浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



芋茎と油揚げの煮物

10月26日(日)


今日も、昨日に引続き、家で仕事。


午後、定期券を買いに上野御徒町駅まで、自転車でちょっと出る。
大江戸線の定期は、この近所では、上野御徒町駅で買える。


自転車を置いて、上野御徒町駅の地下道に降り、
切符売り場で継続定期を買い、ついでであるから、
駅の事務室で、都営線の来年の都電カレンダーを買う。


都営線のカレンダーは都電なので、毎年買っている。
むろん昔の都電の写真を使っており、都電が走っていた頃の
東京の街々がモノクロの写真で写っており、気にいっている。


改札口から日比谷線側に少し戻ったところ、左側に、
千葉県の野菜の直売所のようなところがある。


通り掛かりに、たまには、のぞいてみるだが、
今日は、なにか、おもしろいものはないかな?と、
見ていると、、、


生の芋茎(ずいき)。
芋がら、里芋の茎、で、ある。


芋茎は干したものが多いと思われる。
以前に、乾燥したものも煮物にしてみたことがあった。


実のところ、これは池波レシピ。
この時は、剣客商売に書かれているイメージと比べ、
そうとうにピンとこない食いもの、で、あった。


その前にも、銀座のいまむら、最近では、
京都でも食べたりしている。


やっぱり、今、割烹料理でよく使われるもの、
なのであろう。


ともあれ、生のものが売られているのは始めて見た。
(むろん、畑にはえているのは見たことがあるが。)


長いものだが、一本、“特価”10円。二本買ってみる。


そして、もう一つ。
千葉といえば、落花生。
生の落花生を売っていた。
ゆで落花生というのは、うまいのだが、
むろん、生からでなければ、茹でられない。
生の落花生など、そうそう東京では売っていない。
一袋、買う。


帰宅し、仕事をしながら、落花生を茹でる。
圧力鍋に水と少しの塩。
煮立てて、加圧、弱火にして、10分ほど。
火を止めて放置。


茹であがった。





仕事をしながら、一つ二つ、つまむ。
うまいもの、で、ある。


さて、夜。
芋茎にかかる。





生の芋茎。これは、根元の部分で、もっと長いが、
こんな感じのものである。


調理法を調べると、生のものは、
蕗のように、皮をむいて、茹でればよいようで、
乾燥もののように、特段、あく抜きなどいらないようである。


煮込むための出汁を、鰹削り節で取っておく。


根元の表面に包丁の刃を入れ、上に向かって、
すーっと、皮をむく。
一通り、むくが、赤い色は残っている。
このままでよいのか、この赤い部分がなくなるまで
むいていくのか、悩むが、もう少しむいてみることにする。
(ここは、めんどうなので、内儀(かみ)さんに。)


むいていくと、どんどんと、身が細り、、、
なくなってしまう、、。
適当に、内儀さんにはやめさせ、茹でる。


後で煮るので、軽く、でよいだろう。


油揚げもあるので、煮るのは、油揚げと一緒。
油揚げは、湯がき、油抜きをしておく。


後は、先の出汁に入れ、酒、砂糖、しょうゆで
甘辛く煮る。


しかし、やはり、芋茎は、むき過ぎたか。
小さくなってしまい、ほとんどが、油揚げになってしまった。
(きっとこれは、1〜2本ではなく、少なくとも、5〜6本は
必要であったのだろう。)


完成、盛り付け。





こんな感じ、で、ある。


やはり、アクはほとんどない。
また、どうなのであろうか、芋茎というものは、
基本的には、多少の香りと食感のもので、味は、ほとんどない、
といってよいのだろう。


しかし、そこはかとなく、うまいもの、である。


これ、剣客商売、牛堀久万之助道場の老僕、権兵衛が
いかにも作りそうなもの、ではなかろうか。



いや、きっと、そうである。
割烹料理、などで出てくるように拵えたもの、では
ないことは間違いなく、きっと、こんなもの。


なんとなく、引っ掛かっていた宿題が解けたような
そんな気がする。



「うまいぞ、権ちゃん!」