浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



東日本橋・あひ鴨一品・鳥安 その1

1月17日(土)夜

さて。
鴨鍋、で、ある。

20日大寒。まさに寒中。

だがまあ、今日は、最高気温が15.3℃(13時37分)で、
寒中にしてはちょいと暖かいか。

鴨鍋。
毎度お世話になっている東日本橋の[鳥安]。

あひ鴨一品というのが、頭に付いている。

創業は1872年(明治5年)。
ホームページには「創業以来、秋田佐竹藩の江戸留守居役で
あった初代渡辺大助が、この地、米澤町3丁目(現在の
日本橋2丁目)において、五代目尾上菊五郎丈のご推薦を
受け、古今独歩「あひ鴨一品」の看板を掲げました。」と
記されている。

佐竹藩といえば、拙亭にも近い佐竹商店街の前身が上屋敷
そう遠くない距離ではある。

明治初頭は10年ぐらいにならないとまだまだ東京の街の治安も
落ち着いていない頃。

版籍奉還明治2年(1869年)、廃藩置県明治4年1871年)。
藩主から下級家来まで、事実上藩が解体され、仕事のなくなった
者たちは、食うためになにかしなければならなくなった。
そんな頃、旧佐竹藩の武士がここに鴨鍋の店を開いた。五代目
菊五郎の勧めという。いわゆる士族の商法、文字通り落語
「素人鰻」、で、ある。(これは旗本の設定だが。)

五代菊五郎というのは、歌舞伎界で五代目といえば、この人
を指すというくらいの傑物。明治の歌舞伎界の大大看板。
九代團十郎、初代左團次と三人で團菊左時代と呼ばれた。

あの、私の好きな「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやの
あぜみち)」直侍、入谷のそばやの初演の人。黙阿弥とともに
江戸人の美意識をこの芝居に注ぎ込んだ。
五代目は、天保15年(1844年)生まれなので、明治5年ならば、
28歳。ちなみに菊五郎襲名は慶応4年(1868年)、「雪暮夜
入谷畦道(天衣紛上野初花)」の初演が明治14年1881年)。
やはりもう既にいっぱしの大看板。
ここの初代となんらか友人関係ということだったのであろう。

ともあれ。
この店がある場所。中央区日本橋二丁目。旧町だと
先に出た、米澤町三丁目。

隅田川の堤防沿い、浜町河岸通り。斜めに御幸通り。
浜町河岸通りは
今はマンションが立ち並び、夜になると人通りもまばらな
静かな街。近くに薬研堀不動があり、東側は繊維問屋街。
まあ、そんな感じであろうか。

が、江戸の頃、そして明治の0年代といえば、まるで様相を
異にしていた。

江戸の地図。

この地図、若干歪んでいるので、気を付けて見ていただきたい。
柳橋が掛かっているのはむろん神田川で真っ直ぐ東に
向かっている。
両国橋の西詰、広場があって、両国広小路とある。
火避け地であり、小屋掛けの芝居小屋、見世物小屋や屋台の
出店などなどのある江戸でも屈指の盛り場であった。
(橋を渡った東側も同様。)
そして、そこに接する米澤町も茶屋、料亭のある街。
この北側も含めて江戸期からの芸者街。
ちなみに今もある七味(七色)唐辛子の薬研堀はここが
発祥。

この両国広小路は明治になり公共の道路に風紀上よろしく
ないとの東京市のお達しですべての小屋掛け、屋台の類は
取り払われる。先に書いた左團次は、明治初年前後は
ここでいわゆる緞帳芝居の座頭であった。
ここ、おそらくはしばらく空き地であったのであろう。
で、この店はその頃、この地に開業しているわけである。
そして、両国広小路跡の空き地は一時、公園になっていた
頃もあったようだが、民間地となっていき、江戸の頃の
面影はまったくなくなっていった。

閑話休題。[鳥安]、18時の予約。タクシーで向かう。

門。

入って、玄関。

お姐さんに名乗り、奥のエレベーターで一階あがる。
出て、一番奥の座敷。
掘りごたつ式。

まずは、ビール、エビス。

ここは16,986円の合鴨すき焼きコースのみ。
諸物価高騰の折、ここも値上がりか。

前菜。

上が紅白なます

下の皿。メモればよかった、忘れてしまった。
左から、なにか、餡が入った麩まんじゅうのよう
だった気がする。左、のし梅(梅味の寒天)、鮭るいべ、
合鴨スモーク下が山芋の団子だったような。

炭が熾きた焜炉が登場。

つゆ。

毎度ながら、この器が、よろしい。

中。

鶏のつゆ。
茶そば、麩、ねぎ。
これ、以前は鶏のささ身が入っていたと思うが。

鴨肉のあんかけ。

しっとりレアの鴨肉にあんかけ。

前菜、ここまで。

いよいよ登場、肉、から。

脂身、正肉、つくね、砂肝、レバーも。


つづく


鳥安

03-3862-4008
中央区日本橋2-11-7

 

 

 

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