浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・弁天山美家古寿司 その2

4076号

引き続き、弁天山[美家古寿司]。

昨日は、つまみ二品といか、白身、光物まで。

光物でもやはり小肌であろう。
鯵でも鯖でも鰯でも基本光物は皮をむくが
小肌はなぜか皮をむかない。
皮をむいたものを食べたことはないので
味はわからない。逆に鯖や鯵の皮をむかないで
食べたことはないので、これもわからない。

小肌というのは、この銀に濃い藍の斑点が美しい。
皮をむくのがむずかしいのかもしれない。
また、皮のままでも問題なくうまいので、むかない
のかもしれない。
江戸前鮨らしい粋な姿。
店によっては、浅く〆るところもあるが、やはり
きちんと〆たものの方がうまかろう。
ここのものは酸っぱすぎぬ、よい〆具合。

にぎらずに、〆たものをそのまま食べる場合も
あるかもしれぬが、やはり酢飯とともににぎって
うまいのが小肌であろう。
私はまずそのまま食べることはない。
にぎり鮨にする魚介類の多くは、酢飯とにぎる
ことによってうまみ、アミノ酸が増す。
もともと押し寿司からにぎりずしに発展したわけだが、
押して時間をかけることでうま味を増す。
即席でもにぎるだけで味が変わるのがにぎりずし、
なのである。にぎりずしのマジックである。
従って、酢飯はある程度のボリュームが必要。
東京でも酢飯から大きくねたをはみ出してにぎる
ところがあるがあれはいけない。大きなねたが
よければ刺身で食えばよい。

ともあれ、小肌のにぎり、
押しも押されぬ江戸前鮨の真打である。

次は、まぐろのづけ。

本来は、脂のない赤身をするものだが、
このところ、づけ、というと中とろのづけを
にぎってくれる。
これがまた、格別にうまい。

江戸前中期、まぐろというのは、庶民でもあまり食べるものでは
なかった。白身が上とされ赤く、脂も多いので下魚と
言われていたから、と説明がされるがちょいと違っていよう。
そもそも江戸期、まぐろというのは、組織的には獲っていなかった。
鰹は江戸っ子に人気で、駿河あたりからも、三丁櫓など
といって、高速の舟を仕立てて江戸まで運んだ。
鰹も足は速いが、まぐろというのも、足が速い。すぐに
食べられなくなる。まれにまぐろが大量に獲れてしまい、
魚河岸にあがったことが記録に残っている。大きいので
売りさばくのもたいへんであったろう。落語に「ねぎまの殿様」と
いうのがある。殿様が屋台のねぎま鍋で燗酒をやる、とまあ、
「目黒の秋刀魚」と同工異曲の噺。ねぎま鍋はねぎとまぐろを
しょうゆで煮た鍋である。こういう大量にあがった時の食べ方で
あったのであろう。また、塩漬けにもしており、長屋住まいの
庶民の食べるものであったよう。
産地ではいざ知らず江戸では刺身ではとても食べられないもの
であった。これが江戸後期天保の頃、馬喰町の鮨やが、
生のまぐろをしょうゆに漬けるということを思い付き、
当たり、一般化した。これがヅケ。
2017年

