浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



立ち喰い鮨・浅草まぐろ人・雷門出張所 その2

4535号

さて。

引き続き、雷門の立ち喰い鮨[浅草まぐろ人]。

光物の二巡目、なのだが、やっぱりおもしろい
ものがあった。

太刀魚。
光物に入れるべきかどうか。
まあ、そもそも、刺身で食べる魚でもないのだが。
どこであろうか、東京湾でも最近は大きいのが
よく釣れるらしい。
従って、安いのか。

もともと、太刀魚は西の魚で、私が子供の頃、50年、
60年前には東京にはあまり出回らないものだった。
やはり、温暖化であろうか。
ともあれ、もちろん江戸前鮨のねたではなかった。

そして、もう一品、小鯛。
いわゆる、春子(かすご)鯛、で、ある。
若狭なども有名だが、江戸前鮨でも、これは昔からある。
光物に入り、〆てにぎってきた。
昨年も食べているが、ここでは、昆布〆で出される。

そして、大定番の小肌。

左から、小肌、太刀魚、小鯛昆布〆。

太刀魚は、塩とレモンを掛けますか、と、聞かれたが
味見のため、そのままにしてもらった。
淡泊だが、うま味があり、よい歯応え。

これ、なにかしているのかもしれぬ。
多少水分が抜けている感じ。
焼き霜(しも)などともいうが、バーナー?で
皮目を炙っている。または、炭ではなかろうが、ガスで
炙って、すぐに冷やして、皮を取る?。
なんとなく表面はそんな感じ。
お湯をかけて表面だけ加熱し、急冷するのを霜降りというが、
炙って同じ状態にするのを焼き霜という。
鰹の叩きなど、藁の火で炙るが、あれも焼き霜の
一種ということになろう。

小鯛昆布〆。
これ、どうなのであろうか。伝統的な春子の酢〆よりも
昆布〆の方が手間が掛からないということか。
普通の鯛では伝統的にやってきたもの。
水分が抜け、昆布のうま味が加わる。
まあ、これはこれでうまいとは思うが、
酢〆を越えてはいないように思う。
いかがであろうか。

小肌。
包丁を縦に入れ、半身。魚はかなりデカいか。
だが、身は薄く、十分にうまい。
〆加減もよろしい。
小肌は、身が厚くなるともはや小肌とは
いえなかろう。

ここで、ビールも呑み終ったので、
味噌汁をもらい、お茶に。

味噌汁は、浅利。

作る人によって、違う、と前に板さんの誰かが
言っていたのが耳に入ったことがある。
今日は心なしか、出汁が弱いような、、。

さて。

かわり種がまだある。
とはいっても、これはずっとあるか。

ふぐ、白魚。
そして、かわり種ではないが、平貝。
平貝は貝類では唯一好物。
サクサクとした食感がよろしい。
こうして長く切っているのはあまり見ないか。
いい感じ。

そして、4月に入るが、ふぐはいつまであったか。
昨夏のこの日記を見返すと、7月には食べていない。
6月にはふぐ白子だけ食べている。
さすがに夏にはなかったのか。
そして、このふぐ、なんであろうか。
とらふぐ?。私など、ふぐを長年食べているわけでもないので
まったくわからぬ。強い歯応えはふぐ、であるのは
わかるが、関東だととらふぐよりも、まだ、しょうさいふぐと
いうのが、一般的という。

白魚。
これは、茨城、青森あたりか、そろそろ終わりであろう。
江戸前鮨では、ゆでたものを昔から食べられてきたが、
やはり、生の軍艦がうまい。

随分食べたような気がするが、そろそろ、終盤。
ここでは、まぐろは食べておかねば。

ヅケと中とろ、といって出てきた。

これ、どう見ても、大トロ、であろう。
そして、厚切り。
ここで中トロはなん度も食べているが、こんなのが
出てきたのは初めて。(まさか間違えた?)
やはり、生、であろう。
さすがの、まぐろ仲卸経営。
極上。まさに堪えられぬ。

