浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



新たけのこ

4528号

3月16日(土)夜~

さて。
たけのこ、で、ある。

新たけのこ。

たけのこ、というのは、うまいもんである。

水煮ではなく、もちろん生のもの。
水煮は年柄年中あって、中華などにもよく使うが
やはり味がまったく違う。

柔らかさと、香りであろうか。

ほぼすべての野菜が、ハウス栽培されて、一年中あるが
たけのこばかりは、そうはいかない。

たけのこは、春にしか出ない。

大きくなる竹をハウスに入れるのは現実的ではない
のであろう。

それで新もののたけのこばかりは、春以外には
食べられない。今時稀有な野菜である。

新たけのこは、少し前から出ていたのだが、
一本1000円近くで、待っていた。

そして、今日、少し安いのをハナマサで見つけた。

これ。

5~600円くらいであったか。

福岡県産。
新もののたけのこというと、東京で見るのは、
毎年、福岡県のものである。

生のたけのこは昔から糠でゆでる。
アクが出るから、ということになっている。

掘り立てのものは生で食べたりもするようだが、
時間が経つと、アクが出る?、そういうこと?。
わからぬが。

新しいものならば、糠でゆでる必要もないのかも
しれない。

まあ、和食の昔からやっていることは、なにか
おまじないのようなものもあるように思うのである。
ほんとうにこれ、必要?、という。
大根の下ゆでも、米粒を入れたりするが、あれも
そうかもしれぬ。
大根にアクがあるとは、到底思えぬのだが。
以前は、大根らしい味や香りがもっと強く、
嫌われたのか。

そういえば、蕎麦にねぎやわさびなどいわゆる薬味を
使うがあれも、つゆの出汁に使う鰹や鯖の生ぐささ
を抑えるためと聞いたことがある。
今、出汁を生ぐさいと感じる人はあまりいないと思う。
昔の鰹節などはもっと生ぐさかったということなのか。
わからぬが。
まあ、ことほど左様に和食の神話のような決まった
調理法がある。

ともあれ。

たけのこを洗って、圧力鍋へ。
ノーマルな鍋でゆでると、料理本などには、2~3時間
などと書いているので、私は圧力鍋を使っているが、
特に問題はないと思っている。

水をヒタヒタに張って、一応、糠の代わりに米粒を
10粒程度入れる。

ふたをして、点火、加熱、加圧。
圧が上がって、たけのこはいつもよりも長めで
10分。

これで放置。

3時間ほど置く。
レシピ本などでは、2~3時間ゆでた後、
完全に冷えるまで置く、と書かれている。

その間に、鰹削り節で出汁を取っておく。

3時間後、圧力鍋を開ける。

触ると柔らかい。
大丈夫、ゆだっているよう。

皮をむくのだが、あ!、先端を少し切って、さらに
切れ込みを入れておくのだった。

堅そうな根本を5mmほど切る。
あとは、皮をむく。
別段、先を先端を切らなくとも問題なくむける。
これもなにか、おまじない?。

出汁は濾さなくてよいだろう。削り節が入ったままに
酒、しょうゆ。しょうゆは濃口に薄口を合わせてみる。

食べやすい大きさに切ったたけのこを投入。
煮立てる。
味見、多少薄めがよいだろう。OK。

10分ほど煮込んで、火をとめて置く。
一度冷まし、味を入れる。

食べる前に軽く温め、皿へ。
同じく新もののほたるいかきゃらぶきも出す。

ビールを開けて食べる。

アクなどもほぼなく、うまく煮えた。
やはり、新たけのこの味は、薄めがよい。
まったく、新たけのこというのは、うまいもの、
である。一年に一度の愉しみ、で、ある。

もちろん、食べ切れないので、
翌日、たけのこ飯にしよう。

さらに細かく切って、つゆを気持ち薄めて、炊く。

炊き上がり。

盛り付け。

飯にしても新たけのこは、やっぱりうまい。
そして、やはり味は薄め。
たけのこの味と香りがよくわかる。
二膳も食べてしまった。

新たけのこ、大満足。

 

 

 

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