さて、次は、海老。

頭も残した立派な海老。
さいまき海老、これは少し大きいが小型の車海老。

内儀(かみ)さんの希望で、おぼろをはさんでもらう。

ゆで立てをにぎるところもあり、これが最もうまい
とは思われるが、ここは甘酢漬けの江戸前仕事。
それでもぷりぷりでうまい。

貝を二つ、ほっきと平貝。

ほっき。

これは生。

そして、平貝。

比較的、薄めに切っている。
貝では最も好みである。

そろそろ終盤。
穴子とかんぴょう巻さび入り。

穴子は一度炙るので、海苔巻からきた。

だれが思い付いたのであろう、かんぴょう巻に
わさびを入れるのを。
うまいもんである。

そして、穴子

なかなかきれいである。
白く煮たもの。
甘いたれ付き。香ばしく、うまい。

最近、自分では煮るが、あまり外では食べなくなった。
なぜであろうか。
穴子にたどり着く前に、腹が一杯になってしまうから、
であろうか。

内儀さんの注文で玉子。

あまりにも内儀さんがおぼろが好きなので、
玉子にも掛けてくれた。

芝海老と教えてくれた。
こうしてみると思ったより水分がある。
自分で初めて作ってみたが、もう少し水分を
飛ばしていた。

玉子焼きも江戸前仕事。
玉子が貴重であったので、嵩増(かさま)しのため、
やっぱり海老や白身のすり身を入れていた。
その名残である。
いわゆる出汁巻きの玉子焼きもよいが、
これはこれで、カステラのようでやっぱり
うまい。

以上。

勘定は二人で、ビール二本込み、
24,420円也。
まあ、こんなものであろう。

ご馳走様でした。
今日もうまかったです。

 


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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浅草・弁天山美家古寿司 その1

4075号

4月22日(金)夜

さて。
今日は、弁天山[美家古寿司]

二、三日前に内儀(かみ)さんが予約をしていた。

17時半から。15分前に出てタクシーで向かう。

今回はカウンター。

馬道通り、伝法院通りの交差点で降りて、店へ。
角から数軒。

暖簾を分け、自動ドアを開けて入る。

まだお客はなし。
名乗って、ご挨拶。

カウンター手前、親方の前へ。

ビール。

キリンラガー中瓶。
お通しは、血合いの佃煮。定番。

いつも通り、お好み。

つまみから。

ん!、ガラスケースの中、たこ。
たこがある。
ここのところ、ないことが多かったか。

たこと、鰹。
鰹はにぎりよりも刺身の方がうまいと思っている。

たこ。

頼んだわけではないが、頭。
甘いたれではなく、わさびじょうゆ。
頭というのは、足よりも柔らかい。
よい色である。

鰹。

ここにしてはちょっと珍しい。
ゼリーにしたぽん酢しょうゆ。
上には大葉。
下に敷いている春雨のようなもの。
なにかと聞いてみると、海藻から作った
クリスタというものらしい。
味はほぼしない。
食感はコリコリと小気味よい。
鰹自身は、炙った叩き。
うまい。

ここから、にぎり。

白身といかから。
白身は、平目昆布〆と、鯛。

にぎってくれるのは親方。

平目。

ここは種を厚く切るのが特徴であろう。
ほどよく水分が抜け、よい食感とうまみ。

またまた、出してくれた、

海老の頭の味噌汁。
格別に濃厚。

そして、鯛。

鯛は皮付き。

いか。

すみいか。
東京の鮨やでは、生のいかはすみいかと
決まっている。
だが、産卵期が近くなるこの時期は堅くなる
というのでアオリイカにする店も多いが、
ここはやっぱり、すみいか。
ポリシーなのであろう。
気持ち、歯のあたりが強いような気もするが、
十分にうまい、すみいか、で、ある。

次は、光物。
ガラスケースの中を見ると、さよりがある。
春の魚。脂がのる。
それから、鯵も。

そして、なんといっても、小肌。
これだけは外せない。
自分でも〆るが、鮨種で最も好きなもの。
江戸前鮨の中では、見た目も、存在感も
No.1。最も江戸前鮨らしいのではなかろうか。
小肌抜きに、江戸前鮨は存在しない。

鯵から。

細かい格子目入り。
身は、酢洗い、もしくは、軽く〆てある?。
うまい。

そして、さより。

これは、技、で、ある。
酢飯の上で、二回巻いてある。
細長い魚だからできる。

これを、巻くと潰れそうだが、そこが技、
で、あろう。
やっぱり脂がのっている。

そして、小肌。

こんな切り方、にぎり方を見たことがあったろうか。
先日、私もやったが、半身でにぎるのが普通。
それを90℃まわして、横に半分?、1/3か、にし、
さらに皮に切れ込みを入れている。
なるほど、大きい場合、こういう切り方も
あるんだ。

 

つづく

 


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16
03-3844-0034

 

 

 