ヅケもよい塩梅。

最後は、海苔巻。

やっぱり、鉄火、細巻。

細巻だが、まぐろの太さ。

はち切れている。

ここの鉄火巻のまぐろは、実際には、時によって、
凸凹あると感じるのだが、今日は間違いなく、
みずみずしい生。

うまい。

あー、やばい。

調子に乗って、喰いすぎた。

かなりの、腹一杯。

ご馳走様でした。

勘定は、いつも4000円台のところ、
5000円台になってしまった。


浅草まぐろ人

台東区雷門2-18-12
03-3847-7139

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

立ち喰い鮨・浅草まぐろ人・雷門出張所 その1

4534号

3月31日(日)第一食

開花宣言も29日に出て、やっと本格的に春、か。

季節が進むと、魚介類も変化する。

と、いうことで、鮨、で、ある。

[浅草まぐろ人]

3月の頭にきていた。

14時すぎ。

よい天気。
さすがにもうコートはいらない。
いや、それどころではない。
最高気温、28.1℃(13時32分)。
極端である。

雷門の立ち喰いは入れるであろうか。

相変らず、界隈はごった返している。

ガラス越しにのぞいてみると、一人くらいは
入れそうか。

開けてみる。

一人、というと、カウンターの一番手前が
開いているよう。

荷物をおろす。

おしぼりが出てくる。

手と顔も。
天気がよいと、やはり花粉がひどい。

ビールをもらう。ここは生のみ。

いつも通り、いかと白身から。

すみいか、活〆平目、鯛。

すみいか、というよりは、紋甲いか。と、いうのも
へんかも知れぬが、ともかくも大きいものであろう。
ただ、薄く切ってある。

平目も鯛もうまい、のだが、腹が減っていて、
なんだかバクバクと食べてしまう。

まあ、にぎりの鮨というのは、だらだら食べる
ものではない。そう、これは、池波先生の教えでもあった。
呑みながら、喋りながら、握ってもらったものを
いつまでもそこに置いておくのは厳禁、で、ある。

勘違いをしてはいけない。そもそも、そばやも同様だが、
呑みながらだらだらいるところではない。
酒なら一合、ビールは一本まで。
鮨やなら、あとはお茶。
酒が呑みたければ、居酒屋か料理やへ行け!。
おまけに、こんな立ち喰い、店にも迷惑である。

さて。
次は、光物だが、光物と白身の中間(?)から。

お!、やっぱり、顔ぶれが変わっている。
さより。
さよりの旬は春と秋、と聞くが、やはりこれを見ると
春になった気がする。

さよりは光物に普通入れるが、味はほぼ
白身、で、あろう。

と、いうことで、

白身と光物の中間。
さよりと、しまあじ、かんぱち。

しまあじ、かんぱちは、普通はどちらかといえば、
白身に入れるが、私は光物に入れたい。

さよりは、おろし生姜をのせている。

さよりだけ妙にちっちゃい。
魚が小さいのであろう。
この時期、さよりは脂がのる。
むいてしまう皮との間に脂がある。
皮だけ串に巻いて焼いたりしても、うまい、
のである。

しまあじ、かんぱち、も、ぷりぷりで、うまい。

次から正調、光物。

品書きホワイトボードの端から、いこう。
〆鯖、鰯、鯵。

光物=青魚、というのは、魚の中でも大好きだし、
にぎりの鮨でも、もちろん絶対的に欠かせない。
なぜか。
もちろん、うまいから。
そして、なにより安い。

また、光物は刺身もうまいが、にぎりに
するとよりうまい。これも大切なポイント、
で、あろう。

特に〆鯖というものは、棒ずしの京都はむろん、
全国にあると思うが、鯖は酢〆にしてうまいし、
酢飯との相性は抜群である。

ともあれ。

鰯も鯵も厚く切られている。
やはり、安い魚だからこそ、といってよかろう。
鰯は柔らかく、鯵はプリっとした食感。
光物のにぎり鮨として、十二分にうまい。

ここの〆鯖は、比較的水分多めに〆られている。
水分多めといっても生の部分があるわけではない。
きちんと全体に酢は入っている。
私が〆鯖を作っても最近はこんな感じであった。
たっぷりの塩で水分を抜いた後、酢100%ではなく、
水50%で割ったもので漬けている。
最近は皆こんな感じなのかもしれぬ。

