浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・洋食・ぱいち

4406号

9月1日(金)第一食

9月に入った。

今日の東京の最高気温は、33.4℃。

暑いことは暑いが、さすがに猛暑日では
なくなりつつあるか。

ただ、晴れているので日なたの日差しはやっぱり避けたい。

さて、なにを食べよう。

面倒なので[尾張屋]で一杯やって、
そば、はどうだろうか。

あそこは、まだ時期は早かろうが、
松茸土瓶蒸しだったり、ちょいと乙な、
割烹系の肴もある。
きっとなにかあるだろう。

が、きてみると、、、、

あー、休み、だ。

ここは金曜休みであった。

どうしよう。
別段、そば、にとらわれていたわけではない。
一杯やって、であった。

雷門通りの一本裏。
「食通街」というのか。

[長浦]というそばやがあるが、ここもやっていない。

ん!。

そうだ、[ぱいち]。

むろん洋食や。

当代で三代目で、創業昭和10年(1935年)というが、
以前は居酒屋であったともいう。
洋食やは、戦後で、先代あたりから、なのかもしれぬ。

居酒屋なので、一杯をひっくり返して、ぱいいち→
ぱいち、だそう。

前にも書いたが、落語「欠伸指南」にぺーいち、という
のが出てくる。

「堀からあがって、ペーイチやって、夜はナカへでも
行って、ワッと騒ごうか!」

ペーイチは江戸弁っぽくなまっている。
ペーイチ、ぱいちは、その頃、流行ったフレーズで
あったのであろう。

14時になるかならぬかの時刻。

入ると、なかなかにぎわっている。
観光客もいるのか。ただ、外人はいない。
ここは三社祭の写真、提灯など白髪交じりの短髪だが
ちょっととんがった様子のご主人の趣味か。

カウンターに掛ける。

えーと。

ビールをもらって、カツカレーやら、
ミックスフライ定食などなど、ランチセットの
ようなものもある。

うーん。
やっぱり、ここなら、ビーフシチュー、
タンシチューか。
これが昔からの、看板で、あろう。

じゃ、ビール中瓶、と、タンシチュー!。
ご飯と味噌汁付き。

おかあさんが、一緒でいいですか、と聞く。
あ、ちょっと、後で。
じゃ、言ってください。と。

やはり、呑んでいる者にこういう気遣いは
するものである。

ビールはスーパードライ
浅草でビールはスーパードライが定番。
むろん、アサヒのお膝元だから。
他の銘柄を置いているところもある。
そんな店はあえて置いている、のであろう。

そう、ここは、お通しのようなものは出ない。

つまみだけなにか頼んだ方がよかったか。
だが、喉が渇いているので、グビグビと、
呑んでしまう。

と、きた。

タンシチュー。ここは土鍋入り。
じゃがいも、にんじん、ブロッコリー、玉ねぎ、
マッシュルーム。

野菜もだが、タンは柔らかいが
形がはっきりしている。

ご飯ももらってしまおう。

味噌汁は豆腐とわかめ。

ここのデミグラスソースは酸味、苦みは少なく、
やっぱり飯に合う。
これが洋食やのデミグラスソース。
うまいもんである。

デミグラスソースというのは、なんであろうか。
元は、やはりフレンチ、であったのだと思う。
だが調べると、 ウィキによれば

フレンチでは今となっては、あまり
使われていない。フォンドボーに置き換わって
いる、と。

日本だけのもの。それも、日本のレシピはこれ、
というものはあるにはあるようだが、バリエーションは
多く、店によって様々なよう。
意外に、いい加減?。そんなものかもしれぬ。
いや、日本で独自の発展を遂げた、といった
方がよいか。
もはや、やっぱり日本食

カレーにしても、ラーメンにしても然り。
取り込んで、別物として発展させる。
おもしろいもんである。

ご馳走様でした。

ありがとーございましたー。
元気に送り出された。


台東区浅草1-15-1
03-3844-1363

 

 

 

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