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上野そば翁庵/新ごぼう軍鶏鍋

今日は二本。

4074号

4月19日(火)第一食

上野そば[翁庵]

夕方から、そばやで一杯。

こんな時に最もよいのが、ここではなかろうか。
上野の[翁庵]。

上野警察前。
木造の和建築の二階家。
戦後の建築だとは思うが、そばや然とした佇まい。
街のそばやだが、歴とした老舗。
1899年(明治32年)創業で、

かつそばが看板の神楽坂下の[翁庵

の暖簾分けという。

つまり、敷居も高すぎないのがよい。
ちゃんとしていながら、親しみやすい。
また、通しでやっているのもよい。

16時、硝子格子を開けて入る。
昼は食券制だが、この時刻は座ればよい。

いらっしゃい~~、
お好きなところへ~~、とお姐さん。

開いている奥のテーブルに掛けて、お酒ぬる燗と
看板のねぎせいろ。

ねぎせいろは、そばつゆに小さなかき揚げが
入ったもの。

酒がきた。

お姐さんは、そばはもうお作りしてもよろしいですか?
と聞いてくれる。
酒とそば、同時に頼んでも、タイミングをみてくれる
のである。
以前のそばやは皆、こういう気の使い方をするのが
あたり前であった。

はい、お願いします。

枝豆で一杯、二杯。

ねぎせいろもきた。

小さいかき揚げには、ねぎといかが入っている。

このかき揚げをつまみ、残りの酒を呑む。
かき揚げは入っているを、そばをつけずらい
というのもある。
呑み終わったら、そばを手繰る。

ここのそばは、年中ほんのり緑がかっている。
本来は、緑がかっているのは新そばなのだが、
あえて色を付けているのであろう。
以前、藪系はこうであったと聞いたことがある。

ともあれ。
うまかった。勘定をして出る。
ご馳走様です。
よいそばや、で、ある。


台東区東上野3-39-8
03-3831-2660


4月16日(土)夜

ごぼう軍鶏鍋

秋葉原ハナマサで、新ごぼう、と、書かれていたものを
見つけた。

ごぼう、といえば、鬼平の軍鶏鍋である。

なん度もなん度も、数え切れぬほど書いているので
もはや説明の必要もないだろう。
池波正太郎先生の「鬼平犯科帳」に登場する軍鶏鍋には
ごぼうの笹がきが入る。

東京下町に残っている軍鶏鍋やはいくつかあるが
ごぼうの笹がきを入れるところは、知らない。
池波先生は、どこからこれを持ってきたのか。
以前はあったのかもしれぬ。
軍鶏鍋というのは、以前は夏食べるものであった。
夏に元気を付けるための食い物。

今、新ごぼうといって売られているものを
あまり見たことがないと思うのだが、どうであろうか。

ごぼうの本来の旬は春植えて秋収穫であるが、調べると
秋に植えて春から初夏に収穫するのを新ごぼう
いうよう。
今は、ごぼうも年がら年中売っているので、もはや
なにが新なのか、いつが旬なのか、わからないのだが。

ともあれ、若く柔らかいのが新ごぼうでよいのだろう。
軍鶏鍋を食べる時期とも重なる。

鶏肉は安いこま切れといって売っているものと、
鶏レバーを購入。脂を出すために皮もあればよいのだが、
まあ、今日は簡略でよいか。
青みは、芹、春菊などがよいのだが、妙に高い。
安い小松菜に。

帰宅、これが新ごぼう

熊本産「菊池水田ごぼう」と書いてある。
水田で育てる冬ごぼう、とのこと。

笹がきにして、水に浸しておく。
包丁で切っても、かなり柔らかいのがわかる。

皿へ。

しょうゆに酒、砂糖を入れて割り下を作っておく。
カセットコンロに鉄鍋。

鍋へ。

こま切れから先に投入。レバーはすぐに食べられる。
笹がきごぼうも、先、割り下も投入。
そして、レバー、小松菜の順。
煮る。

ビールを開ける。
煮えたら食う。

正しい新ごぼう笹がきの軍鶏鍋、
やはり、うまいもんである。

 

