浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



銀座二丁目・大衆割烹・三州屋(銀座店)

dancyotei2009-05-18

5月14日(木)夜


同僚から、銀座にうまいフライものを食わす居酒屋があるが、
行かないか、と、誘われた。


銀座二丁目の路地裏にある、三州屋という。


銀座まで、市ヶ谷からは、有楽町線
銀座一丁目で降りて、後ろの改札から出て、、、


と、そこから後が、説明がしずらい。


カレーや、と、いうのか、喫茶店というのか、
からいライスの店、という看板がある、
ニューキャッスルのある通りを中央通りに向かっていき、一本目を右に入り
数軒先、さらに右に入る細い裏路地があり、それを入ったところ、
突き当りにある。ちなみに、この裏路地は、
この店にしか行けない路地、で、ある。


ほほー、こんなところに、こんな店があったのか、
というもの。
銀座というところも、意外に、こんな裏に、
思いがけない店があるもの、で、ある。


入ると、これまた思いがけず、店の中は広い。


7時前、まだちらほらと、空席はある。
こんな居酒屋には、決まって、肝っ玉母さんのような
女将さんがいる。


ここにもいた。
背の小さな、小太りの女将さん。


あー、っと。
二人?


じゃあ、ここに、向かい合わせで。


と、席を作って、座らせる。
むろん、相席。


小さな椅子に、テーブルは、白木。


瓶ビールをもらう。
お通しがくる。





小鯵、で、あろうか、南蛮漬け。


さて、注文。
なのだが、これがまた、むずしい。
先の女将さんの他に、二人ほど、女性はいるが、
忙しく立ち働き、なかなかつかまらない、のである。


タイミングをみて、つかまえ、注文する。
噂のフライもの、ミックスフライ、それから刺身盛り合わせ。


意外に、早くきた。





フライは、海老フライ、ホタテと、鮭。


食べてみると、なるほど、うまい。
サクッと、軽めに揚げられている。


刺身は、マグロ赤身と、トロ。
白身は、鱸(すずき)の、よう。


赤身もうまい。
トロは、カマトロ、かもしれない。


連れが、筍と、肉豆腐を頼む。



うまいので、もう一品、フライをもらおう。


えー、っと。
壁に貼られている、メニューを見る。
他のフライものは?


ホタテフライ、海老フライ、、、。
ミックスフライに入ってたものだ。


あとは、いわしフライ。


うーん。
いわしフライは、自分で揚げて食べたし、、。


鯵の刺身やら、たたき、が、ある。
と、すると、フライもできるのでは?
と、思い、またまた苦労をして、女将さんをつかまえて、
聞いてみる。


できる、とのこと。
(それは、そうであろう。)


鯵フライ。





尻尾がない。


あー、これは、刺身用に三枚におろしたもの、を、
揚げてくれた、のであろう。


これも、うまい。


ビールから、酒にかえる。


続けて、新じゃが揚げ。





うどの酢味噌和え。





そら豆天ぷら。





そういえば、そら豆の天ぷらは、池波先生が、
亡くなる前、最後に食べられたもの。
近藤氏が作られたものであったか、、、。


そんなことも、考えつつ、話しつつ。


それにしても、そら豆というのは、うまいもの。
ビールのつまみには、最高、で、ある。
今は、冷凍物もあり、年がら年中あるが、
少し前でも、旬の夏にしか出回らないものであった。
十年以上も前のことであったか、友人のお父さんが
正月に食いたいといい出し、近所の八百屋に
探してもらったことがあった、と、いう。
そうとうな高い額をいわれ、それも一箱買って、
食べられるのは、わずかであった、という。
(まるで、落語、千両みかん、で、ある。)


まあ、それほどに、そら豆は、酒呑みには、
うれしいつまみ、で、ある。


さてさて。


食って呑んで、ワリカンで、3500円。
まあ、飛び切り安くはないが、どの料理もうまい。
そして、出てくるのが、早い。



銀座にありながら、というべきか、気のおけない、
昭和の香りのする、居酒屋、で、あろう。







三州屋
TEL:03-3564-2769
住所:東京都中央区銀座2丁目3−4