9月19日(金)夜
出張などあり、あわただしい一週間が終わった。
実は、金曜は富山から、福岡へ移動する予定であったのだが
台風のため、来週に延期になり、来週はもっとあわただしい
ことになる予定ではある。
今日は、前にも一度、呑んだのだが、近所に住む
会社の同僚と、呑もう、ということになった。
浅草、上野界隈に住んでいる、という人間は、
会社ではそうそういない。
近所で呑める、というのは気が楽でよい。
19時過ぎにオフィスを出る。
台風が近付いている。
今、どのあたりなのだろうか。
速度が遅いようだが、今は、紀伊半島あたりだろうか。
雨は降ってはいるが、風雨とも、まださほど強くはない。
どこに行こうか。
この彼の家からは、少し遠くなるが、竹町の焼き鳥や鳥喜はどうか。
ちょっと、半端な場所にあるが、うまい焼き鳥や、で、ある。
雨も降っているので、商店街のアーケードを歩く。
佐竹商店街、竹町、のこと。
前に一度触れているが、
今日は、江戸の地図も見てみよう。
今の、佐竹商店街、それから、その東隣の竹町公園などを含んだ
広い地域が、佐竹右京太夫の上屋敷。
むろん、佐竹商店街の名前は、この佐竹屋敷から由来している。
前に書いたものを引用させていただく。
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佐竹家は鎌倉以来の名家で、甲斐の武田家同様、
新羅三郎義光を祖に持つ、源氏。
氏素性正しき、名家、といってよいだろう。
室町時代には、常陸国の守護を務め、戦国を経て、
関が原後、家康によって、常陸から出羽久保田20万石
(秋田)へ移封された。
そして、江戸時代は外様大名として存続していた。
明治に入り、この屋敷跡は、一時原っぱとなり
佐竹っ原、などと呼ばれていたという。
また、竹町の町名の由来は、佐竹屋敷の「西門に竹が使われていた」
ことから、このあたりが“竹門”、と呼ばれていたところから
ついた、という。
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竹門は、上の地図にも記述がある。
明治には、旧佐竹屋敷が、下谷公園、という町名になっている。
なぜ“公園”なのであろうか。
町名に公園がついているという例は、
近所でも上野公園、浅草公園、などある。
この“公園”は、今いう、竹町公園、のような、
子供の遊ぶ、町の公園、とは違った公園である。
恩賜、などという冠がつくことがある。
上野などは、恩賜公園である。
(国または、天皇から、下賜された公園というような
意味であろう。もともと、上野の山は広く、幕府、および
東叡山寛永寺領でそれが幕府瓦解で、明治政府のものとなった
ということである。)
東京市などから指定された、特別な公園、で、
今の公園と違うのは、上野にしても、浅草にしてもその中に、
商店や一般の民家もありながら、人々の憩える地域を
作ろう、というようなことであったのであろうかと思う。
(今、当時の明確な定義が手元にないので、断定はできないが。)
この下谷公園というのは、原っぱだったのを、公園という名前にし、
盛り場風の場所にしよう、とでも考えたのであろうか。
前にも書いているが、この下谷公園、今の佐竹商店街あたりは、
大正の頃には、俗に、三味線堀、と呼ばれる
寄席や見世物小屋まである盛り場になっていたらしい。
三味線堀の由来は、むろん、上の地図にもあるように、
この東側、今の清洲橋通りに沿って、ある、堀の名前である。
この堀はこのまま南下し、今の蔵前橋通りの少し南で東に折れ、
最終的には、蔵前で、隅田川につながっていた。
三味線堀は、当時、舟で運んできた物資を、
下谷、上野方面へ運ぶ、荷揚げ場所であったのであろう。
そして、正確には、明治の頃の町名の竹町は、今の竹町公園の
さらに西側であったようである。
さて、鳥喜。
7時半頃到着。
店の中は、ほぼ一杯。
ちょうど、都合よくあいた、カウンターに二人で座る。
ビールをもらい、おまかせで、5〜6本焼いてもらうことにする。
いつものように、鬼おろしで、おろしたのであろう、
荒い大根おろしがお通しで、出る。
まず出たのは、レバ刺し。
あたり胡麻がまぶされ、たれはにんにくが入った
濃い目のしょうゆだれ。
レバ焼き。
刺し、もわるくはないが、やはり、多少火を通した方が、
うまい。また、この、レアの焼き具合もなんともいえず、よい。
正肉と、もう一つは、皮で、あろうか。
よくわからぬが、かなり柔らかく、うまい。
ぼんじり
前にも、ここで出てきた。
濃いたれが、ジューシーなぼんじりに、実にうまい。
手羽。
これもうまい。
よく考えたら、ぼんじり以外は、全部、塩、で、あった。
ビールから、いつしか、チューハイにかえて、
腹もいい感じに一杯になったし、酔っ払った。
うまかった、うまかった。
無口なおじさんが、にこりともせず、黙々と
うまい焼き鳥を焼く。
愛想はないが、よい焼き鳥や、で、ある。
勘定をして出る。
幸いなことに、雨風はまだ強くはなっていない。
再び佐竹のアーケードを抜け、
彼とは、春日通りの交叉点で別れ、帰宅。
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