 

 

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アジフライ/日暮里路麺一吉そば

今日は二本。

4073号

4月16日(土)夜

アジフライ

ハナマサ秋葉原で、開いた生の鯵を買ってきた。

ハナマサで魚を買うのか、とも思われようが、
秋葉原のような大きな店では魚の数も多い。

三枚で398円。
大きなものなので、安いといってよいだろう。
これはフライ、で、ある。

開いたものは鰯もあってもう少し安いのだが、
フライとすれば、鯵の方がよいか。

西友にもよくあるが、開いた鯵はありがたい。

これ。

開けてみると、やはり腹の部分に多少の
においがある。
水でよく洗う。

まあ、フライにすれば大丈夫であろう。

身側に軽く塩胡椒、両面に小麦粉。

全卵を割りほぐし、少し小麦粉を混ぜておく。
パン粉も用意。

玉子を通して、パン粉。

三匹。

揚げ鍋に油を用意。
点火し、180℃まで上げる。

揚げる。

大きな鯵なので、尻尾を曲げないと入らないほど。

ともあれ、三匹揚がった。

皿へ。

アジフライには、とんかつソース、
ケチャップ、さらにマヨネーズ。

全部ではないが、腹の部分ににおいが
残ってしまっていた。

青魚の場合どうしてもはらわたからにおいが出てくる。
鮮度の問題である。
処理が遅いと、取ってあっても身にも匂いが残ってしまう。
洗うのはもちろんだが、塩をして洗う、という
のも必要であったか。


4月18日(月)第一食

日暮里・路麺[一吉そば]

先日、御徒町の[よもだそば]で、げそ天そばを食べた。

やっぱり、いか下足の存在感がもう一つ。

というので、日暮里の[一吉そば]、で、ある。

今日はそう天気はよくない。
薄いコートを着て出かける。自転車用の手袋もして。

日暮里というのは荒川区で隣の区。
台東区は狭いのだが、日暮里は根岸の向こうで
ちょいとある。
どうであろうか、自転車では20分ほどか。
鶯谷、根岸に入ると途端に道も曲がりくねって、
走りずらい。
これは、江戸期にここからが農村で明治以降、
区画整理がされぬまま都市化してしまったから。
東京の都市計画は日本政府、東京市・都と比べても
幕府の方が優れていたといわざるをえなかろう。

ともあれ。
チェーンではない、個人経営の立ち喰いそばを
本来私は区別をして、路麺と呼んでいる。
やっぱりチェーンにないよさがある。
近所、小島町にあった路麺が店を閉めてから、
ちょっと困っている。

日暮里駅東口前のロータリーの左手奥の
路地裏にある。
年中無休、24時間営業。
こんな店、近所にほしい。

路麺としては、有名店だと思うが、ほんとうに
ほんのほんの小さな店。

大げそ天もあるが、ノーマルなもの。
そばも太麺もあるが、ノーマルなもの。

これで、420円。

げそ天は、下足がデカイ。
この違い、で、ある。
うまいもんである。

まったく、頭が下がる。
薄利多売の商売であろう。
それで、路麺はどんどん減っている。

だが最近は、見直されてもいるようで、
個人経営で新しく店を開く人もいるよう。

そういえば、五反田でよく行った、
讃岐うどんの[おにやんま]が日暮里駅前に
少し前にできており、げそ天そばを食べた後だが、
前を通ったら、あやうく入りそうになった。

小洒落ていなくてよい。どなたか
新御徒町に店を出してくれなかろうか。

 

一由そば

Facebook

荒川区西日暮里2-26-8
03-3806-6669

 

 

 

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海外ドラマ「ザ・クラウン」ときゅうりのサンドイッチ

4072号

4月16日(土)第一食

海外ドラマ「ザ・クラウン」というのをご存知であろうか。

今、視ているのだが、かなりおもしろい。

英国エリザベス女王と王室、さらに英国戦後史と
いってもよい内容を、王室の私生活、スキャンダルも
含めて、描いている。女王主人公の群像劇。

ソニーピクチャー制作でネットフリックスのオリジナル。
製作陣は米英。2016年から放映で、世界でもかなりの
話題になっていたようなのだが、私は知らなかった。

ドラマは戦後エリザベス女王の即位(1952年)前後から
今は4シーズンまで計40本の長大作品になっている。
最新はサッチャー首相の辞任までだが、6シーズンまでの
製作が発表されているようで、まだまだ続く。

