浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



天津丼

6月22日(月)夜

戻るが、天津丼、で、ある。

[天下一品]でこってりスープの天津丼を
食べたが、やっぱり、天津丼は、甘酢、で、あろう、と。

なぜ、というのは、昔から天津丼はそうだ、と
しか言いようがないのかもしれぬが、関西は
甘酢にはしない。
[王将]などには酢が入らない、しょうゆスープ餡や
透明な出汁の餡、の関西風を東京の店でも出す。

ちょっと調べると、関西でも中華では肉団子に掛けたり、
甘酢餡はちゃんと存在する。だが、天津丼には使わない。
なぜであろうか。
逆に、関東人が、甘酢が大好きか、といわれれば、
そんなこともとんと思い当たらないい。

天津丼、天津飯はいわゆる、かに玉が元でよろしかろう。

さらにかに玉は、芙蓉蛋(ふようたん)あるいは、
芙蓉蟹(ふようはい)という広東や上海などの料理が
元のよう。
では、中国ではどうだったか。
そもそも餡なしの方が一般的だったり、地域などに
スープ餡もあり甘酢餡もあり、で様々であったよう。

と、いうことは、どうなのであろうか。
日本では、フリーであった。どちらでもよかった。
つまり、甘酢餡とスープの餡それぞれどちらの
可能性もあった。さらになしでもよかった。
西、東にそれぞれ、スープ、甘酢を選ぶ必然的な
根拠はおそらく存在しない。
日本で最初に(?)かに玉、天津丼を出した店が
たまたま東は甘酢餡で、西はだし餡で、それが
定着したと考えるのが妥当ではなかろうか。

さらに、蛇足だが、天津の名称も、ナポリタンなどと
同様、天津とは関係ないのが正しかろう。由来は
諸説唱えるものはあるようだが、どれも確からしい
とはいえないよう。

ともあれ。

私は、やっぱり甘酢でなければ天津丼を食べた気には
どうしてもならない。
まあ、これは長年食べてきたので、しかたがない。

と、いうことで、買出し。

卵が切れていたので卵。
それから、かにかま。

もちろん、かに缶本物を買ってもよいのだが、まあ、
本来天津丼は、具なしでもよいくらい。玉子焼きに
甘酢餡をかければ、ちゃんと成立する。

うちにねぎがある。それから乾燥きくらげが
あるので、あれを入れようか。

夜、作る。

きくらげをもどし、細切り。
ねぎも細切り。
かにかまは、ほぐす。

天津丼、というのは、意外にそう多く作ったことはない。
3~4回かもしれない。

卵は三個ボールに割ほぐしておく。
二個でもよいのだが、大きなものにしよう。

先に、甘酢餡を作っておく。
鍋にお湯、味覇、しょうゆ、紹興酒、砂糖、酢。
煮立て、味を見て、水溶き片栗粉でとろみを
付けておく。今日のとろみは成功。

中華鍋を煙が出るまで、熱する。
一度油をまわし、捨てる。

油を少量、先にねぎを炒める。

軽く火を通して、きくらげとかにかま。

合わせる程度。

次に溶いた卵を入れるのだが、
一度、ここで失敗をしたことがあった。
なにかというと、卵が鍋にくっついて、スクランブル
エッグのようになってしまったこと。

では、どうするかというと、油をたっぷり。
むしろ、油で揚げる、と言えるくらいの量で
焼くのである。

たっぷり油を足し、溶き卵を投入。

量が多いので、なかなか火が通らない。
この後、ひっくり返す、と思ったが。
表側から見て火が完全に通るまで加熱すると、
裏側が焦げそう。

よし、度胸を決めて、
鍋を振って、ひっくり返す。

あーーーー、失敗。

折れてしまった。その上、焼き色も。

案の定、というべきか。

しょうがない。

冷凍してある、飯を加熱。
玉子が大きいので、別皿で、丼にはならぬが。
餡もかける。

出来上がり。

ビールを開けて、食べる。

みてくれはともかく、味は上々。
と、いうか、まあ、焼けていれば玉子焼きなので
びっくりするような味にはならぬが。

調べると、最近、ちょっとよさげな中華店だと
ひっくり返さないで、半熟のままご飯にのせるよう。
あー、それでもよかったか。
だが、やはり、昔ながらの、というべきか、両面
ちゃんと焼いたものが私は好み。
これでよかった、ことにしよう。

そして、やはり、かに玉には甘酢餡。これがうまい。
もちろん、ご飯にも合うし。

こんなことになってしまったが、個人的な
天津丼欲は、満たされた。

 

 

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