浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭の年越し2014 その1

dancyotei2014-01-02



12月31日(火)〜1月1日(水)



毎年、ほとんど変わりがないのだが、
今年の年越し。


晦日の私の仕事は、神田[まつや]に、年越しそばを
買いに行くこと。


既に、夜昼逆転しているので、11時頃起床。


風呂に入り、ダッフルコートにマフラー、毛糸の手袋をして
自転車で出る。


神田[まつや]も池波レシピで、先生は大晦日はここでそばを
食べて、映画を観るのが常であったよう。


我が家では事前に予約をしておいて、大晦日に生そばを買いに行く。
毎年のことである。


我が家のある元浅草から[まつや]のある神田須田町までは
自転車で、そう、15分くらいであろうか。


どう行ってもよいのだが、東へ行って、南へ下がる。
距離を測ると、3kmほど。


大きい通りは避けて、裏通りを走る。
ただ、須田町の手前の秋葉原は別である。


こんな大晦日でも、皆様、はお元気のよう。
あの一郭は自転車では走れない。


昌平橋を渡って、須田町に入る。


神田の[やぶそば]が火事になったのは、13年の2月であったか。
今は、再建の途中か、工事用の塀で囲まれている。


[まつや]の店は靖国通りの方だが、持ち帰り用の
生そばは裏通りの倉庫のようなところで売っている。





名前をいって、3人前と、いつものように、うにの瓶詰を買う。


これは[まつや]の店でも酒の肴として出しているものでうまい。


下関の「岡本」というところのもので、
実は生そば3人前よりも値段は張るが、それだけの
価値はある。


それから。


今年からであろう、天ぷらも売っている。
これも買ってみよう。


[まつや]の店の方は長い行列ができている。





万世橋の方にまわる。


万世橋の手前。
長らく工事中であったが、旧交通博物館
先頃、JRの新しいビルと施設が開業している。


交通博物館のさらに前、旧万世橋駅のホームであった
風情のある煉瓦造りの高架下は「マーチエキュート
という飲食施設になっている。
ここから、TVのニュースでやっていたが、旧万世橋駅のホームに
出られるという。
今度きてみようか。





ここから、中央通りを真っ直ぐに秋葉原の喧騒を抜け、
上野広小路までくる。


これも毎年のことだが[まつや]のそばを買うついでに
広小路の[うさぎや]で正月用にどら焼きを買う。





列はあるがそう時間はかからない。


6個入りを買って、近所の佐竹商店街で祝箸やらを買って、帰宅。


帰宅すると、頼んでおいたおせち料理が届いていた。


ここなん年も買ってすませているが、
今年は会社のそばにある鮨や[鮨太鼓]のもの。


いろいろなところのものを買ってみたが
ここのものに戻ってきている。


手づから板さんが大晦日に届けてくれるのもありがたい。


三段重。





鮨やの作るおせち、で、あるが、ここの板さんは
鮨も、やっている料亭で修行をしたといっていたが、
このためか鮨ねたのおせちというわけではない。


一段目。





(食べた感想も書いてみる。)


左上から蒲鉾、玉子焼き、黒豆。


黒豆は大粒。
添えられているのは、紅白のちょうろぎ、という漬物。


おせちの、それも黒豆でしか見ないものである。
長寿の縁起物だそうだが、なにかに見立てていると思われる。
なんであろうか、わからない。ものとしては中国原産で、江戸の頃に
日本に入ってきたもので、シソ科の植物の根っこだそうな。


栗きんとん。栗が甘皮ごと使われている。


昆布巻き。
子供の頃から、たいしてうまいものとも思わなかった。
これは昆布も中の鰊も柔らかく、味もよい。


その下は細かく包丁目が入れられた、焼きいか。
小ぶりのすみいかだと思うがこの状態でも
べら棒に柔らかい。流石に江戸前鮨やの仕事である。


大根のなます。
太目に切られた大根は珍しい。人参も色よく甘くてうまい。


田造り。


干し柿で柚子を巻いたもの。
私は干し柿をおせちに使うのは知らなかった。
素朴だが、うまいものである。


二段目。





左上、煮しめ
人参、蓮根、くわい、麩、筍、椎茸、蕗。


数の子、サザエの煮たもの、鴨肉。


焼き魚なのだが、これは鰆の幽庵焼きか。


はじかみ、蛤の貝にのせて焼いた雲丹。


その左がからすみ。
からすみというのはそうそうたくさん食べるものではないが、
ちょいとあると、うれしい酒の肴、で、ある。
ここのおせちには必ず入っている。


甘目に煮た海老、同じく帆立。





つづく。