製作費がネットフリックス最高額でこれまでで10億ドル。
本物かと見まごうばかり、バッキンガム宮殿などを
再現しているが、これも作品に厚みを与えているのであろう。

歴代首相が全員出てくる。ウインストン・チャーチル
始まり、マーガレット・サッチャーまで。
時の英国の主要政治問題をフォローしている。

私がリアルタイムで知っているのは1970年代あたりからだが
それ以前の、英国戦後史というのは意外に知らない。
1952年~英仏の権益であったスエズ運河をエジプトが国有化し
武力紛争にエスカレートしたスエズ動乱。あるいは、
英連邦、旧植民地のガーナなどが離れていく過程などなど。

また、これが最もおもしろいのかもしれぬが、王室の
スキャンダル。エリザベス女王の妹、マーガレット王女。
ほぼ知らなかったのだが、カメラマンとの結婚、二子を
もうけた後の離婚、その後、数々の男性との関係、、
かなりの破天荒を演じていたのを描いている。

あるいは、エリザベス女王の父ジョージ6世の前王で
兄のエドワード8世・ウインザー公。この人はある程度
知っていたが、女性のために王冠を捨てた男。
離婚歴のある者との結婚を認めなかった英国王室だが、
その経歴を持つアメリカ人女性との結婚を選び、退位した。
この人は、戦後も存命で、戦中ナチスと密接な関係が
あったことが戦後発覚、大スキャンダルになっていたよう。
これは知らなかった。

また、エリザベス女王の夫であるフィリップ・
エジンバラ公。この人も丹念に描かれており興味深い。
女王即位前、英国海軍の軍人であったフィリップと
恋に落ち二人は結婚したのはよく知られている。
この人は、元ギリシャ王国の王子でギリシャクーデター後、
フランス、ドイツなど点々とし、少年時代は亡命生活、
まあ、かなりの苦労をされた人であった。
また、後年、疎遠であったエジンバラ公の実母アリス王女。
晩年ギリシャでシスターとして慈善活動をされていたが、
バッキンガム宮殿に引き取られ登場する。この人が
なかなか心を動かされる。

サッチャー時代に描かれる、フォークランド紛争
空母インビンシブルが英国の港を大歓声をもって
出港する姿は印象的。往年の世界最強を誇った
英国海軍の姿を国民に思い描かせたのであろう。
そして、やっぱりこの時代、チャールズ皇太子
ダイアナ妃が私などの世代には大きなインパクトを
もって記憶に残っている。ダイアナ妃の結末を
知っているだけに重い話で、なかなか視るのに努力が
必要である。妃の華やかなスポットライトの当たる
表舞台と裏腹に、20歳の若さで結婚しすぐに精神的に
追い込まれた壮絶な姿が克明に描かれている。
皇太子は結婚以前からのカミラ夫人との不倫関係は
完全に同時進行しており、一方のダイアナ妃も
複数の男性関係があったことも。

視ていておもしろいのは英語での呼び名、敬称である。
普通は日本語吹き替えで視ているのだが、気になると
英語を聞いてみたりしている。
女王、王には Your Majesty。Majestyは君主だけ。
皇太子、王女は Your Highness。呼びかける時には、
いちいちこれを付けなければいけない。
侯爵、公爵など爵位のある貴族には Lord。
例えば、チャーチル。下の者からチャーチルは、
Sir。チャーチルは貴族の家の生まれだが、爵位
なかったのである。女王から首相はチャーチル
限らず名前ではなく Prime Ministerとフルの
役職名のみで呼ぶ。親しくなり公式会話でない時、
稀にファーストネームでも呼ぶことも描かれている。

