夕方、ちょっと早い時刻。
浅草並木[藪蕎麦]。
真夏というのはあまり蕎麦やに入ろうという気には
ならないのだが、今日は呑みたくなって入ってしまった。
テーブル席がそこそこ埋まっており座敷は一組。
たまにこういうことがある。
座敷をすすめられて、窓側奥に窓を背に胡坐をかく。
冷(ヒヤ)で一合。
肴は、ここではいつも天ぷらのヌキをもらうのだが、
さすがにこの暑さに熱いつゆものもない。
板わさを頼む。
お盆にのせて一合のお銚子と蕎麦味噌が先に出る。
グラスに注いで、一杯。
ここは菊正の樽。
ほんのり香る樽の香りがさわやか。
板わさもきた。
毎度思うがこの小さなしょうゆ差しがよいではないか。
清酒お銚子一合というのは、アルコールの量とすれば
ビール500ml一本と同じくらいであったか。
値段はここでは同じ750円。どこも大体そんなものか。
アルコールの回り方も同じような感じである。
不思議とここではお酒お替わり、とはあまり思わない。
まあ、つまむものもあまりないというのもあるし、
本来そばやでだらだら呑むのは野暮というものであろう。
ざるを一枚。
わさびがさわやか。
さっと、手繰る。
もう一枚お替わり。
蕎麦湯も飲んで、腹も気分も、よい感じ
。
勘定をして、出る。
ご馳走様でした。
03-3841-1340
台東区雷門2丁目11−9
次はこれ。
昼、お茶の水付近にいて、カレーの[日乃家]。
入られたことがある方もあるかもしれぬ。
たまに例外はあるが、基本、
ここにはチェーン店は書かないことにしている。
理由はまあ、あまり好きではないから。
個人営業の店の方が、味があって、うまいから。
[日乃屋]というのは本郷が発祥で東京を中心に
FCを含めて50店舗以上ある。立派なチェーンといって
よいだろう。
お茶の水に昼いて店の前を通りかかり「神田カレーグランプリ
殿堂入り」の看板に惹かれてつい入ってしまった。
食券制。「名物カツカレー」840円というのがある。
名物といわれ、好物なので迷わずカツカレー。
といったわけである。
結論的にはまずくない。十分にうまいだろう。
カレーはちょっとこってりめで、個性もある。
(欧風系に近いか。)
また、カツもボリューム感がある。
店のキャッチ通り、辛さはさほどでもない。
中盛というのがあったが、ノーマル盛だと少し多めか。
このボリュームでこの味で840円は決して高くはない。
神田カレーグランプリ殿堂入りがどんな経緯なのかは
ちょっとわからない。万人受けということなのか。
次。
秋刀魚、で、ある。
今年、既に食べられた方もあるかもしれぬ。
またまた、アメ横の魚や。
ニュースでも流れている。今年は豊漁の上に脂も
のっているとのこと。根室では小型のものが、
無料で市民に配られた、と。
アメ横のいつもの魚やで見かけたので、迷わず買った。
7〜8本あって、毎度お馴染み500円。
こんな感じ。
そう大きなものでもなく、また、傷もあったり、
ひょっとするとすると、根室でタダで配られたランクのもの
かもしれぬ。
ただ鮮度はそう馬鹿にしてものではなさそう。
試しに三枚におろしてみる。
うん、刺身でも行けそう。
そして、おろすとある程度わかるが、脂もある。
しょうがをおろして、刺身に切る。
ビールを開けて、食べる。
ふむふむ、十分に刺身で食える。
脂もベトベトというほどではないが、十分。
なるほど、噂通り。
すぐに焼くつもりではなかったので、大根を買ってこなかったが
我慢できず焼いて食べることにした。
半分に切って、ガスのグリルで焼く。
確かに、焼くと脂が多いのがよくわかる。
ただ、ボウボウ火が出るくらいの、過去経験のある
最も脂のある状態からは、多少劣るようではあるが。
ただ、この数年のスカスカのものよりは
そうとうに秋刀魚らしい。
むしろ、このくらいの脂ののりがちょうどよろしい。
秋刀魚よ、よくがんばった、よしよし。
汚名返上。苦節なん年、だかわからぬが、やっと君たち
らしい姿を私達に見せてくれた。
これでこそ、我が国の大衆魚、落語のネタ。
秋の味覚の四番バッター。
そんな感じではないか。
つづく