浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)
断腸亭料理日記本店
 

洋食・銀座スイスの千葉カツ


6月25日(土)夜


カツカレーが食いたくなった。



定期的に食いたくなる。



なんということはない、
カレーに豚のカツレツをのせただけ、なのであるが
大好物の一つ、で、ある。


自分で作ってもよいのだが、
食べに行こう。
カツは揚げられるが、カレーが難しい。
もちろん、市販のルーのカレーではいけなかろう。


と、すると、どこがよかろう。


そうだ。


久しぶりに、カツカレー発祥の店、
[銀座スイス]へ行ってみようか。


この店の創業は戦後の昭和22年という。


創業者は岡田義人という方。
この人のお父さんは明治からの洋食の名店
麹町[宝亭]、その後「首相官邸・国会記者クラブにて
総料理長をつとめ、歴代首相の東條英機から吉田茂まで
料理を提供し」(ホームページより)たという。


義人氏は、帝国ホテルに入社。
総料理長になった村上氏と同期。


敗戦後、銀座にこの店を開いた。


私などはカツカレーの店にしてしまっているが、
日本の正しい洋食の流れをくんでいる店といって
よいのだろう。


場所は銀座3丁目。


銀座通りから有楽町側に一本入った裏通り。
同じ洋食の超老舗[煉瓦亭]の並び、と
いってよいほどのすぐそば、でもある。


[煉瓦亭]が休みだったり、
一杯で入れなかったりしたときに、
なんというポジションになってしまった
こともあったり。


[銀座スイス]は昼から通しの営業。
入ったのは昼下がり2時すぎ。


ずれた時刻だが、にぎわっている。


間口も一間ほどか。
さほど大きな店ではないが、
久しぶりにきてみると左側にカウンターの
一人席ができていた。
そこに案内される。


座って、迷わず「千葉カツ」1,400円也。


ここはカツカレー発祥の店、なのだが
そのきっかけは巨人の千葉茂氏。


千葉茂という巨人の選手は若い方は知らなかろう。


千葉氏は昭和31年引退なので私などでも
現役時代はむろんのこと知らない。
せいぜい解説者として見たことがあったくらい。


巨人には戦前の昭和13年に入団で、戦前と
戦後すぐからが活躍の時期ということになる。


カツカレーが生まれたのはこの店創業後すぐの頃
のようである。
当時常連であった千葉氏がどちらも好きなので、
カレーにカツをのせてくれとの依頼で
始まったとのこと。
戦後すぐであれば、千葉氏はまだ20代で、
やはり今風にいえばガツンと食べたかった
のであろう。


当初は、千葉氏のためのいわゆる
裏メニューであったようだが、瞬く間に、
カツカレーは全国に広まったらしい。


さて。


ポタージュスープがきて、





これが千葉カツ。



ここのカツカレーにはなん種類かあるが、
千葉カツは肉が120g。


久しぶりに食べるので、以前からそうであったか
よくわからぬが、ここのカツは、ラードでは
ないかもしれぬ。


カレーはコクのあるタイプ。
いぜんはカルカッタ風カレーといっていたようだが、
やはり創業者の帝国ホテル仕込みのものという。


ご飯が楕円形の型に入れて固めてあるのが
おもしろい。


うまかった。



ご馳走様でした。



勘定をして、出る。


私自身、カツカレーといえば
今は閉店してしまったと思うが、
飯田橋のスタンド洋食というのか、スタンドカレー
というのか、[めとろ]のものが好きであった。


カツもラードで揚げて、カレーも濃い味で。
かなりヘビーといってよいような。


やっぱり、基本がガッツリ系のメニュー
なのであろう。
上品ではいけなかろう。
カツも大きくラードで揚げて、
ルーもこってり濃い味で。
量も多め。



微妙なところだが、むずかしい。






銀座スイス





03-3563-3206
中央区銀座3-5-16