また「女王陛下“万歳”~」である。これはhurray
フレー、で、ある。皆で「hurray!hurray!」と叫ぶ。
運動会の応援になっているあれ。へ~~。

今、エリザベス女王は95歳。チャールズ皇太子も既に73歳。
皇太子とカミラ氏との結婚は今は正式に認められ、
今年、皇太子即位後のカミラ氏の肩書は王妃と発表されたよう。
王としての名前はなんになるのであろうか。
チャールズではなくなにか別の名になるのだと思うが。

さて。
スキャンダルなどどうしても日本の皇室と引き比べて
視てしまうのもあるがこれは触れるのはやめよう。
ただ、時代との接点としたら、昭和天皇であろう。
いや接点どころのさわぎではない。時代そのもの。
即位以前、少年時代でもよいし、大正天皇の摂政時代
あたりからの私生活も含め生涯すべてをリアルに
ドラマ化すれば、日本の戦前、戦後史以上、きっと
すごいことになろう。日記類など史資料もたくさん
公開され、もうそろそろよさそうであるが。まあ、
戦後は当然現上皇上皇后にも触れねばならず、
まだ存命で難しいか。

と、いうことでイギリスといえば、サンドイッチ!。

特に、英国らしいといえばきゅうりだろう。
作ろう。今はあまり見なくなったが、私は、きらい
ではない。
そもそもサンドイッチは英国生まれという。だがなぜ、
きゅうりなのか。よくわからぬが。

ちょっとひねった作り方を見つけたのでやってみた。

まず、スライスしたきゅうりを白ワインビネガーに
漬ける。

これ、30分。

パンは薄い方がイギリスっぽいかと、8枚切り。
バターを塗ったパンに水気を取って、

はさんで、耳を切る。
マスタードもなにもなし。

これだけでは、やっぱりさびしいのでロースハムも
買ってきてはさんだ。

出来上がり。

やっぱり紅茶。最近リーフティーをスーパーで見なくなった。
売れないのであろう。皆、ティーバッグ。ネットで
手に入れている。味が違うと思うのだが。

白ワインビネガー漬けのキューカンバー、なかなかよろしい。
マヨネーズもあり、かと思うが、やっぱり、
きゅうりには酸味を加えた方がうまい。

 

 

 

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たけのこ

4071号

4月14日(木)夜

黒門町の[みやら製麺]で八重山そばを食べて
秋葉原ハナマサにまわる。

特にあてがあったわけではない。

売り場を見てまわると、たけのこ。
安くなっている。

今年は、外では食べているが、新たけのこを
自分で料理してはいなかった。
毎年のこととは思うが、新たけのこは高い。
今年特に高い?、わからぬが、なんとなく
買う気にならなかったのである。

これは二本で400円ほど。
半値以下ではなかろうか。
たけのこは、掘りたてが最もうまかろうが、
まあ、安いので食べてみようか。

今、温室栽培などでほぼすべての野菜、
農産物が一年中食べられるが、たけのこだけは
例外である。
竹藪が入る巨大な温室を作ればできるのであろうか。

落語「二十四孝」に出てくる中国の故事。
孟宗(もうそう)という者が病気の母のために雪の真冬、
たけのこを食べさせたいと、竹藪に行くがあるはずもない。
はらはらと涙を流すと、あっという間に雪が融けて、
たけのこが出た、と。孟宗の孝心に対して、
天の感ずるところだな。
へぇ~、なにかってぇと、天は感ずるんだねぇ~。

