
8月15日(土)
さて、珍しく、歌舞伎。
歌舞伎座の午前、第一部。
表題の通り「牡丹灯籠」。
正月以外で、私が芝居を観に行くのは珍しいが
内儀(かみ)さんが知り合いから、頂いた。
8月は三部制で、二部が「駱駝(らくだ)」と「鬼神のお松」
3部が玉三郎、七之助の舞踊幕。
「牡丹灯籠」はご存知、大圓朝作の怪談噺が原作。
「駱駝」もお馴染み、もとは上方落語。
8月、この時期なので、まあ、新人若手が出演る花形
までは行かぬが、企画もの感があろう。
役者は1部は、坂東巳之吉、尾上右近、松本幸四郎あたり。
2部は、中村勘九郎、松本幸四郎、坂東弥十郎、
笹野高史といったおもしろい顔ぶれ。
3部は坂東玉三郎、中村七之助で舞踊特化というこれまた
変則な企画もの。
どれを観ても可だったのだが、プライオリティーは
1、2、3の順で、1が取れたというわけであった。
1部は11時からで午前中から行動するのは、
テキトウな生活をしているので、なかなかきつい。
9時半、内儀さんと出る。
そこそこ涼しいのが救い。
暦通り?、このまま、秋へいくのか。
まあ、天気予報では、そんなあまいことはないよう。
来週以降、また暑さが戻ってくるよう。
ともあれ。
銀座線、稲荷町から乗って、銀座まで。
10時10分前に着いて、三越の開くのを待つ。
開いたら、さらにB2に降りて、弁当を買う。
なにがよかろう。
やっぱり日本橋[弁松]がいいだろう。
歌舞伎座前にあった木挽町[辨松]は
コロナ渦中であったか残念ながら廃業してしまった。
私はたこ飯の二段。
内儀さんはノーマルな一段の幕の内。
たこ飯があると、必ず買ってしまう。
東銀座の交差点までは、地下を通り、地上に上がって
昭和通りを渡る。

切符を引き上げて、イヤホンガイドを借りる。
開場を待って、入る。
席は、1階だが、右の後ろ。
まあ、さほどよくもない。
やはり花道周辺が良席、で、あろう。
そろそろ、幕が開くが、
お。
幕が、緞帳(どんちょう)のまま。
緞帳というのは、上に上がって開く幕のこと。
西洋でも日本でも多く幕はこの形式の緞帳。
寄席でも緞帳。(ただ、西洋ではセンターから開く引幕も多い。)
歌舞伎のみが人が横に引き開ける、引幕。
歌舞伎座には、両方が用意されている。
これは、緞帳で幕開けになるよう。
歌舞伎ではない、ということか。
歌舞伎というのは、横に引き開ける幕で、
それも定式幕(じょうしきまく)といって、ご存知の黒、
柿色、萌黄(濃い緑)の三色の歌舞伎カラーなどと決まっている。
歌舞伎のみしかこの引幕を使うことが許されていない。
ということは、これから上演る芝居は、歌舞伎ではない、
という宣言になるわけである。
そもそもの歌舞伎の定義を説明しなければいけなくなるが、
長くなるので、やめるとして、ここでは、これから
演る芝居は落語が元だからというのが主たる理由でよいか。
歌舞伎役者が歌舞伎座で演っても歌舞伎ではない
ということなのである。
さて、ここで演目と配役を写しておく。
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第一部
三遊亭円朝 原作
大西信行 脚本
通し狂言
怪談 牡丹燈籠(かいだん ぼたんどうろう)
第一幕
第二幕 大川の船より
新三郎の家まで
野州栗橋の宿はずれより
幸手堤まで
伴蔵 坂東 巳之助
お峰 尾上 右近
お国 坂東 新悟
宮野辺源次郎 中村 橋之助
萩原新三郎 市川 染五郎
お露 尾上 辰之助
乳母お米 尾上 緑
仲働お六 尾上 菊三呂
医師山本志丈 澤村 精四郎
女中お竹/酌婦お梅 中村 玉太郎
酌婦お絹 澤村 宗之助
飯島平左衛門 河原崎 権十郎
三遊亭円朝/馬子久蔵 松本 幸四郎
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この芝居の初演は、明治20年(1887年)東京、本郷の
春木座という劇場とのこと。今の本郷三丁目、当時の本郷
春木町に明治から戦前まであった有名な劇場。今は、影も
形もないが。
その後、明治25年(1892年)歌舞伎座で五代目菊五郎の
主演で上演されたようで、どちらかといえば、こちらの
方がメジャーで、その後のこの芝居の元になっているのか
実質的には初演扱いのよう。
原作の三遊亭圓朝師については、以前にかなり詳しく
書いている。この「牡丹灯籠」についても。
ご興味のある方は是非読んでいただきたい。
落語家、噺家が演るが、怪談噺で、正確には落語、
いわゆる落とし噺、ではないということになる。
圓朝師の初演は、意外に古く、文久元年(1861年)と
まだ旧幕時代。
とても長い続き物の噺だが、なぜ、こんな噺を作った
のか、時代背景、また、噺自体の考察は詳しく書いている
のでここではやめておこう。
いずれにしても、この「牡丹灯籠」ともう一つの大作
「真景累ヶ淵」、大圓朝師の問題作であり、大名作
といってよいだろう。
つづく
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