浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



新橋・ビーフン東

10月28日(木)夜


さて。


今日は、新橋。
新橋駅前ビル1号館。


なにかというと、池波レシピの、ビーフン東。


「銀座日記」に書かれている。

池波正太郎の銀座日記(全) (新潮文庫)


しかし、皆さん、この新橋駅前ビル、というところに
行かれたことはあるだろうか。
なかなか、ディープなビル、で、ある。


駅前ビルは新橋駅東側。
汐留口の前。


駅前ロータリーの向う側に、1号館と2号館と二つある。
ゆりかもめをはさんで、向かって左側が1号館で右側が2号館。


と、まあ、地上からいくとわかりやすいのだが、
地下からだと、知らないと、ちょいと、迷ってしまう。


(だいたいにおいて、この地下と地上の関係は、
わかりにくいもの、で、ある。
都心部でも、東京に育った私もあまり行かないところは、
わからない。(あたり前だ。)
高校時代からそうとうに、ブラブラしていた新宿などは、
三丁目、東口、西武新宿、西口、南口などなど、
今でも、ほとんど直感で目的地にいくには、どの地下道の、
どの出口から出れば最も早いのか、わかったりはするのだが。)


新橋の地下は、銀座線と都営浅草線があり、銀座線は銀座側、
都営浅草は、汐留口側。


地下でJRの駅に近いところ、銀座線と浅草線の間の
通路に接しているところは、ウイング新橋という
きれいな、地下モール。


駅前ビル1号館の入り口はこのウイング新橋の正面奥。
2号館の入り口もこのモールから入れるが、
浅草線に向かって右側奥。
(まあ、新宿と比べれば、単純ではあるが。)


ともあれ、うなぎの寝床のような造りになっているのは
間違いない。


そして、この新橋駅前ビルの地下に入ると、
雰囲気が一変する。


よくもわるくも、昭和の新橋、で、あろう。


ちょいと、有楽町駅前の交通会館ビルの地下にも
近いかも知れぬが、、向うの方が、そうとうに、きれいか。


間口の狭いカウンターだけの古い一杯呑み屋、
というのか、居酒屋、というのか、そんな店が
連なっている。


迷ってしまうくらいなので、私は入ったことはない。


このあたりは5時をすぎると、そろそろ、お客が入ってくる。


今、新橋は西側、烏森口の前一帯で、今風の立ち呑みやが
大流行しているが、この駅前ビルはその二世代程度前といったらよい
のかもしれぬ。
だが、立ち呑みを含めた、この手の呑みやが
新橋のカラーというのは、昔から変わっていない、
と、いうこと、であろう。


先に有楽町の交通会館の地下を持ち出したが、
あそこは、やはり、戦後の闇市に起源を持っているが、
おおかた、新橋もそういうこと、なのであろう。


どの店も個性があり、人肌の温もりがある。
だが、一方で、これは、知らないと入りにくい、
まあ、そういう側面もある。


しかし、どこも似たような顔の、このところの
丸の内やら日本橋、六本木の再開発ビルの飲食街
とくらべれば、どれほどよいことか。


ともあれ。


その新橋駅前ビル1号館の2階。


エスカレーターで上がって、ビーフン東。


店はテーブル席と別に宴会もできる座敷(?)も
あるよう。


6時少し前に入ると、広い店内はまだ数組。


カウンターに座り、ビール。


なにかつまみでももらおうかと思ったが、
やはり、五目ビーフンを頼んでみる。


頼むと、“焼”ですか、“汁”ですか?
と、聞いてくる。


ん?


それは、聞いていなかった。


あ〜、、。


つまみにしたいので、、


“焼”で。


そうか〜、両方あるんだ。


ビールを呑みながら待っていると、
すぐきた。





これが“焼”。
さっぱり系。


にんにくしょうゆ、をかけて、食べるよう。


ここは、ビーフンが看板だがパーツァンという、
中華ちまきが、宮内庁御用達。


また、池波先生は、揚げ物三種の盛り合わせ
というので、呑んでいたという。


しかし、ほんとうに、池波先生は、
この手の、オーソドックスな、東京の中華料理が
好きであった。


また、ここは、宴会料理も安くてうまいよう。


今度は、そっちを食べてみなくてはいけなかろう。






TEL:03-3571-6078
住所:港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 2F