7月5日(火)夜
秋葉原、である。
ここも、課題であった。
インド料理のジャイヒンド。
秋葉原、と、いえば、ほぼ、近所、と、
いってよかろう。
もちろん、ウイークデーである。
会社帰り、秋葉原駅で妻と待ち合わせ、行ってみる。
今、秋葉原は、大きく変わっている。
ヤッチャバ(青物市場)神田市場の大田区へ移転後の、
跡地には、大きなビルが建てられ、つくばエクスプレスの
秋葉原駅も、このビルにできるらしい。
この名前は、古い。
江戸からのものである。
江戸の地図
おわかりになるであろうか。
左側に「下谷練塀小路」の名前が見える。
見た通り、このあたりは武家地である。
(ちなみに、練塀、とは、土と瓦とで築き、
上を瓦でおおった塀のことで、
どうかすると、今でも古い寺などにある。)
上が南である。
右の方に「下谷御成街道」★という文字も見える。
これは、今の、中央通り、で、このあたりまで、下谷、であった。
現在は、ここは神田で、千代田区である。
(下谷、は、台東区である。)
練塀町は、明治になり、神田区へ編入されたようである。
練塀小路の名前は、講談・芝居のお好きな方は、
ひょっとするとご存知かも知れぬ。御数寄屋坊主の
河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)の物語★で、
宗俊が住んでいたところ、とされているようである。河内山宗俊は、
勝新などもドラマで演じているので、ご存知の方もおられるかも知れない。
ともあれ、こうした、由緒ある町名が残っているのは、よいことである。
(どうも、千代田区はまだ、昔の町名が残っている。
それに比べて、台東区は見る影もない。
もうよいであろう。戻しましょうよ。)
例によって、前置きが長くなってしまった。
インド料理・ジャイヒンドとは、なんの関係もない。
店は、入り口の真正面がタンドリー、のようである。
席は、右側奥になっている。
蒸し暑い。インドのビールを頼んでみる。
注文は、なにがよかろう。
カレーが三種と、タンドリーチキンなどの付く、タリーセットにしてみる。
左から、豆、ほうれん草とチキン、そして海老のカレーである。
そして、フルーツのヨーグルトと、タンドリーチキン、サラダ、ナン、である。
写真奥左手にインドビール。
マハラジャ、と、キングフィッシャー。
どちらも、普通のピルスナータイプのもの。
マハラジャは、ちょっと、クセがあり、キングフィッシャーは飲みやすい。
さて、カレー、なにもいわなかったので、この店の
普通の辛さであろうかと思う。
どれも、とくにクセや、なにか特定のスパイスが際立っているのではなく
バランスが取れているように思う。
また、全体的に、とてもコクがある。
とくに、海老のものは、ヨーグルトが入っているとみられ、
こってりとしている。
また、豆のカレーは小豆のような小粒なもので、
ダール、というらしい。豆のあまみが生きていて、うまい。
どれも、日本人に食べやすくつくられているが、
インドカレーを食べた、という、満足感は十分にある。
また、ナンが、うまい。
パリパリし過ぎず、モッチリとした食感と、
ヨーグルトのさわやかな、風味が生きているように思う。
(店の自慢でもあるらしい。)
それから、タンドリーチキン。
骨付きのチキンと、棒状の挽肉を串に刺して焼いたもの
(カバブ、というのであろうか)。
どちらも、少し、燻製のようなスモークの香りがある。
他のインド料理店のものよりも、脂があるように感じられ、うまい。
シェフのラジさんは、コミック「おいしんぼ」をはじめ、各種メディアにも
登場され、なかなかの、腕前の持ち主のようである。
ジャイヒンド。全体を通して、とても、バランスが取れ、うまみが深く
噂通り、うまい、インド料理店であると、思われる。
またこよう。ランチでもよいかも知れない。
★「下谷御成街道」
御成り、とは、もちろん、将軍さまの、御成り、である。
将軍が、寛永寺へ御成りになる時に、通るため、こう呼ばれた。
上野東叡山寛永寺は江戸城鎮護の祈願寺として、また、増上寺に並ぶ
将軍家の菩提寺、でもあり、さらにまた、江戸の鬼門(北東)を
守る、幕府の軍事上の要でもあった。
★河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)の物語
講談では、「天保六花撰」。歌舞伎では河竹黙阿弥作「天衣紛上野初花」
(くもにまごううえののはつはな)明治14年、團十郎・菊五郎・左團次
の組み合わせで、新富座で初演した、という演目である、と、いう。
『募集』
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