浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



〆鯖

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円朝師匠も10回になったので、ちょっと休んで、
今日は書いておきたいノーマル版。

3月13日(水)

地元の方はご存知であろうが、浅草には西友※がある。
ROXの地下。

出たついでにのぞいてみた。

目に付いたのは、二枚におろした鯖。

西友というのはこの辺りではここにしかないが、
近隣の他のスーパーと比べても安いのではなかろうか。

そして、スーパーにしては魚も充実しているように見える。

鯖も300円。
ものもわるくないのではなかろうか。

鹿児島産。
鹿児島というのはあまり入ってきていないかもしれぬ。

この冬は鯖がよかった。
二回ほど新レシピで〆鯖をやったが、うまくできた。

やってみよう。

こんな感じ。

昨年の12月であったか。
NHKあさイチでやっていた篠原武将氏のレシピ。
篠原氏は、懐石料理、銀座[しのはら]のご主人。

こういうものは、プロ中のプロのレシピであれば信用することに
している。
プロのレシピでは一般的にあるのであろうか、
ちょっと変わっていたので試してみたのである。

塩をたっぷりふって1時間。
そして、冷凍。
これはアニサキスを殺すため。

解凍し、酢に漬けるのだが、この酢が水との半割。
1:1。
漬ける時間は1時間。
塩抜きも兼ねているのか。

冷凍ははぶいているが、うまくできる。

半身に塩。

これはもう、分厚くたっぷり塩をする。

ちょっとわかりずらいが、これ、たっぷり、なのである。

これで私は、レシピから伸ばして2時間にしている。

水分はだいぶ抜ける。

これを洗って水分をふき取る。

ここで、水と半割の酢を用意。

漬ける。

ペーパータオルを掛ける。

これで1時間。

今まで〆鯖など魚の酢〆を作る場合は塩をして水分を抜いて、
ノーマルな酢に漬けていた。

ただ、たっぷり塩をして長時間置くと、水分は抜けるのだが
塩味が残ってしまう。
そして、酢はそのまま100%の酢。
途中で塩抜きをするのであろうが、この方法がわからなかった
のである。
水に漬けて塩を抜くと、抜けた水がもどってしまう?
のではないか。

そうであろう。
浸透圧の関係である。

どこにも書かれていないが、駅弁などの強く〆た鰺や
鯖はどうしているのであろうか。
今も謎ではある。

江戸前の鮨やでは、酢で漬けた後、最後に一昼夜干す。
これで水分を抜いているのか、、。

半割の酢で1時間。
これ、30分ではだめである。
やはり塩抜きをしているようで、30分では塩辛さが残る。

1時間。

この後、篠原氏のレシピでは100%の酢でさらに1時間。
だが、番組の中でいっていたのだが、これは省いてもよい、とのこと。
さらに酢が入るのではなく、馴らすということなのか。
どちらかといえば、後者ではなかろうか。

切る。

うまくできた。

きつくは〆ってはいないのだが、具合がいい。
塩味もちゃんと抜けている。

やはり半割の酢で漬けることによって、酢が入り、塩が抜ける
というメカニズムなのであろう。

生の光物は普通おろししょうがで食べるが、
〆鯖はわさびで食べる。
合うのだが、なぜであろうか。
しょうがであれば、酢漬けを合わせる。

安い鯖であるが、十分。
やはり、〆鯖にして、正解であった。

大きなものではないが、脂もそこそこのっている。

やはり西友、なかなかなものである。

だが、酢〆というのはまだまだ、わからない。

このやり方でも、冷蔵庫でラップをせずに一日置いたりも
している。
置くと、水分が抜けるよりも脂が酸化するのか、
生ぐささが増すように思うのである。

と、すると脂ののったものは酢〆には向かない?。
紀州の秋刀魚の押し寿司も脂が抜けているから
合うのだ、という。
そんなものかもしれない。

 

 

西友はウォールマート傘下から離れるという報道があって私もそう思って
いたのだが、昨年11月、西友は否定していたよう。(朝日新聞2018年11月7日)