そういえば、他の鮨やといえばこのご近所の
[美家古寿司]くらいにしか行かなくなったが、
あそこには〆鯖をあまり見た記憶がないような
気がする。本来の江戸前には〆鯖はないのか。
東京湾では鯖は獲れない?
今度聞いてみようかしら。


つづく


浅草まぐろ人

台東区雷門2-18-12
03-3847-7139

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

とんかつ檍のカレー屋・いっぺこっぺ・秋葉原店

4533号

3月27日(水)第一食

カレーというのは、もちろん定期的に食べたくなる。
皆さんもご同様であろう。

スパイスカレーではなく、日本のカレー。

今まで、日本のカレーなら[日乃屋][ゴーゴーカレー
[上等カレー]の三軒のどこかであった。

どこでも、カツカレー。
やっぱり、カレーならば、カツカレーしか
あるまい。

それぞれカレーはうまいのだが、
ここを知ってからは、他の選択肢は
今のところなくなった。

とんかつ檍のカレー屋[いっぺこっぺ]秋葉原店

カツカレーだが、カツはとんかつ専門店の
ハイレベル。
カレーも十分うまい。
ロースのカツカレーで1200円。

前記の3チェーンと比べてもべら棒に高くはない。

さて。

今日は天気もよい。
最高気温、16.5℃(14時50分)。
まだ開花宣言は出ていないが、
本格的に暖かくなったといってよいか。
いや、明日はまた雨模様のよう。
もう少し掛かるか。

薄いコートを着て自転車で出たが、着くころには
もう脱いでしまった。

15時すぎ到着。
通し営業はありがたい。

入ると珍しく、珍しくお客はなし。
こんなこともあろう。

券売機でロースのかつカレーを買って、
カウンターの一番手前に掛ける、食券を
渡す。

ややあって、きた。

カレー、キャベツ千切り、ご飯、その上に
揚げ色は濃いめのロースのとんかつ。

ご飯とキャベツ千切りはおそらく型に入れて
盛り付けてある。
それで、どちらもかなりの大盛。

アップ。

厚いかつの断面。
ここは、ブレなく、薄ピンク。

当然のことだが、流石であろう。
タイマーなどは使っていないよう。

厚いロースにいつも差なく、ほどよく熱を入れるのは
よほど難しいことである。
油温の設定、調整、揚げている時間。

とんかつ、カツレツの名店ではそれぞれ、いろんな
方法を編み出して揚げている。
油温の違う油で二度揚げ、三度揚げ。
低温で長く。

それでも、毎日、毎回、同じではないのでは
なかろうか。
どうやって、程よい同じ揚げあがりを
見極めているのであろうか。
まったく、わからぬが。

いつも通り、小皿に塩を取って、つけて
かつを食べる。

そして、カレーはご飯と合わせて。

最後の一切れだけ、かつカレーにして食べる。

やはり、全部食べると、私にはかなりの量。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。

カレーが食べたくて、きたのだが、
やはり、かつを大事に食べることになる。

二倍愉しめる。

充実のかつカレー、で、ある。


とんかつ檍

千代田区外神田3-5-3
03-6384-0015

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

麻布十番・そば・更科堀井本店 その2

4532号

3月26日(火)第一食

さて。

週をまたいでしまったが、麻布十番であった。

三軒ある、永坂系そばや。

三軒行ったわけでもないし、どこがどう、
ということはわからない。
なぜか[布谷太兵衛]には行っていない。
坂下の[本店]と[堀井]には行ったことがあるが
随分前にそれぞれ一回ずつだけで、あまり記憶がない。

で、今回は、その創業家経営の永坂の付かない
[更科堀井]。

大江戸線から地上に上がってくる。

そこそこ強い雨

時刻は14時前。

麻布十番大通りも少し前から比べても、
随分と変わったのではなかろうか。

まあ、あまりくるところでもないので、
はっきりしたことはわからなないのだが、
それこそ“山手の下町”といわれたように、
ちょっと庶民的な商店街であったと思う。
今は、かなりお洒落な通りで、いかにも麻布らしい?、
そんな感じか。

