浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野藪蕎麦・カレーせいろ


5月24日(火)夜



帰り道、蕎麦が食いたくなった。


と、なると帰り道で便利なのは[上野藪]。


そういえば、昼だけの営業になっていたという
池の端[藪]蕎麦は、ついに閉店しているよう。
いろいろなご事情があったのであろう。
ファンの一人として残念である。


さて。


御徒町で山手線を降りて、
線路から二本目の通りを北上する。


腹も減っているので、てくてくと早足。


サラリーマンのグループ。
東アジア系の観光客の家族。


東北あたりから出てきている様子の、
ちょっとあか抜けない、若いカップル。


取り混ぜて、7時すぎの御徒町はにぎわっている。


上野[藪]蕎麦到着。


空席もちらほら。


ウイークデーの夜は、こんなものである。


一人なので、正面のカウンターに座る。


まずはビール。


エビスの中瓶。


つまみはなににしようか。


ここは板わさ、焼海苔といった、定番のものから、
ちょっと新しいもの、珍しいものと、意外にいろいろ置いている。


揚げ茄子そば味噌、というのを頼んでみる。


ビールがきた。





まったくもって、ビールがうまい。


年がら年中、ビールは呑んでいるが、この季節が
最もうまいのではなかろうか。


今、気温は上がっているが、湿度はさほどでもない。


真夏の多湿の頃は、ビールよりはチューハイの方が
よかったりはするではないか。


そう。


例えば、北海道へいくと、ビールがうまい。
札幌など本場ということもあろうが、
やっぱり本州に比べて、湿度が低い。
湿度が低いから、喉が渇く、
そんなこともあるのかもしれぬが、
湿度とビールのうまさには、因果関係が
あるのではないかと思っている。


ともあれ。


茄子がきた。





これ、もしかすると、揚げた茄子に、
お通しで出てきたそば味噌をちょっとゆるくしてかけただけ?。


まあ、うまいので、それでもよいのだが。


さて。


蕎麦だ。


なににしよう。


ここは自分でタイミングを考えて頼まないと、
蕎麦と肴を同時に出したりする。


品書きをもう一度じっくり見る。


ノーマルなせいろにしようと、道々考えてきたのだが、
ここへきて、変わってしまった。


なにかといえば、やっぱりカレーせいろ。


少し前に、書いていて、ここにもあるのも知っていた。
むろん、ここはノーマルなせいろもうまいし、
鴨せいろでもむろんよい。
ここではカレーせいろの出る幕はないのでは、と、
思っていたのである。


だが、メニューを見ると、無性に食べたくなってしまった。
そんなわけで作る時間も考慮して、早めに頼む。


ビールを呑み終わり。


きた。





別段、見た目には変わったところはない。


そばをつまんで、漬けて、たぐる。


うまい。


割に、マイルドではなかろうか。


肉?。


いや、脂身のようなもの。


見た目は、鶏のような、、、。


もしかして、、、、これは!。


そう。


鴨の脂。


少し大きなものよく味わってみると、間違いない。


鴨せいろのつゆにだしのために、刻んだものを入れたりするが
あれである。


普通、カレー南蛮でもカレーせいろでも
東京では、肉は豚に決まっている。


その豚を、鴨の脂身に替えたわけである。


なるほど、ちょいと考えたものである。


うまかった。


ご馳走様でした。







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