浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



かじきバタ焼き

7月3日(日)第一食



さて、日曜日、第一食。



昨日、御徒町の吉池で鮎を買って、鮎飯と塩焼きにした

のであるが、同時にかじきの切り身を買っておいた。

宮城産、生めかじき。

煮付け用などとしてあるが、煮付けではなく、バタ焼きにする。

バタ焼き、と書いているが、

バター焼きの方が現代語としては正しかろう。

我々の子供の頃はまだ使っていたか。

バターのことを伸ばさずに、バタといっていたのは

いつ頃のことであろうか。

戦後もしばらく使ってたわけだが、

中心は戦前であろうか。

バタ焼き以外にも、バタ付きパン、なんというのも

あったような気がする。

むろん英語の、butter、であるが例えば戦前の英語の

発音のしかたが今とは違っていたのであろう。

余談だが、交通信号のことをゴーストップといっていたとか、

今では日本語に言い換えているが、戦前は

英語をそのまま使っていたようなものもあっておもしろい。

ともあれ。

バター焼きというよりは、バタ焼きの方が

うまそうな感じがする。

いや、実際に老舗の洋食やではバタ焼きといっており、

これが不思議とかなりうまい。

例えば、上野[ぽん多本家]の蛤バタ焼き。

人形町[小春軒]のカジバタことかじきのバタ焼き。

この二軒のバタ焼き、素材は違うのだが、

味は似ている。

バターの香りにしょうゆの風味。

ただ、ちょっと他にはない、

もちろん家庭でもできそうにない味、なのである。

洋食のバター焼きのレシピを調べてみる。

これが、なかなかズバリ、バタ焼き、らしいものは

ないのだが、洋食レシピとして、舌平目のバター焼き、

というのがあったので、これを参考に作り始める。

まずは塩胡椒。

胡椒は黒胡椒とあるので、粗挽きを使ってみる。

これで、10分というので、冷蔵庫へ入れておく。

その間に、付け合せ。

野菜室ににんじんがあったので、グラッセの準備。

切って、コンソメ、砂糖、バターに水を入れ、ラップ。

これでレンジの根菜下ごしらえモードに入れる。

それから、野菜室にあったモロッコインゲン。

一口に切って湯がいておく。

10分たったかじきは水分をペーパータオルでふき取り、

両面に薄力粉をまぶず。

余分な粉をはたき、フライパンにバター。

かじきを投入。

中火で片面、軽く焦げ目のつくまで焼く。

ひっくり返して、酒を入れ、湯がいたインゲンを投入。

ふたをして、2分。

ふたを取り、しょうゆをまわし入れ、

さらに30秒。

一応のところ、これで出来上がり。

インゲンとにんじんとともに、盛り付け。

実のところ、この表側はよいのだが、

裏側は、しょうゆとともに、ちょっと焦げてしまった。

味は?。

う〜ん、、、、。

これも[ぽん多]や[小春軒]と

かなり違う。

しょうゆもちょっと弱いようにも感じるが

これ以上いれると、もっと焦げるか、

水分を飛ばさないとべちょべちょになるように

思われる。

焼き上がった表面の感じも随分と違う。

今回のレシピは酒を入れて蒸し焼きという工程が

入っていたのだが、これがどうだったのか。

蒸し焼き工程が入ると、表面の小麦粉は

パリッと仕上がらないのではなかろうか。

[ぽん多][小春軒]はから揚げのように、

とまではいかないが、かなり硬くなっていたと

思われる。

単純なものではあるが、やっぱりこれは

かなり難しい。

洋食の正調バタ焼き、どなたか、ご存知あるまいか。