浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



食べたものいろいろ。その2

dancyotei2018-09-04

夕方、ちょっと早い時刻。

浅草並木[藪蕎麦]。

真夏というのはあまり蕎麦やに入ろうという気には

ならないのだが、今日は呑みたくなって入ってしまった。

テーブル席がそこそこ埋まっており座敷は一組。

たまにこういうことがある。

座敷をすすめられて、窓側奥に窓を背に胡坐をかく。

冷(ヒヤ)で一合。

肴は、ここではいつも天ぷらのヌキをもらうのだが、

さすがにこの暑さに熱いつゆものもない。

板わさを頼む。

お盆にのせて一合のお銚子と蕎麦味噌が先に出る。

グラスに注いで、一杯。

ここは菊正の樽。

ほんのり香る樽の香りがさわやか。

板わさもきた。

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毎度思うがこの小さなしょうゆ差しがよいではないか。

清酒お銚子一合というのは、アルコールの量とすれば

ビール500ml一本と同じくらいであったか。

値段はここでは同じ750円。どこも大体そんなものか。

アルコールの回り方も同じような感じである。

不思議とここではお酒お替わり、とはあまり思わない。

まあ、つまむものもあまりないというのもあるし、

本来そばやでだらだら呑むのは野暮というものであろう。

ざるを一枚。

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わさびがさわやか。

さっと、手繰る。

もう一枚お替わり。

蕎麦湯も飲んで、腹も気分も、よい感じ


勘定をして、出る。

ご馳走様でした。

03-3841-1340

台東区雷門2丁目11−9

次はこれ。

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昼、お茶の水付近にいて、カレーの[日乃家]。

入られたことがある方もあるかもしれぬ。

たまに例外はあるが、基本、

ここにはチェーン店は書かないことにしている。

理由はまあ、あまり好きではないから。

個人営業の店の方が、味があって、うまいから。

[日乃屋]というのは本郷が発祥で東京を中心に

FCを含めて50店舗以上ある。立派なチェーンといって

よいだろう。

お茶の水に昼いて店の前を通りかかり「神田カレーグランプリ

殿堂入り」の看板に惹かれてつい入ってしまった。

食券制。「名物カツカレー」840円というのがある。

名物といわれ、好物なので迷わずカツカレー。

といったわけである。

結論的にはまずくない。十分にうまいだろう。

カレーはちょっとこってりめで、個性もある。

(欧風系に近いか。)

また、カツもボリューム感がある。

店のキャッチ通り、辛さはさほどでもない。

中盛というのがあったが、ノーマル盛だと少し多めか。

このボリュームでこの味で840円は決して高くはない。

神田カレーグランプリ殿堂入りがどんな経緯なのかは

ちょっとわからない。万人受けということなのか。

日乃屋

千代田区神田駿河台2-10-3

03-6273-7539

次。

秋刀魚、で、ある。

今年、既に食べられた方もあるかもしれぬ。

またまた、アメ横の魚や。

ニュースでも流れている。今年は豊漁の上に脂も

のっているとのこと。根室では小型のものが、

無料で市民に配られた、と。

アメ横のいつもの魚やで見かけたので、迷わず買った。

7〜8本あって、毎度お馴染み500円。

こんな感じ。

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そう大きなものでもなく、また、傷もあったり、

ひょっとするとすると、根室でタダで配られたランクのもの

かもしれぬ。

ただ鮮度はそう馬鹿にしてものではなさそう。

試しに三枚におろしてみる。

うん、刺身でも行けそう。

そして、おろすとある程度わかるが、脂もある。

しょうがをおろして、刺身に切る。

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ビールを開けて、食べる。
ふむふむ、十分に刺身で食える。

脂もベトベトというほどではないが、十分。

なるほど、噂通り。

すぐに焼くつもりではなかったので、大根を買ってこなかったが

我慢できず焼いて食べることにした。

半分に切って、ガスのグリルで焼く。

確かに、焼くと脂が多いのがよくわかる。

ただ、ボウボウ火が出るくらいの、過去経験のある

最も脂のある状態からは、多少劣るようではあるが。

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ただ、この数年のスカスカのものよりは

そうとうに秋刀魚らしい。

むしろ、このくらいの脂ののりがちょうどよろしい。

秋刀魚よ、よくがんばった、よしよし。

汚名返上。苦節なん年、だかわからぬが、やっと君たち

らしい姿を私達に見せてくれた。

これでこそ、我が国の大衆魚、落語のネタ。

秋の味覚の四番バッター。

そんな感じではないか。



つづく