孟宗というのは竹の名前になっている。
誰か、竹藪の温室、考えではどうであろうか。

ともあれ。
これ。

出端(ではな)は九州だと思うが静岡産。

ゆでるのには、ぬか、であるが、米粒でもよい。

たけのこを洗って穂先を斜めに切り、
さらに縦に切れ込みを入れる。

水を張った圧力鍋へ。
米粒は一つかみ。

無洗米なので、ちょっと効果が心配。
ふたをして、点火、加熱加圧、圧が上がって、
たけのこの場合は、15分、高圧を継続。
消火し、放置。

30分も置けば圧は下がるのだが、
たけのこは、鍋のまま冷ますのがセオリー。
あく抜きのためであろう。

1時間半、2時間、冷めてきた。

どうであろうか。

洗う。

皮をむく。

むけた。

先はそのまま。
下は輪切り。

一番下はやはりやめておこう。
堅い。

ちょっとこのまま味見。
やはり、味がなにもなければ、もう一つ。
ただ、アクは抜けているだろう。
米粒でも、あく抜きはちゃんとできるよう
である。

鰹節と煮よう。

水、酒、しょうゆに、たっぷりの鰹削り節。

一度煮立てて、冷ましておく。
冷える間に、出汁が染み込む。

たけのこの土佐煮

出汁が十分に染みた。

かなり、うまい。
年柄年中ある水煮のたけのこと、大違いである。
味?、いや、香り、なのかもしれない。

いくられも食べられる。
とまらない。

が、まだ、大量にある。
明日、たけのこ飯にしよう。

翌日。

炊き込みご飯だが、酒を入れるので、時間をかけて
浸水させる必要がある。
昼、米を洗って、酒。たっぷり入れた方がうまい。
たけのこは細かく切る。
出汁を入れ、水加減。

薄味。
米粒が白くなっていれば、浸水OK。

これを早炊きモードでスイッチオン。

炊き上がったら、飯茶碗に盛って、
きざみ海苔を散らす。

鶏からも揚げて、もろきゅう。

鶏からは、生姜じょうゆで下味をつけて、
もちろん、二度揚げ。
もろきゅうは、金山寺味噌

たけのこ飯は、かなりたけのこを入れたはずなのに
妙に存在感が少ない。
小さく切りすぎたのか、少なかったのか。
まだ煮たものが残っていたので足したりして。

ともあれ、たけのこ、うまいもんである。

 

 

 

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上野黒門町・八重山そば・みやら製麺

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4070号

4月14日(木)第一食

新しいNHK朝ドラが始まった。
「ちむどんどん」、ご覧になっている方も多いかもしれぬ。
まあ、私は毎シリーズすべて視ているのだが、
今回は沖縄が舞台で、どんなことになるのか。

沖縄舞台というと、なぜか癒し系。
音楽、「BEGIN」などミュージシャンも然りであろう。
癒される。
あたり前のようでもあるが、おもしろいものである。

今回はお母さん役だが仲間由紀恵さんの「テンペスト
も思い出す。舞台は琉球王朝末期「美ぼうと才能を併せ
持つ女性が性を偽って」王国の高官になる。
日本でいえば幕末であり、琉球も激動の時期。
波乱万丈、なかなか見応えのある作品であった。
このあたり琉球の歴史というのは、日本人は一般には
ほぼ知らないのではなかろうか。私は知らなかった。
ちゃんと知らねば、とこれを視て気付き、
琉球・沖縄史の入門書を読んだものである。

沖縄というのは一方でなかなか難しい存在である。
この難しさは歴史的なものでもあるし、また、
基地問題などある意味、現代まで続いている。
癒し系沖縄のもう一つの面である。

琉球・沖縄というのは、別の国であると考えた方が
いいのではないか、と、考えた頃もあった。
文化も言葉も共通するものは感じられないではないか、と。

が、これは多少勉強をするとある程度はっきりした。

まず言葉であるが、沖縄方言、琉球語というのは、
言語学的には、日本語といってよいという。
文法、語彙、その他含めて。歴史的な軸でみれば、古い
時期の日本語にルーツがあるよう。

一方で、民族(民俗)学的に見ると、内地とは
大きく異なっている。
ほんの一例だが、お墓。伝統的に一族でお墓を共有するが、
日本のものと異なり、かなり大きく、むしろ古墳に
近いものにも見える。また、今は習俗としては
消滅しているのだろうが、風葬といって土葬でもなく、
火葬もせず石室にそのまま葬る。またこの墓を
共有する一族、朝鮮半島などにも共通するものがあるが、
共通の姓を持つ父系の一族は、門中と呼ばれ特別な
結び付きがあると考えられている。現代では弱まり
つつあるようだが。
あるいは、聞いたことがある方も多かろうが、
ユタという女性のシャーマンが重要な役割を果たす、
神観、精神世界も日本とは違う沖縄固有のもの
といってよいだろう。