[更級堀井]は西に向かって左側。

入ると、こんな感じであったか?。
ちょっとウッディなお洒落なカフェのよう。

ほぼほぼ満席。

一人、というと、真ん中の大きなテーブルの
空いた席へ案内される。

お酒をもらおうか。

ここの定番に見える、名倉山という会津の酒、
純米吟醸、一合、冷で。

それから、つまみは、なにがよかろう。
久しぶりに、天ぬきは、どうであろうか。

もちろん、ここでは経験なし。

お姐さんに、一応、天ぬき、ってできます?
と聞いてみる。

はい、ぬき。一本の海老か、かき揚げか。

ほう、どちらもあるのか。じゃあ、かき揚げで。

酒がきた。

やや辛口?、吟醸らしい香り。よい酒である。
お通しは、定番のそば味噌ではなく、
そばを揚げたもの。
ちょっと珍しいか。

ここは広いよう。奥もあるのか。
それぞれのテーブル席が大きい。
ちょっとファミレスのようでもあるか。

お客は、外国人比率がかなり高い。
大使館の多い麻布という土地柄か。
ただの観光客といった感じでもない。
アジア系はいないか、欧米系、アフリカ系?、など、
グローバルな感じ。
それでか、上品で落ち着いているように見えるのは、
気のせいか。

天ぬきがきた。

小ぶりの丼。
真っ白に藍で店の紋一つ。
老舗の矜持か、よい趣味であろう。

芝海老のかき揚げ、三つ葉

まあ、どうせ崩して食べるのでなんら問題は
ないのだが、、、最初っからかき揚げが
崩れぎみ、、。
これが普通?。
いや、品書きに天ぬきはなく、ここのかき揚げは
大きな球形がノーマルなよう。
苦肉の策だったのか。

つゆがよい。
これがここの温かいそばのつゆ、で、よいのか。
舌がやけどをするほど、熱い。
なかなか、よいではないか。
そして、あまり出くわしたことのない、味。
まあ、私は浅草界隈なので、濃く、かつ、しょうゆが
勝ったつゆに馴染んでいる。
なんであろうか、ここは。濃いのだが、しゅうゆが
勝ったものではもちろんない。だが、山手にあり勝ちな、
甘味が勝ったものでもなく、絶妙なバランス。
流石というべきであろう。

食べ終わり、呑み終りが見えた頃、そばを頼む。

もちろん、もり。
さらしな系の白いものだけでなく、普通の黒いそばも
置いている。
だが、ここは、看板のさらしな、で、いってみる。

きた。

真っ白。
そして、かなりの細さ。

こんなであったか。

つゆは、下町に比べると、やはり気持ち薄め、か。

上品、というべきか。

だが、さらしなもあってか、ちょいと、水っぽくも
感じてしまう。まあ、こういうもの、であろう。

手繰り終わって、立って、荷物をまとめ、
帳場へ。

勘定をして、出る。

なるほど。
こういう店であったか。
下町にはない、東京のそばや。
つまみも、そばもかなりの品数があった。

ご馳走様でした。

流石の、ほんとの大老舗。
よいそばや、で、あろう。

 

更科堀井

永坂更科布谷太兵衛

永坂更科本店

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

麻布十番・そば・更科堀井本店 その1~麻布十番界隈のこと

4531号

3月26日(火)第一食

さて、雨、で、ある。

雨だと、遠出をしよう。
最近、そんなことに気が付いたので、
今日は、麻布十番で、そば。

麻布十番で、そば、といえば[永坂更科]なのだが、
今日は、そうではなく[更科堀井]の方へ行こう。

[更科堀井]の方は書いたことはなかったか。

拙亭から麻布十番までは、大江戸線で一本。
一本といっても、ぐるっとまわって、30分も
かかるのだが。

[更科堀井]は十番大通り沿いだが少し歩く。

地図を出しておこう。

現代。

江戸も。

この界隈の江戸の地図を出すのは初めてかもしれぬ。

江戸の頃は、毛利家長州藩邸(=現テレ朝)から始まる、
六本木と元麻布の台地にはさまれた谷筋。
江戸の地図にも書かれていないが、おそらく古くは
この谷筋に川があったのであろう。
山手の下町などと、わけのわからない形容詞が
付けられたりもする麻布十番

