今日は昨日の続き。
2月19日(月)夜、浅草橋のそば屋、あさだ、へ、いく。
オフィスのある牛込から、歩き、神楽坂を通り、
飯田橋から、総武線に乗り、浅草橋まで。
浅草橋駅、から蔵前通り(江戸通り)沿い、左側を北上する。
須賀神社のところまできた。
この蔵前通りをはさんで、向こう側(東側)が、
幕府の浅草御蔵、米蔵、で、あった。
と、ここまでが、昨日。
このあたりから、浅草御蔵の、北端は、今の地図では、
春日通りのひとつ手前の信号まで。730mほどか。
やはり敷地だけでも随分大きいものであったことがわかる。
ここで、この蔵の説明を、くどくどと、するのはやめよう。
道のこちら側(西側)は、ほぼ、ずっと、町屋が続いている。
南から、御蔵前片町、森田町、元旅籠町など。
片町は、かたまち、と読むが、東京にも、あるいは、
他の城下町にもよくある町名である。
東京では、他には、飯倉片町、駒込(西)片町、谷中片町などある。
今、町は、ある区画、というとらえられ方だが、
江戸以前は、普通、町は、ある通りに沿って両側にできるもの、
という前提があった。それに反して、片側が大名屋敷などで
文字通り、片側にしか町ができないところを、特別に、
片町、という言い方をしたのである。
で、その、御蔵前片町、で、あった。
御蔵前片町に限らず、その手前から、先に並べた町々には
ずらっと、ご存知の札差(ふださし)、が並んでいた。
札差とは、とても簡単にいってしまうと、
旗本・御家人、相手の金貸し、ということになろう。
(札差の細かい機能にご興味のある方は、
下記ページをご参照いただきたい。)
これは台東区などの事業として行われた
「札差」についての記録映画である。
実際に、筆者これを視たのであるが、なかなかおもしろかった。
「札差」といえば、江戸時代、それはもう、とてつもない金持ち。
十八大通、などという言葉があった。
通人、つうじん、とおりびと、などともいったが、
お金が湯水のごとくあって、それでいて、
義侠心に富み、しゃれっ気があり、吉原でも大盤振る舞いをして遊ぶ。
芝居(歌舞伎)の大スポンサーでもあったり、町や、人々へも
お金を還元することを惜しまない。
十八大通は、そんな通人で有名な人が18人いた、
ということなのである。
そして、そのほとんどが、蔵前の札差であった。
まあ、そんな札差、なのであるが、筆者の知人で
元は、家は、蔵前で、札差をしていた、というのが
たまたま、複数いた、のである。(これは珍しいことであろうか。)
そんな大金持ち、であった家が、世の中が変わってしまった
明治以後、どうなったのか。
これは、素直に興味のあるところである。
しかし、当然ながら、ご先祖のこと、デリケートなことであるので、
そんなことは、そうとう親しくなければ、聞けるわけもない。
札差の実際や、その明治以後に、ちょっと、興味があったのである。
上の、記録映画は、実は、あの、財閥、住友(泉屋)の話、であった。
住友の地盤はご存知の通り、関西である。
(江戸時代の豪商から、今に続いているのは、
江戸の三井、大坂の鴻池、住友、で、あろうか。)
筆者、知らなかったが、住友は江戸の頃、
蔵前の札差もしていた、のであった。
そして、泉屋の主人は、やはり当時、文化的なことにも熱心であった。
今でいうメセナ、活動のようなものであろうか。
札差の歴史は、お上(かみ)の歴史でもないし、
庶民の歴史でもなく、(研究はあるのだろうが)
意外に、その実際や、その後が知られていない。
しかし、これも、江戸・東京、なかんずく台東区の歴史として
欠かせないものの一つではなかろうか。
さて、そば屋、あさだ。
須賀神社の少し先にある。
こじんまり、こぎれいな店先。
入ると、だいぶにぎわっている。
あいていた奥のテーブルに案内される。
店の中は、思ったより、広くはない。
かといって狭くもない。
二階に座敷もあるようである。
和服姿の女将さんが、アルバイトの女の子を
シャキシャキと仕切っている。
創業は幕末、安政元年(1854年)という。
今のご店主で、八代目、らしい。
お酒、お燗。酒もご店主が利酒師で、いろいろある。
福島の大七にする。
つまみもいろいろあるが、白子の天ぷらと、
鶏肝のもろみそ漬、というものを、頼む。
酒
(ちょっとピンボケ)
お湯が入っており、保温機能のついた、ちろり、に入れられてきた。
(筆者が、湯呑みにお湯を入れているのと同様であるが、
よっぽど気が利いては、いる。
しかしまあ、自宅でこれを使うということは、
筆者の趣味としては、したくない。)
鶏肝もろみそ
鶏レバーであるが、ちょっとしょうがが利いており、なかなか、よい。
白子
そば屋の天ぷららしい香りで揚がっている。
塩で、ばくばくと、食ってしまう。
〆は、セイロ。
堅めに茹でられている。
これは好みが分かれるかも知れぬが、筆者は悪くないと思う。
つゆの濃さは、むろん下町のもの。
量をいうのは、野暮だが、十分にある。
女将さんのキャラクターなのであろう。
ホームページなどを見ていったが、そこで受けた印象ほどの
敷居の高さはなく、むしろ下町らしい、よい感じの上品さと
くだけ方、で、ある。
つまみも多い。
複数でいってもよい店かもしれない。