浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



駒形どぜう

5月22日(木)夜



今日は一日、オフィス。



夕方から、なにを食べようか考えていて、
季節もよい、久しぶりに駒形のどぜうやへ行こうと思いついた。


決めたら、なんだかウキウキしてきた。


[駒形どぜう]は元浅草の拙亭から真っ直ぐ東、
隅田川の方へ歩いていけば、10分くらいであろうか。
この前の日曜日、三社祭の見物に行った時も
通りかかった。


店のそばへ行くと漂ってくる、あのしょうゆとねぎの匂い。
堪らないものがある。


大江戸線、拙亭最寄りの新御徒町から一駅先、
蔵前までいって、降りる。


地上に上がると、、、ウワッ、なんと、土砂降りの雨。


地下鉄に乗る数分前には妙な風は吹いていたが
まさかこんな土砂降りになるとは、思いも付かなかった。


大江戸線蔵前駅から[駒形どぜう]までは
ものの五分である。
上がってすぐのコンビニでビニール傘を買って、歩き始める。


しかし、数10m歩く間に、もうだめ。
雨が激しいだけでなく、風も強い。


まさにバケツをひっくり返したような雨が
横殴りに叩きつけてくる。


蔵前通りの銀行のATMが開いていたので、
しばし、雨宿り。
5分ほど。これはとてもすぐにはおさまりそうにない。


[どぜう]は、もう目の前。
意を決して、出る。


うぉ〜〜〜。[どぜう]に駆け込む。


上着からズボンから、鞄からもうずぶ濡れ。


なんだか、どぜう決死隊といった、有様である。


下足のお兄さんも気の毒そうな様子。


ともあれ、たいへんなことになってしまったが、
なんとか[どぜう]にありつけそうである。


お膳がわりの桜の一枚板が並ぶ入れ込みの大座敷、
案内された場所に濡れてしまった上着を脱いで、
ズボンも濡れてしまって多少気持ちがわるいが、
まあ、それよりも[どぜう]の方が今は、大事。


座って、とにもかくにも、ビール。


それから、丸鍋丸鍋
もう、これしかない。


着物姿の若いお姐さん(お嬢さんか)に頼む。
(そう、この店はいつも皆、若いのである。)


すぐに、くる。




待ってました、丸鍋



ここの品書き上の名前は、どぜうなべ。


丸のままなので、通称、丸鍋、なのであろう。


開いたものもあり、若い頃には丸の鍋は、
やはり苦手で、開いたものを食べていたのだが、
いつの頃からか、丸鍋でなければ、だめになった。







ねぎ。



もうこれを山盛り鍋に載せる。



どぜうを食べているのか、ねぎを食べているのか、
わからぬくらいだが、ここの割り下で煮たねぎは、
滅法うまいのである。


ねぎが煮えるのが待ちきれず、どぜうから。








わたしは、山椒も七味もかけない、そのまま。



ここのどぜうは、むろん下拵えが既にされており、
すぐにでも食べられる。
なんでも味噌で煮ているという。


ねぎも煮えてくる。


ここからは、ねぎ中心。
煮ては食べ、食べては煮る。


うまいうまい。


ビールはスーパードライ


これもうまい。


一枚食べ終わると、お姐さんに、
丸鍋、お替り!。


そして、お酒も、冷で。








この猪口がよい。









かわいい将棋のこまの中に、どぜう。



駒形どぜう、の、洒落、であろう。
粋なものである。


どぜう、ねぎ、どぜう、ねぎ、どぜう、ねぎ。


まことにもって、堪えられないうまさ、で、ある。


食べ終わり、お勘定。



ここも座って勘定をする。



勘定をすると、下足札の裏が、代済、に、なる。





うまかった、うまかった。



ご馳走様でした。



お姐さん達が、ありがとうございます〜。



濡れ鼠になったことなど、すっかり忘れてしまった。


むろん、雨も嘘のようにやんでいる。



幸せな気分で、ぶらぶら帰宅。






駒形どぜう




台東区駒形1-7-12
TEL.03-3842-4001