通りの配置、町割りは基本的に現代まであまり
変わっていないように見える。もちろん、拡幅は
あるが。
台地と谷なので、もちろん碁盤の目ではなく、くねくね。

東側は一之橋で川は古川。ここで90度曲がって、
南から流れてきたのが東へ。
上流は、あの渋谷川で、戦前までは、新堀川、または
金杉川と呼ばれていたよう。

この江戸の地図は幕末近くのものだが、麻布十番
という町名はないのに気が付く。
江戸でも麻布十番は古い地名で、通称としてずっと
呼ばれていたよう。正式町名になったのは、昭和37年
(1962年)とのこと。十番の由来は 「港区ページ」に。

長州藩邸の上屋敷は丸の内であったが、江戸城から離れた
ここが大きく、幕末などは勤王の志士の江戸での拠点
にもなった。また、日本海海戦の乃木将軍は長州藩出身で
幕末、ここで生まれている。

台地と台地の間なので、北も南も坂だらけ。
鳥居坂、於多福(おたふく)坂、闇(暗闇)坂、一本松坂、
などなど。闇坂なんという名前になっているだけに、
木々が生い茂り、昼なお暗いところもあったわけである。
坂は物語にしやすいのか、池波作品にもいくつか登場する。

そして、長(永)坂。
今は、上を首都高が走り、溜池方面に向かうが、
江戸期も、江戸中心部へ向かう本道といってよいだろう。

そして[永坂更科]である。

店名は「布屋太兵衛永坂更科」

寛政元年(1789年)創業という。
松平定信の頃で、江戸時代のちょうど真ん中。
「代々、蕎麦打に長じていたことから、八代目清右衛
(初代布屋太兵衛)は、領主のすすめで故郷の更級郡の
「更」と領主保科家の「科」を賜り、それに永坂の
地名をつけ加え、 『永坂更科』と命名された」という。

保科家は上の江戸図の少し南に屋敷があり、上総飯野藩
(富津市)二万石で普代。

そして布屋太兵衛は長坂の途中東側にあるお稲荷さんの
門前に店を開いた。

独自の白いさらしな粉のそばは、江戸でも名を知られた店に
なったわけである。
幕末にはお稲荷さん両側が店であったよう。

黒い藪系と白いさらしな系、江戸東京を代表するそばに
なっていったわけである。
落語「時そば」の台詞には「俺はそばっ喰いだから永坂に
通ってるんだ」と出てくる。

だが、実は問題が二つある。

まず一つ目の問題は、この[永坂更科布谷太兵衛]と
[更科堀井]との関係で、ある。

これには[更科堀井]のページに詳しい記述がある。

もともとは[永坂更科]の創業家は堀井さんで、昭和初期
不況のあおりなどで、廃業。[永坂更科]や[布屋太兵衛]の
屋号を手放すことになったという。昭和56年(1984年)今の
場所に廃業時の子息で現当主である八代目が[更科堀井]の
名前でさらしなそばの店を再建した、とのこと。

で、もう一つ、わかりずらいのだが、もう一軒この界隈には
[永坂更科]を名乗る店があるのである。
ここが坂に一番近い。坂下の、新一之橋の交差点角。
店名は[麻布永坂更科本店]。 ウィキに 経緯が書かれているが、
過去訴訟にもなっていたよう。

三軒みんな経営が違うのである。

元来の江戸からの[永坂更科布谷太兵衛]の屋号を名乗る店。
[布屋太兵衛]の店名ロゴには浮世絵のそばを手繰る絵が
付いているのを憶えておいでの方も多いと思う、それがここ。
総本店の場所は、十番大通り沿い新一之橋寄り。

