浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



大阪・船場センタービル・大名そば

dancyotei2016-09-14

もう少し、8月のこと。

大阪出張。

堺筋本町駅付近での昼飯。

以前にもこのあたりで昼飯ということがあり、
一度入ったことがあった、船場センタービルの
地下の食いものや街で探してみることにした。

船場センタービル、といってもおそらくご存知でない方も多かろう。

大阪市の中心部。
さらにその船場の中心部。
東西に高速が走り、その高架下のテナントが入った
商業スペースといったらよいのか。

東京でも銀座、有楽町界隈にある。

いや、あるにはあるのだが、この船場センタービルというのは、
ちょっと違っている。

東京の銀座あたりは高さが低く、ほぼ地上1階か2階、地下1階。

船場センタービルは地上4階、地下2階と、規模が違う。
(東京の首都高の方ができたのが古いせいであろうか。)
東京の人間には驚きである。

その上、長い。
東は堺筋よりも東、西は御堂筋の西。
地下鉄の駅が本町と堺筋本町の2つが含まれる。
船場のほぼ東西の端から端までということになるようである。

地上はファッション系と、繊維、その上がオフィススペース。
地下はB1もファッションで、B2が飲食。
どうもこんな感じになっている。

調べるとこの船場センタービルができたのは昭和45年(1970年)。
やはり東京の首都高ができたのが東京オリンピック前なので
少しあと、ということかもしれぬ。

もともと船場のこのあたりは様々なものを扱う問屋街で
特に繊維、衣料関係が集中していたということが背景のよう。
(東京でいえば馬喰横山町あたりのイメージか。)

一言でいうと、この船場センタービルというのは、昭和、であろう。
大小のファッション、繊維関係の店舗がひしめいている。
やはり、東京にはちょっとない雰囲気である。

そして、B2の飲食街。
ここがまた、昭和。

だいたいにおいて、梅田付近であったり、
大阪というところは地下街が発達しており、
基本飲食街だが、立ち呑みの串かつやだったり、
居酒屋、喫茶店がひしめいている。そしてどこも、皆安い。

ランチであれば、500円を切った定食。
夜であれば、チューハイ一杯100円であるとか。

さて。

長い船場センタービルのB2の飲食街であるが
その堺筋本町駅に近い区画。
少し時間があったので、一通り見てまわる。

和洋中、色々あるが、競争も激しいのであろう、皆、
それぞれなんらか特色をアピールしている。

こういうところでは、勘がものをいう。

以前、急いでいたので出入口に近い夜は居酒屋というところに
飛び込んで、安い昼定食を食べたが、まあこれは、安いだけ、
といった方がよいようものではあった。
大阪ではすれると、こういうことはままある。

そこで、選んだのは[大名そば]というところ。

大阪だがそばやというのはこの地下街のこの区画にも
もう1軒あった。

だがここはなにか味がありそうな面構えをしている。

入ってみると木製のテーブルがずらっと並び、席数は多い。
そしていかにも昭和な雰囲気。
当然のように、喫煙可。各テーブルに灰皿。
もしかするとこのビルができた昭和45年頃からあったのかもしれぬ。

そばは、その名も「うまいそば」というものが一押しで
もちろん天ぷらそばやらざるそばやら、他のメニューも
豊富なのだが、ほぼこれだけの雰囲気。

推奨は「うまいそば」の大盛り、
それにおにぎりや稲荷ずしが付いたもの。
(ちなみに、うどんも選べる。)

では「大名そば」なるものはどんなものか。

写真も貼られている。
丼にそばが盛られた、つけそばのよう。

「うまいそば」という名前もまた、人を喰ったようで、
ふるっているではないか。

並の「うまいそば」稲荷2個付き、850円也にしてみる。

まわりに500円定食がある中では、べら棒に安い、
というほどではない。

きた。



こんな感じ。

丼に、並ではあるがけっこうなそばの量。
紅白の蒲鉾と、焼き蒲鉾、関西の青ねぎと海苔。
つけ汁には、天かすと卵黄、これはうずらであろう。
稲荷は三角。

印象としては、東京にありそうな感じのものである。

食べてみる。

そばは写真通り、黒く、太めであろう。
茹で置き。

つゆは濃いめだが、東京の濃いめよりも、甘い方向である。

だが、うまい。これがまずいわけはなかろう。

大阪にもこんな店と、こんなメニューがあるとは。
驚き、で、ある。

昼時である、入ってくるお客、入ってくるお客、
これを頼んでは黙々と食べている。

こういう店とメニューに、それも大阪で、出会うとは。
まったくうれしくなってしまう。
大発見!!。




大名そば