浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



2023年鳥越祭と鶏から揚げ

4354号

6月10日(土)夜~

さて。
お祭り、で、ある。

私の住んでいるところは、台東区鳥越の鳥越神社の
氏子町で鳥越祭。四年ぶり。

祭に限らないが、日本中の様々な人の集まるものが
できなかった。

神田だったり、三社だったり、東京下町の祭りは
やっと今年解禁され、開催された。
例年通り鳥越は、6月の二週目の終末。
既に梅雨に入っている。これも例年通り。

東京下町のお祭は、神社行事は前もあれば、後も
あるのだが、お神輿が出るのが、土曜と日曜。
ここがいわゆるお祭りらしいお祭り。

多くの、いやほとんどすべてであろう、町を単位に
行われる。町というのは、町内会と同じで旧町。
(以下、町はこの旧町を指す。)
これも、東京下町のほとんどに共通しているのだろう。
鳥越は全部で十八ケ町。私の町会は元浅草七軒町。
鳥越の氏子範囲は南北に長い。
概ね、北は浅草通り、南は秋葉原、浅草橋の少し北
あたりまで。

東京下町の祭りの神輿は神社の本社神輿と
呼ばれているものと、町単位で持っている町神輿の
二種類がある。

鳥越は主として土曜日が町神輿を担ぎ、日曜日は
千貫神輿と呼ばれる巨大な本社神輿を担ぐ。

どこもそうだと思うが、町内会の者だけが担ぐことが
できる。町会毎に、揃いの半纏が決まっており、これを
着ていなければいけない。これが原則。
勝手に外からきて、担いではいけないのである。
ただ、むろん、住人の町内会だけでは人が足らず、外部に
応援を求め、町会の半纏を貸して担いでもらうのが通例
で、ある。
まあ、神輿を担ぎたい人は多いもので、同好会のような
ものを作っており、この単位で各祭をまわっている。

鳥越に特有のものだと思うが、祭の組織と町会の組織は
一応のこと別になっている。町の祭組織を「睦(むつみ)」と
いっている。町内会長と睦の代表は別の人。どうして分かれている
のか聞いたことがないが、睦というのは、鳥越神社の
氏子の組織でもあって、祭以外にも神社の行事、神事などにも
参加する。正月の初詣に極寒の中、昼夜、神社境内に詰めて
警備などにあたられている。町会と分かれているのは
政教分離ではないが、神社を信仰する氏子組織と町会行政を
分けるという意味合いがあるのかもしれぬ。(他の祭では、
祭組織が町会の中に含まれているところが多いのでは
なかろうか。)

鳥越の特徴を挙げると、もう一つ、夜祭というものがある。
神輿に火の入った提灯を付けて夜も担ぐ。
明治以降といってよいと思うが、この氏子範囲はもの造り、
職人の町で、昼間は仕事で忙しいので祭は夜行う、とも
いう。定かではないが。

土曜は夕方から。
私の住む七軒町は、都立白鴎高校がけっこうな面積を
占めているが、高校生も土曜日に担ぐ。
担ぎ始める前に、白鴎生の太鼓部の皆さんが太鼓演奏を
披露してくれる。以前からのことだが、これも復活。
町中にズンズンと太鼓が響く。景気が付いてよろしい。

町神輿は既に、神酒所(みきしょ)前に据えられている。
神酒所というのは、町の、いわば祭本部のようなところ。

睦の代表の方が神輿の進む方向に台にのって立つ。
白鴎生も含めて棒につく。
代表は拍子木を首にかけている。
ここで、代表の一言。
よほどこの四年間、忸怩たるものがあったのであろう。
また、祭ができる今日をたのしみにされていたのであろう。
心なしか胸を詰まらせている。
手締め、拍子木で、担ぎ始め。

ほんの少しだが、動画。

ここ白鴎生は初めての人も多かろう。担ぐというよりは
運んでいる感じ。

ここから氏子範囲北部の各町の神輿が通りに集合して
連合渡御というのをする。

内儀(かみ)さんはもう少しついていくというが、
私は、一度帰宅。

ここから、鶏からを揚げる。
なぜか、お祭りというと鶏から揚げが思い浮かぶ、
のである。もも肉二枚解凍しで準備しておいた。
切って、生姜をおろす。

ボールにおろした生姜、しょうゆ、酒。

漬ける。油を予熱しておく。

20分程度。ほんとはもう少し漬けた方がよいのだが、
いいか。
ボールに天ぷら粉。しっかりと粉をつけ、揚げる。

二つに分け、二度揚げ。

160℃で3分。休ませて、180℃まで上げて、1分。

揚がった。

やっぱり、ちょっと味が薄かった。
マヨネーズを掛けると、ちょうどよいくらい。

内儀さんが写真を送ってきた。

提灯に火の入った、七軒町の神輿。

さて、翌日の本社神輿渡御。今年の七軒町は朝早い8時半から。
生憎の雨。だがまあ、小降り。少し前から声が聞こえていた。

これは左衛門橋通り。一つ前の小島二丁目東町会。

春日通りを渡ったところで引き渡し。

すぐに左、細い通りに曲がる。

神酒所前。

一度置いて、一休み。再び担ぎ出し、隣の永住町まではすぐ。
狭い町内なので、毎年わずか。

ともかくも、平常に戻ってよかった、よかった。

 

 

 

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