浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



柳橋二丁目・中国料理・馥香

dancyotei2009-12-07


12月5日(土)夜


さて、土曜日。


今日は、少し寝坊。
内儀(かみ)さんは外出。


第一食は、カツカレーが食いたいと思い立ち、
12時すぎ、寿のキッチン南海に出る。


きてみると、中に人はいるようなのだが、
休み。
貼り紙がしてあり、春日通りと国際通りの交差点の
対角あたりに引越す、とのことである。
残念。
どうしても、カツカレーを求めて、彷徨うか、
多少迷うが、隣のラーメンや、寿三家に入る。
ここは以前は、蔵前家、という家系ラーメンや、
で、あったが、昨年ぐらいであったか、店主がかわったようで
同じ家系を標榜しているが、寿三家という名前にかわっている。
(入ってみたら、普通の家系ではない味が増えていたので
試してみたが、やはり、普通の家系の方がここはうまい。)


ラーメンを食べながら、今晩はなにを食べたいか、内儀さんに
メールを入れてみる。と、酸辣湯麺が食べたい、という。
じゃあ、というので、浅草橋、柳橋二丁目の馥香(フーシャン)
を19時に予約する。


その後、暮正月も近いので、火鉢用の炭を松が谷炭や
へ買いにいったり、、。


冷たい雨も降り出していたのだが、浅草をブラブラしていたので
内儀さんとは、店で待ち合わせ。


19時、きてみると、内儀さんが先であった。


入ると、天気のせいか、わからぬが、意外にすいている。


一時は、TV、書籍などに取り上げられたせいか、予約すら
取りずらかったが、、、。景気のせいか、、。


ここは、比較的高い、5〜6000円以上の客単価に
メニューが設定されている。場所も下町、駅からも遠い。
近所の人々がきそうな感じでもないし、山手から
わざわざくるのも、ブームがすぎれば、ということかもしれぬ。
浮気なもの、で、ある。


ビールをもらう。


今までは、アラカルトで頼んでいたのだが、
今日は、コースにしてみようか。


ここには一万円を超える、おまかせのコースもあり、
今の季節、上海蟹、が、メインなのだろう。
しかし、私自身、上海蟹は、今一つだし、今日の目的は、
内儀さんの酸辣湯麺、なので、どのコースにも〆の麺はあり、
一番下、5450円ので、よかろう。


メニューに書いてあるのは、こんな感じ。


・中華冷菜五種盛り合わせ
・トッビッコ入りフカヒレスープ
・生牡蠣の辛子炒め
・豚スペアリブの黒酢
・海鮮の土鍋煮
山西省流手延べ麺
・デザート



中華冷菜五種盛り合わせ





ちょっとしたフレンチのようなお洒落な盛付け。


上から時計回りに、蟹、鶏肉のカレー風味、
白ミル貝のカルパッチョ、牛肉の赤ワイン煮、
くわい餅。


白ミル貝というのは、高価な本ミルではなく、
ちょいと、お安いものだが、例の香醋(中国の黒酢)に
花椒(中国の山椒)の香りを付けてあり、細かい仕事を
している。


くわい餅、と、いうのは、調べると黒くわいなるものの粉を
固めて蒸した、点心のお菓子らしい。香港など、広東料理では
ポピュラーなものだそうな。フニ、っとした食感。
(さらに、黒くわい、というのは、日本でお節料理に入る、
くわいとは別の植物だそうな。黒くわいは、カヤツリグサ科の植物で
日本でも、田んぼなどに生えて雑草という扱いのようなのだが
正確には、中国のものは日本の黒くわいの仲間だが、
本当の名前はオオクロクワイというもので、別種という。)


トッビッコ入りフカヒレスープ





値段のせいか、フカヒレが切れっぱしのよう。
(まあ、そんなものであろう。)
味は、うまい。


生牡蠣の辛子炒め





これは、うまい。


揚げてから、餡かけにされている。
この揚げた衣になにか味が付いている。
これが、香ばしく、なんだかわからぬが、
うまい。
さすが、達人、馥香。


豚スペアリブの黒酢





ようは、黒酢酢豚、なのであるが、こうすると、
なんだかゴージャス。むろん、うまい。
上に乗っている野菜は、山芋。


海鮮の土鍋煮





入っているのは、海老、いか、ほたて、蛤(?)
豆腐、白菜、などの水炊き。


そのままでも、うまい。
ついているたれは、火鍋のたれ、の、よう。
この火鍋のたれは、本場のものは、そうとうクセがあるが
これは、だいぶマイルド、に、してある。


〆の山西省流手延べ麺





内儀さんの酸辣湯麺は250円増し。


私のは、コースのままの鶏そば。





鶏そばは、さっぱりとうまい。
なにしろ、手延べだけに、腰もあり、麺がうまい。


いつもはアラカルトで頼んでいたのだが、
ついつい、頼みすぎてしまうのか、
腹がはち切れそうになる。
今日は、コースにしたのだが、やっぱり、そうとうに、
腹一杯。


最後の麺が、ポイントなのかもしれぬ、


デザート





お約束の、杏仁豆腐。


うまかったのだが、どうであろう、
アラカルトの方が、よかったのかもしれぬ。


値段のせいか、むろんうまいのだが、
迫力というのか、力の入り方というのか、が、
違うような気がしたのは、気のせいか、、。



ともあれ。
料理もさることながら、ここの(ちょっと小太りの)ウエイター氏は、
ひょっとすると、ソムリエなのか、わからぬが、
なんらか資格を持っているような、ちゃんとしたトレーニングを
受けているのかもしれぬ。
とてもきちんとした、気持のよいサーヴィスをしている。


うまかった。
勘定をして、出る。


帰りは、元浅草まで、二人、歩いて帰宅。






馥香