浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



上野藪で呑む。

dancyotei2012-08-06


8月3日(金)夜



金曜日。



埼玉県北部から、上越新幹線で上野まで
帰ってきた。


今日は、同僚も一緒。


ちょいと、行きますか。
ということで、上野藪。


上野御徒町界隈で男二人がちょいといける
気の利いたところ、というのは、意外に多くない。


むろんチェーンの居酒屋、などは数え切れないほどある。
それじゃあ、仕方がない。


鮨やも、行き付けといってよい、一心
などあるが、やはり、ちょいと、という感じではない。


ガード下のもつ焼き、あるいは、立ち呑みも
数多くあるが、古いガード下のもつ焼きなどは、
ご存知の通り、意外に高くつく。
新しい立ち呑みは、安いには安いが、味はそれなり、
で、しかない。


焼肉。


これも、多いが、男二人で焼肉もなかろう。
人数がいた方がよい。


それから、上野名物、とんかつ。
とんかつで呑むのも、意外に乙、なのだが、
やはり、飯を食いたくなり、呑みたい場合には
向かない。


そこで、無難なところ、上野藪蕎麦。


上野藪蕎麦はついこの前、サラダ蕎麦を食べたところ。





池の端薮でもいいのだが、上野駅からはちょっと歩くし、
やはり、敷居が多少高い。


上野駅、広小路口から出て、丸井前の横断歩道を渡り、
丸井の右脇の路地を入る。


真っ直ぐいけば、一つ目の向こう側の角が
上野藪。


土日のこの店は、観光客も多く、列になることもあるが、
ウイークデーの夜、というのは、意外にすいている。


座って、まずはビール。
ヱビスの瓶。


こう暑いと、切れがよいスーパードライの方がよい
ような気もするが、ここの瓶はヱビスだけ。


肴は?


連れが、板わさ。
私は蕎麦やではあまり頼まないが、蕎麦やの
酒の肴とすれば、まあ王道であろう。


それから、穴子天。


ここは、池の端よりも多少、肴の種類はある。


ちょっと軽い感じで、揚げだし豆腐。


板わさ、から。





厚く切ってある。1cm以上はあろう。


東京の蒲鉾の切り方は、普通はもっと薄いと思われる。
山口県であったか、確かあちらでは蒲鉾にとてもうるさく、
厚く切らねば蒲鉾ではない、と。
(以前にこれ、NHKのためしてガッテン
やっていたのだが、11mmが一番うまい、とのこと。)


理由は、実際に私もやってみたが、厚く切った方が、
魚らしい味を強く感じるから。


ただ、こうして厚く切って、本わさびで食べるのもよいが、
東京のさほど厚くない切り方で、わさび漬けで、というのも
好きではある。


穴子天。





むろん揚げたて。
ほくほくで、サクッと揚がっており、これはうまい。


揚げだし豆腐。





自家製で揚げているのであろう。
なめこがのって、乙な仕上がり。


ヱビス2〜3本で、酒に換える。


私がお姐さんに冷(ひや)で、と、いうと、
氷結、というのもありますが、と、聞く。


ここにはなん度もきているが、これは気が付いて
いなかった。
冷で出している菊正宗を独自に店で、氷結させているという。
じゃあ、それ、と、頼む。





半凍結、シャリシャリのシャーベット状。
塩も一緒に出てきて、これを升の角にのせて、
そこから呑む。


連れは、これはヤバイ、と、いっていたが、
夏向きで確かに、うまい。


半凍結、というのは、例えば家庭で作ろうと思っても、
簡単にはいくまい。きっと、なにか技があるのであろう。


けっこう呑んでしまった。


このへんで、蕎麦にしないと!。
(実際にヤバイことになりそう。)


蕎麦は、ノーマルにせいろ。





のどごしよく、うまい。



蕎麦やで酒を呑む、というのを流行らせたのは
かの、池波先生といってよかろう。


私の気分とすれば、居酒屋のように
あれやこれやと、肴を取って、酒もたらふく呑んで、
蕎麦、というのは、やはり、いけないことのような
気もする。


それでいつもビール一本か酒一合。
肴も一品、と、決めている。
それで、いつも一人、ということになるのかもしれない。


なんとなく、そうしないと、うまい蕎麦に
申し訳ないような気がする、のである。









上野藪
台東区上野6-9-16
tel.03-3831-4728