメリカ、
トルコなどと並んで3番手グループ。ただ、韓国は日本の一人当たり消費量の
80倍だそうである。(出典 ちょっと古いが。)


これらの国々と比較すると、インドなどは他の香辛料も多量に使う。
韓国料理は、ほぼ唐辛子のみで、他の香辛料は使わないといってよいのでは
なかろうか。それで、目立つ、わけだし、やはり独自の唐辛子食文化
といって差支えないであろう。
だが原因はわからぬまま。またまた宿題である。


さてさて。


この日の宿泊は、金浦空港前のロッテホテル。


隣に百貨店などが入るモールもある。
が、まあ、夜寝るだけなのでほぼ関係はないが。


朝食をつけて、16,000円。
まあ、そこそこ。


帰り便は12:50なので、午前は部屋で仕事。


空港まで歩き、搭乗券を引き取り
出国手続き。


定刻出発。


帰りの機内食



行きはカレーだったが、帰りはビビンバ。


赤いチューブはコチュジャン
そして、胡麻油がついている。


隣の席に座った女の子は日本人かと思ったが
ビビンバのかき混ぜ方が、かなりうまい。
小さなこの器で混ぜるのは、難しい。
韓国人であったか。


スターウオーズを観終わって、羽田着15時。


さて。


初めての韓国。


あまりの近さに驚いたし、やはりいろんな意味で
一番近い隣の国であることを実感した。


他にいろいろ気付いたこともあったのだが、
また別の機会があれば、書いてみたい。