浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



新いかと、穴子

dancyotei2010-09-06



8月28日(土)


土曜日。


天ぷらが食いたくなった。


昼前、自転車で出る。
吉池、で、ある。


なにがあるかな?、と、見てまわると、
おお、新いか。


新いか、というのは、ご存知であろうか。
すみいかの子供。


すみいかは、知っている方も多かろう。
全国的には、こういか、という名前だが、
東京では昔から、すみいか。
江戸前江戸湾で獲れたもので、
今でも、東京湾に、むろん数はそう多くはなかろうが、
棲んでいる。なぜか、東京では昔からすみを洗わず、黒いままで
流通させるので、すみいか、と、いう。


江戸前の天ぷら、鮨には、欠かせない、いか。
特に生まれてすぐの小さなすみいかは、新いかと呼ばれ、
夏の終わりのこの時期に現れ、珍重される。


すみいかというのは、いかの中でも、プチッと
切れる食感、噛むと柔らかくあまく、また、微かだが独特の
香りがする。


子供である新いかは、より柔らかく、
香りも強い。これが珍重される所以(ゆえん)。


しかし、新いかはいいのだが、これを天ぷらにしてしまうのは、
もったいなかろう。刺身か、鮨で食いたい。


他には、天ぷら種になるものはないかな?


生憎今日は、キスもメゴチは見あたらない。
う〜む。


穴子だな。
穴子ならば、吉池にはいつもある。
3本。


そうだ。
するめいかも買おう。
このところ、たくさん獲れているのか安いのだが、
今日も一杯98円(むろん、同時に高いものもあるが)。
すみいかと、するめいかの食べ比べもおもしろい。
3杯。


帰宅。


まずは、すみいかの子供、新いか。





足を引き抜き、甲を取り、エンペラをきっかけに、
皮をむく。


内臓を足から切り放し、目玉や口も取る。
こちらは四杯分、皆さばいてしまう。


するめいかも。
形は違うが、さばき方は、大差ない。


刺身に切る。




左側が、新いか。右側がするめいか。
写真に撮ってしまうと、あまり違いがわからない
かもしれぬが、新いかの白の方が、透明感がある。
(これは、鮮度の違い、かも、、。)


穴子





これは夜。
天ぷら


これはまあ、毎度詳しく書いているので、
揚げ方はよいだろう。
粉を、薄力粉3:天ぷら粉(市販)1程度にして、
完全に安定してきている。





穴子は、しっかり目に揚げればよいので簡単。
うまく揚がった。


新いかは、天ぷらにするのは、もったいないので、
飯を炊き、握りずし、らしきものに。





毎度、不格好だが、握ってみた。
なんであろうか、不思議である。
すみいか、というのは、刺身で食べるのと、
握りずし、酢飯と合わせて食べると旨味が増す。
他の種も変わるが、なかでも、すみいかはの味の変化は、格段のものがある。
これぞ握りずし、と、いってよいかもしれぬ。


残った下足と、エンペラは、
湯通しを例の、甘いたれをかけて、翌日。





これは、するめいかも一緒にのせた。
新いかの下足は、柔らかく、うまい。


下足は、こうして、つまみにもなるし、
飯の上にのせて、甘いたれをかけて丼にしても、うまい。


むずかしいので、私はしないが、わたは、塩辛にもなる。
まったく捨てるところがない。


しんいか、するめいか、穴子、堪能、で、ある。