浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



とんかつ・目黒・とんき

4351号

6月3日(土)夜

さて、土曜日。

かなり久しぶり。

どこかというと、目黒のとんかつ[とんき]。

五反田に通っていた頃は、歩いてきていた。
池波レシピでもある。

夕方は16時から。

並びそうだが、15時頃出る。

拙亭のある元浅草からは、山手線の反対側。
なかなか遠い。

地下鉄オンリーで行ってみる。
銀座線で田原町から溜池山王
南北線に乗り換えて、白金高輪
さらに東急目黒線乗り入れの列車に乗り換えて目黒。
最近開通した、相鉄線、海老名行きも走っている。

[とんき]は目黒駅からすぐ。
JR側の地上に出て、目黒通り、権之助坂を左。
坂をほんの少し下って、最初を左に入って、数軒め。

16時すぎ到着。
外に列はなし。店内壁際にずらって並んだ椅子にも
待っている人もなし。
時刻は早いが、はて、こんなものか。

ただ、一階のカウンターはほぼ満席。
少し片付けるのを待って、カウンターに掛ける。

あれ?。
以前の方がいない。
ご主人であったのか、わからぬが。

椅子に掛けると、目の前にきて「ヒレかロースか、
串かつか」と、よいリズムで、聞いてくれた。

ここは家族経営なのであろうか、髪はもう真っ白だが、
息子さんであろうか、が、前にきて注文を聞いてくれる。

ビールに、私はロース、内儀(かみ)さんはヒレを頼む。

ビールがきた。

キリンラガー中瓶。
お通しは、小皿のピーナッツ。
これは、昔から変わらない。

一人できているお客には、新聞を出していたが、
これもしている様子。

ただやはり、なんとなく店の雰囲気は変わっている。

あの背が高く、すっきりと背筋が伸びた
おとっつぁんがいた頃は、ピリッとした張り詰めた
空気が漂っていた。

ただ、緊張感があっただけではない。
池波先生も書かれていたと思うが、働かれている
人々の寡黙できびきびとした無駄のない動き。
客に対する、腰の低さ。
まったく頭の下がるほどの気の使い方、
ホスピタリティー
これらには感動を覚えるほどであった。
普段の殺伐とした心を癒してくれる。
そんな心持にまでさせてくれて記憶がある。

今、かつを揚げている人、その他、働いている人々は
やはり寡黙に、無駄なく動いているのは同様。

まあ、大幅に変わったのかといえば、そうでは
なさそうなのだが、やはりそこはかとなく空気は
変わった、のか。

きた。

ロースかつ。
お新香、ご飯と豚汁も。

アップ。

塩で食べたいのだが、ない。
ここ、なかったっけ?。
頼むのもなんとなく違うか、そのまま食べてみる。

ピンク色、ではないが、十分やわらかく塩なしでも、
おそらく塩はしてあるので、ちゃんと、うまい。

ロース(ヒレも)の定食で、2300円也。
東京の有名とんかつやの中では決して高くはない。

十二分にそのクオリティーは以前からあった。

だが、これ、うまくなっていないだろうか。
以前より。
衣?、肉?。
うまみ、香り、、、?。

あ、確実に衣はよりしっかりしているのでは
なかろうか。以前より。

食べている途中で、内儀さんが、串カツをおみやに
しようというので、頼む。(単品1100円)
そう。とんかつやで、おみやを持って帰るというのは、
池波先生がよくやっていた。

そうそう、ここのとん汁。
脂身の付いたしっかりした角切りの肉。
汁の味自体は、意外にさっぱり。

うまかった。

ご馳走様です。
おみやの串かつをもらって、勘定をして帰る。

さて、おみやの串カツ。

冷蔵庫に入れておいて、食べたのは、翌々日深夜。
オーブントースターで温めた。

この中に串を抜いた串カツとキャベツ千切り。
そして、ここはキャベツでさらに別の袋入りでも
付けてくれる。

ちょっとくずれてしまったが、こんな感じ。

ビールを開けて食べる。
ポイントは玉ねぎではなく、長ねぎであること。
付いている店のソースを掛けて食べる。
ちょっと甘め。やはり、温め直しでも、なかなかうまい。
肉も、衣も。長ねぎも合う。

目黒[とんき]、うまい老舗であり名店である、と
いうことは、やはり変わりはあるまい。

 

目黒区下目黒1-1-2
03-3491-9928

 

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。