そして実際の創業家である[更科堀井]。

さらにもう一軒の布屋太兵衛の付かない[永坂更科]の三つ。

チェーン展開して支店が最も多く、よく見るのが浮世絵付きの
[布屋太兵衛]。
[更科堀井]の支店は立川と日本橋高島屋の二店舗。
もう一軒の坂下の[永坂更科本店]には支店はないよう。

[堀井]が違うのはわかりやすいが、二軒の[永坂]の
違いがわかりずらい。

 

つづく

 

更科堀井

永坂更科布谷太兵衛

永坂更科本店

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

春日・焼肉・新香園

4532号

3月22日(金)夜

さて、焼肉、で、ある。

昨年の暮れ、ちょいと聞いて行ってみた、
春日の[新香園]。

なかなかよかった。

安いのではなかろうか。
もちろん、うまい。

焼肉やというのは、なにも春日まで行かなくとも、
拙亭近所、浅草にもたくさん有名店、老舗はある。
また、御徒町は、昭和通りのコリア横丁もあれば、
池之端にもたくさんの焼肉、韓国系飲食店がある。

私もいろんなところに行っている。
なん軒か、複数回行っているところもある。

焼肉やの値段というのは、どう決まっているの
であろうか。

高品質の高価な肉を置いているところもある。
もちろん、それは安くない。
そういうよいものが高いのは、まあ、うなづける
のであるが、ノーマルなロースとか、ハラミあたり
であろうか、そのあたりが、ちょいと高めの
設定になっていることがあるのではなかろうか。
店の格、なのか、有名店、老舗で流行っていて、
強気で高めの値段設定でも、まあ、客はくる
ということなのか。勘定をすると意外に高くなる
ところは多いと思うのである。

そんなことを考えると、ここはうまい割に、
リーズナブルといってよいのではなかろうか。

そういうこともあるのか、若いカップルや、
小さな子供連れも多い。

予約をして、5時半。

大江戸線新御徒町で乗って、上野御徒町本郷三丁目
春日で、三つ目。さほど遠くはない。
いや、むしろ近いのだが、こちらからは坂を登って
また降りるのがハードルになっている。

店到着。エレベーターで二階に上がり、名乗ると、
三階の板の間の席。

この時刻だが、ほぼ満席。
やはり流行っている。

炭がカンカンに熾っている。

なぜか、テーブルはいくつもあるのに、
まったく同じテーブル。
不思議。時刻と客の入りと人数で決まるのだろうが、
それが同じだったのかもしれぬ。

ここはタブレット端末で注文する。これ、便利。
ただ、気軽に頼めるので、頼みすぎてしまうのが
前回の反省。
ご飯ものなど、ここ量も多いよう。

瓶ビールをもらって、ポテサラと春雨サラダの
お通しもくる。

最初は、決まり。

特上タン塩2枚(1,480円)。

上タン塩でよかったのだが、切れていた。
ここは通し営業だからか、この日は他にも切れていた
ものがいくつかあった。

キムチとサンチュももらっておく。

タンを焼く。

切れ込みが入っており、なかなかの厚み。

レモンを絞って、食べる。
むろん、これがまずいわけがない。

そして、次は、上ミノ(1150円)。

塩もあるが、みそ。
ミノは牛の第一胃。

格子状の包丁目が入っており、プリプリ。

次はロース(1100円)。

ロースにはこの上に、上(上撰和牛)、リブロースとあり
一番安いもの。
脂が少なく、かえってこの方がよい。

網を換えた方がよかったか、黒くなってしまった。
だが、意外にスモーク香が付くのも、うまい。
まあ、このあたりが限界だったのだろう。

このあたりで、焼肉は終了。

スープとご飯をもらう。

ユッケジャンスープ。

ちゃんと辛くて、具沢山。

うまかった。

腹一杯。

立ち上がり、下へ降りて、勘定。

二人で、ビール二本込みで、9,796円。
これが安かったのか。
高くはないか。
焼肉の値段というのは、やはりわかりずらかろう。

ともあれ。

ご馳走様でした。

 

