浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)
断腸亭料理日記本店
 

日本橋室町・蕎麦・利久庵

12月8日(金)夜


さて、金曜日。


会社帰り、お使い物の調達に日本橋三越に寄る。
ついでに、雨なのでなにか惣菜でも買って、家で食べようか。


三越前に着いたのが7時半。
日本橋三越の閉店時刻は、7時半であった。


目的のお使い物は買えたが、惣菜の方は、もうあらかた
目ぼしいものは売りつくされて、売り場のおねえさん達は、
お客が出ていくのを待っている趣。


こりゃぁ、だめだ。


実は、なにか買って帰る他に選択肢があった。
雨で、あまり歩きたくないので、三越に至近のところ。


そばや[利久庵]


[利久庵]であれば、中央通りを渡って
入ったところ。


ちょっと寒いかもしれぬが、納豆そばもわるくなかろう。
閉店時刻を念のため確認。
8時半ラストオーダー。
夜は呑む店であるが、それでもそばやらしく早いのか。


8時近く、到着。
傘を置いて、暖簾を分けて入る。


ほぼ満席に近いが、一人くらいは相席でも
入れるもの。


一番出入口に近いテーブル。
相席の相手は、ひょっとすると同年輩くらいの女性。
軽く会釈して座る。


お酒もよいが、ビールかな。


肴は、、、?。
品書きを見る。


ここは、肴も充実している。
二階、三階はちょっとした接待にも使ってもらおう
ということをうたっており、割烹風の料理もある。
おそらく、そばの職人だけでなく、ちゃんとした
和食の修業をした料理人もいるのであろう。
そばやのつまみ以上のものを出す。


酢の物なんぞちょっとつまみたいと思って、
みると、目に留まったのは、なまこ。
なまこ酢。


そして、そばはここへきたら、もう納豆そばしかあるまい。
同時に頼んでしまう。


ビールがきて、呑み始める。


ここにいつもくるのは昼か、夜でももう少し早い時刻。
そのくらいにくらべても、女性比率が、かなり高いように見える。


相席も女性だし、隣のテーブルも女性二人。


界隈のOLさんが仕事帰りに女性同士で寄っている
ということか。


相席の女性は、サワーであろうか、なにか大きなカップ
呑んでいる。


隣は、お茶のようだが揚げ出し豆腐を二人でつついている。


私が入った後も、どんどんとお客がくる。
二階も、地下もそこそこ満席のようで、
お断りモード。


なまこがきた。



なまこ酢、というのはちょいと久しぶり。
今、あまり、どこにでもあるというものでも
ないのかもしれぬ。


見た目もわるいし、若い人などは食べぬかもしれぬ。
酒の肴以外にはほぼ考えられぬものであろう。
そうそう上品なものでもないと思うが、
今となっては、ちょいと乙な酒の肴であろう。
いかにも酒呑みになったような気分になる。


隣のテーブルに、納豆そばが二つきた。
やっぱり、隣も一品もらって、納豆そば。
室町や、本町のOLさんには調度よいのであろう。


おっと、こちらにもきた。
相席のおねえさんも、同じ納豆そばであった。



今日改めて気が付いたが、削り節の色が
かなりきれいである。
この赤味がかった色は、鰹節削り節の色である。


鰹節削り節というのは、東日本で使われている、
カビ付けがされ粉が吹いた鰹節を削ったもの。
さすが、元魚河岸という土地柄であろう。
ものもよいものなのではなかろうか。


名古屋では、きしめんなどによく山盛りに
のせるがあれはこれではなく、西日本のカビ付けを
されていない鰹節の削り節。(いわゆる花かつお
こちらを指すよう。)


からしとねぎを入れて、よくかき混ぜて、
食べる。
かき混ぜにくいが、やはりよく和えるのがポイントであろう。


隣の二人組の女性などは、お上品にレンゲに取りながら
食べているが、これはやっぱり器を手に持って、
ずるずるとすするのがよろしかろう。


納豆がのって、濃いめのつゆが入っている、いわゆる
ぶっかけ、なのであるが、これが抜群にうまい。


ここのそばは、色が薄めの、更科系。
更科系が納豆に合うのか?。


はたまた、つゆがそもそも納豆だけ違うのか。
あるいは、納豆そのものが違うのか。


毎度疑問に思うのだが、見ためにも食べた感じも
なんの変哲もないようなのだが、なにか技があるのであろうか。


うまい、うまい。


ズルズルと手繰り込んだので、
おねえさま方よりも早く食べ終わった。


お勘定をして、出る。


町のそばやよりも、上品でうまい。
だが女性にも敷居が低く親しみやすい。
ここ、日本橋室町、本町に合っているのか、
今更ながら他にないそばや、で、ある。







日本橋・利休庵






中央区日本橋室町1-12-16
03-3241-4006