浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



ラーメン・天神下・大喜

3月12日(水)夜


20時過ぎ、オフィスを出る。


久しぶりに天神下のラーメンや、大喜
に、いってみようかと思い立つ。


特に明快な理由はないのだが、なんとなく暖かくなってきたから、
というようなことかもしれない。


今日は、大江戸線上野御徒町ではなく、
もう一つ前の本郷三丁目で降りる。


天神下の大喜はちょうど、湯島切通坂の下で、
距離は、それでも上野御徒町の方が近い、のであるが、
気分的に、広小路から、客引きの間を通るよりは、
本郷三丁目から静かなところを歩きたかった。


降りると、本郷三丁目の交叉点。
静か、とはいっても春日通りは交通量も少なくなく、
それほど楽しい道、というわけでもない。


日本史や民俗学の専門書で懐かしい、出版社、吉川弘文館があったり、
本富士警察、東大病院の入り口があったり。


しばらくいくと、右側に、湯島の天神様。
道は左にカーブし、切通坂、に、なる。


昔は随分急な坂であったようだが、今はそれほどでもないし、
切通し、というほどの崖、でもない。


坂を降りていくと左側に側道のような不思議な
スペースがあり、その先、側道の切れたところに
大喜がある。


着くと8時半、それでも2〜3人の列がある。
やはり、堅実に、人気なのであろう。


券売機で先に、食券を買おう。
なにがよかろう。


ここも毎度来るたびに、新しいメニューや、
限定メニューがあるので、たのしみ、で、ある。


中で、「とり和えめん うめしそ風味
夜限定10食 太麺です」、というもの。
お薦め、という感じである。
これにしてみよう。
それから、レモンサワーも。


さほど待つこともなく、入れる。


座ったのは、カウンターの奥。


お通しをつまみ、レモンサワーを呑みながら、待つ。


今日は、そばのテーブルで、
数人で呑んで大騒ぎをしているお客がいる。
常連なのか、わからぬが、いつも比較的静かなお客の多い中では、
珍しいかもしれない。


きた。とり和えめん





汁なしのぶっかけ、というのか、和え麺で、ある。
別に、スープが付いている。


上に、半熟卵。
混ぜて食べる。


太麺とはいいながら、汁なしのためだろうか、
平たい麺で、柔らかめに茹でられている。


また、うめしそ風味は強いものではなく、
ほんのりまろやか。


鶏肉も細かく切ってあり、混ぜて食べていると、
ラーメンという感じではない。


こうした、汁なし麺は、日本では、冷やし中華が最も
一般的、で、あろう。それ以外では、肉味噌の
ジャージャー麺系のもの、あるいは、油そば、と、
いわれるような、香味油で麺を和えたもの。
そんなところであろうか。


共通するのは、最もさっぱりした、冷やし中華でも
油が入っている


比べると、このとり和えめんは、油っ気がほとんどなく、
実にさっぱり。
そこが、ラーメンっぽくない、ということである。


やはり、このあたりが、和食出身のご店主、らしさ、
ということであろう。


おもしろい。


さっぱりの和風和え麺、で、あるが、半熟卵なども入っており、
また、麺の量も多目であるのかもしれない。
食べ応え、満足感も、ある。


スープは鶏の出汁であろう。
澄んだ鶏のスープなのだが、麺とは対照的に濃厚な風味で、
これも、うまい。


食い終わり、出る。



やはり、毎度ここでは、くるたびに他にはない、
オリジナルの味(だが、奇を衒うだけではなく、
大人が食べて納得できる、こなれた味である。)を
感じさせてくれる。


これだけで、天神下大喜、
十二分に価値のあるラーメンや、であろう。



帰りは、上野御徒町まで歩く。




HP



大喜
東京都文京区湯島3-47-2 白木ビル 1F
03-3834-0348