浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



池の端藪蕎麦

3月17日(火)夜


ここのところ、また、少し立て込んできた。


朝イチから、NYと電話。
本部会議、途中で抜けて、研究所と打合せ。
昼飯。
午後からの打合せは、キャンセル。
その代り、役員へ報告と指示を受ける。
その後、事業部と打合せ。
19時前終了。



うふへ〜〜。


もういい、疲れた。



自分のオフィスには戻らず、帰ろう〜〜〜、っと。



真っ直ぐ、牛込神楽坂の駅へ。
歩きながら、なにを食べようか、考える。


少し早い時間だし、、。
池の端の藪蕎麦、でも、いこうか。


ちょっと、久しぶり、か。
上野御徒町を降りて、歩く。


この時間でも、だいぶ明るくなってきたものである。
桜花(はな)の時期も今年は早そうだ。


路地を抜け、この間きた、一心の前を通り、
仲町通りに出て、左。


左側、で、ある。


実は、最近気が付いたのであるが、ここ、
木造建築ではなかった。ビルであった。


店先の、乙な(しかし、今流行りの新和風のようなものではない)
水なんぞもちょろちょろと流れる、植え込み、白木の格子、
などから、てっきり、木造の一軒家だと思っていた。


店が閉まっていると、シャッターが降りているのだが、
それを見て、上を見て、鉄筋のビルであることに気が付いた。
(以前に、木造、などと書いているが、今さら遅いが、
訂正させていただく。)


しかしまあ、それだけ、落ち着いて見える、ということである。


格子を開けて入ると、テーブルも、座敷もあいている。
ちょっと、落ち着こうか、と、座敷に上がる。


コートを脱ぎ、胡坐をかき、
まずは、ビール。
今日なぞは、だいぶ暖かくなってきた。
そろそろ、ビール、で、ある。


四角い、お盆に、ヱビスの中瓶と、そば味噌。


毎度書いているが、この四角いお盆は一つの世界。
酒呑みワールド、で、ある。


つまみは。


なんであろうか?


暖ったかくなったし、はしらわさび、であろうか。
頼む。


きた。



毎度書いているが、
これで、先の、酒呑みワールドは、完結する。


こんなものが、どこに売っているのか、と、思うような、
小さなしょうゆ挿し。
小鉢に、小柱。細く切った海苔が散らされている。
小皿に、本わさび。


小柱をつまみ、しょうゆと、ちょいと、
わさびをつけて、口に運ぶ。


やはり、この時間というものは、
なににも代えがたい、よい時間、で、ある。


食べ終わり、残りのビールが少なくなってくる。
そろそろ、そば。


呑んだら、やっぱり、ざる。





そばというものは、自分でも、そう思うのだが、
よい音を立てて、すすりこんだ方が、うまいように、
思うのであるが、いかがであろうか。


この量が、少ない、という人もいるが、
これでよい。


これは、腹を一杯にするものではない。


特に、一杯呑んだ場合は、このくらいでよい。


うまい、そばで、ある。


食い終わり、お姐さんを呼んで、勘定をして、


出る。



ほんの、30分にも満たない時間かもしれぬが、
よい、時間で、ある。






池の端藪蕎麦