 

新香園

03-3812-8339
文京区小石川1-11-13 新香園ビル 2F・3F

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

赤坂四川飯店

4531号

3月22日(金)夜

さて。

今日は内儀(かみ)さんの希望で、赤坂[四川飯店]

前回は、1月であった。

予約は18時。

内儀さんと出掛ける。

予定通り、到着。
金曜の夜。
さすがに、混んでいる。

ここの客層というのはどういうものであろうか。
特に、こういうウイークデー。
やはり、永田町関係の人々なのか。

今日の目的は、北京ダックならぬ、四川ダック。

ご存知であろうか。
四川ダック。

中華料理の大立者といえば、ふかひれか、北京ダック
であろうが、四川料理店なので、北京ではなく
四川になる。

北京ダックというのは、ご存知のようにアヒルを焼いて、
特にパリパリになった皮を甘い味噌を塗った小麦粉の皮で
包んで食べるもの。

四川ダックというのは、どんなものなのか。
内儀さんは一度食べてみたかったよう。

ここでの名前は「四川飯店特製スモークダック」
(樟茶(火偏に考)鴨)。半羽4,700円也。

それから、青菜炒め。
今日は、のらぼう菜、とのこと。

そして、お馴染みの看板、麻婆豆腐と
ご飯。

ビールがきた。

ダックは時間が少しかかる、とのことで、
ピーカンナッツの飴がけを出してくれた。
これ、中華でよく出るが、胡桃に近いナッツだが
うまいもんである。

青菜。

取り分けてくれる。

のらぼう菜はちょっとぬめりがある。

にんにくも入るが、ねぎが入るのがここの
青菜炒めの特徴。
ねぎはにんにく同様の風味付けになっている。

シャキッと、火の通りが絶妙。
そして、やはり色も鮮やか。
プロの仕事。

知らなかったが、のらぼう菜という菜っ葉は、
調べると、江戸から多摩地区で作られていた
江戸野菜だそうな。

そして、いよいよ登場。
「四川飯店特製スモークダック」(樟茶コウ鴨)。

添えられているのは、白い中国の蒸しパン、
花捲(ホアジュアン)あるいは、饅頭(マントウ)、か。

はさんで食べてみる。

ん!?。

おもしろい。
なるほど、スモーク感のあるアヒル肉。
そした、ちょっと堅めの食感。
塩漬け、なのか、これけっこうしょっぱい。
脂ももちろんある。
そして、やはりなにかの香りが付いている。
ヒル肉のジャーキーといった感じ。

こういうものなのか。

調べると、中国四川省の州都、成都市の名物とのこと。

様々なレシピがあるようだが、例えば、以下のよう。
樟茶コウ鴨の樟は樟脳(ショウノウ)の樟で、くすのき。
花椒八角やらのスパイス、お茶の入った塩水に漬けて
くすのきでスモークし、油で揚げる、とのこと。

あまりそう感じないが、これも油で揚げているのか。

うまく、酒のつまみには絶好なのだが、
塩味が強く、なかなかヘビーで量も多い。
持ち帰りに包んでもらう。

最後はやっぱり、四川飯店の看板、
陳麻婆豆腐とご飯。

やっぱりうまい、ここの麻婆豆腐。

まあ、日本での元祖麻婆豆腐といってよいのだろう。

味は濃いめ。
辛みも強め。

私などすぐに汗が出てくる。

ただ、意外に花椒は強くはない。
もっと強いところも多いと思うし、
今、東京で四川料理を看板にしているところの
平均よりも抑えめではなかろうか。
これも、この店らしいところかもしれぬ。

いくらでも飯が食えてしまう。
いけない、いけない。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。

会計は、13,860円也。

今日気が付いたが、青菜炒めの値段。
メニューにないせいか、3,200円也。
麻婆豆腐より高いのである。
まあよいか。


P.S.
四川ダックは、持ち帰って、よいつまみに
なった。

 

赤坂四川飯店

千代田区平河町2-5-5 全国旅館会館5F・6F
03-3263-9371

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。