7月3日(水)夜
夕方、今夜は、なにを食べようか
考える。
洋食。
久しぶりに、ヨシカミにいこうか!。
うん。
ヨシカミで、チキンライスと
コンビネーションサラダ、だ!。
ヨシカミという洋食やは、ご存知であろうか。
浅草六区にあり、浅草でも有名な洋食や、と、
いってよいのであろう。
浅草には洋食やは数多い。
それも老舗が目白押し。
先日、浅草にはうなぎやが多いことを書いたが、
なんのなんの、洋食やの方が、もしかしたら、
多いかもしれない。
池波レシピも複数ある。
私は、ミックスフライならば、観音裏のグリルグランド、なのだが、
最も頻繁に足を運ぶのは、六区のこの店、で、ある。
夜の早い浅草だが、ここは比較的遅くまでやっている。
むろん味もよいが、なにより居心地がいい。
これが理由。
元浅草に住む私の最寄駅は大江戸線新御徒町、なのだが、
ここでTXに乗り換えて、一駅、浅草までくる。
TXの浅草駅も地下深い。
延々とエスカレーターであがるのが、退屈で、
うっとうしいのだが、TX浅草駅の壁には
浅草縁(ゆかり)の役者、演芸人、作家などのイラストと一言、
説明がかかれており、これが、なぐさめられる。
もちろん、池波先生もその中の一人。
六区側へあがって、演芸ホールの脇を抜け、
六区の通りを突き抜けて、次を右に曲がる。
今日は午後から雨になり、傘を差して小走り。
今日の靴は晴天仕様で、うっかり水溜りに踏み込むと
水が入ってきてしまう、のである。
天気予報をよく見ないで、出てきてしまった報い、
で、ある。
(晴天仕様といっても、靴がおんぼろで、
穴があいている、というのではない。
通気性をよくするためにそうしてある靴、なのである。)
ドアを開けて、店に飛び込む。
ここへ入ると、なんだかホッとする。
天気のせいか、比較的すいている。
カウンターへどうぞ。
と、大きな声。
手前カウンター、左側に座る。
座ってすぐ、
ビール!。
中瓶?
中瓶!。
メニューが出されるが、見ずに、
チキンライスとコンビネーションサラダ!。
と、応(こた)える。
もう夕方からこれを考えていたので、
迷うものはない。
いや、今日だけではなかろう。
このところ、ここへくれば、この組み合わせが多い。
ビールがくる。
お通しは、揚げたかき餅。
コンビネーションサラダは、ちょうど、
この座った目の前で若い衆が作る。
材料をボールに入れ、マヨネーズで和える。
この時、ボールをカッツ、カッツ、カッツ、
と、小気味よい音を立てながら、振る。
普通、サラダというと、盛り付けた後に、
ドレッシングなどをかけるが、ここのものは
上からもかけてあるが、下の野菜も、あらかじめ
マヨネーズで和えてある。従って、全体に均一な味になる。
この手間がよいのである。
目の前なので、すぐに出てきた。
これもつまみに、ゆっくりとビールを呑む。
マヨネーズが行き渡っているのだが、
決して、酸っぱすぎない。
これも、よい。
タイミングをはかっていたのかどうなのか、
残り、ビール一杯くらいでチキンライスがきた。
池波先生も好物であったが、洋食やでは、どこの店でも
ほぼ100%、私はチキンライスを頼む。
なかでも、ここのものは、私の好みには最も合っている。
なにがうまいのかといえば、味が濃い。
下町の味、と、いってよいのかもしれない。
厨房できびきびと立ち働く料理人達を見ながら食べられる、
このカウンターの席も、よい。
ホッと一息。
短いが、居心地のよい時間、で、ある。
ご馳走様でした。
うまかった。
食べ終わり、立って、勘定をし、出る。
雨はまだ降っている。
タクシーで帰ろうか。