さて、歴史的な視点。「テンペスト」でも描かれているが
明治以前の琉球王国の位置付けである。
独立国という言い方をされることも多いと思うが、
実際にはそうではない。
「薩摩入り」という言葉をご存知であろうか。
日本の江戸時代初期に幕府の命、同意のもと、薩摩が
琉球王国に攻め込み、征服。これが「薩摩入り」。
以降実情は、薩摩に支配・収奪されたが、清との
貿易は継続したいため、清に対しては独立した
王朝として振舞う二重外交のような姿を取っていた。

日本から見ると、海外貿易を長崎出島に限定していた
江戸期、もう一つの大切な裏窓口であったわけである。
沖縄では今も昆布の消費が盛んで沖縄料理でも多用する。
これは当時の中国への大切な輸出品の一つが昆布で、
大量の昆布が琉球を通っていたから。

明治に入り、琉球王は東京へ移され沖縄県として
名実ともに大日本帝国に併合された。
さらに、もう一つ。ご存知の通り、沖縄は太平洋戦争の
国内唯一の地上戦の激戦地。多数の民間人が亡くなった。
また、戦後、サンフランシスコ平和条約後も、沖縄だけは
アメリカの統治が昭和47年(1972年)まで続いた。
これが基地問題が今もって続いている経緯の一つ。

ざっくりだが琉球・沖縄の歴史、書いてしまった。

日本であって日本でない。一言ではとても言い表せない。
沖縄は沖縄、としかいいようがなかろう。

閑話休題
だが沖縄というとやはり、癒されることは間違いない。
今週、朝ドラに出てきた、沖縄そば
「こんなうまいそばを食べたことはない」と
東京からきた民俗学者(戸次重幸さん)が言う。
食べたくなったのである。

上野界隈にも沖縄料理の店は随分ある。
ちょっと調べて、そばが売りの知らないところを
見つけた。

上野黒門町、中央通りの向こう側の路地。
自家製麺八重山そば[みやら製麺]。
2018年開店とのことだが、まったく知らなかった。

ここは八重山そばで、沖縄そばではない。
内地人にとっては同じ沖縄だろと思うが、八重山
沖縄は違う。石垣、与那国、西表などの最西端の
島々を八重山という。だが、少し北にある宮古島
八重山に入らない。それこそ、歴史的には琉球王国
支配・収奪される関係にあったのだが。

1時すぎ、自転車できてみた。
中央通り、みずほ銀行のある角の西側。

小さな和建築の一軒家。なにか商売屋の居抜きか。

食券制。八重山そばのランチセットにしてみる。

そばと炊き込みご飯、小鉢、おしんこのセット。
麺はストレートでちょっと丸みのある平打ち。
これが自家製手打ち。
かなりしっかりした、ちょっとゴワッとした食感。
沖縄そばだと、縮れが多いよう。

元来、沖縄のそばは、かん水は入らず小麦粉のみで
打った内地でいううどんに近いもの。

八重山そばは細切りの八重山かまぼこ、豚バラ肉を
のせたこのようなものという。
八重山かまぼこは、まあ、さつま揚げ。

つゆは沖縄そばとあまり違わないのか、鰹節に
豚骨なども使うとのこと。
脂がなくすっきり、うま味とコクがある。

付いている炊き込みご飯は、ジューシー
でよいのか、沖縄の炊き込みご飯。
細く切った昆布などが入っている。
昆布や豚の出汁で炊いたものとのこと。

沖縄そばの歴史というのは、意外に新しく戦後、
それも本格的に広まったのは本土復帰後という。
そもそも沖縄では小麦は希少で中国から日本同様
中華麺が伝わったが高級品で一般化しなかったのが
背景のよう。

どちらかといえば素朴な味。
だが、これがよい。

ご馳走様でした。
おいしかった。


みやら製麺


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