
昨日は「女暫」をみてきた。
次は「鬼次拍子舞」。
これは、所作事(しょさごと)などともいうが、
踊りの幕。男が松緑で、女が萬壽の二人。
この二人は、毎年正月の菊五郎劇団の国立の芝居を
観ているので、私には馴染み深い。
萬壽は先般子息に名を譲った五代目中村時蔵。
そういえば時蔵も立女形といってよいはず。
ちなみに次の「女殺油地獄」の隼人は甥にあたる。
踊りだが、お話は一応ある。がまあ、踊りの場合、
それは二の次でよいだろう。
拍子を取りながら唄い踊る。
なぜか、正月なのに、舞台は秋で背景は紅葉。
なぜ、こんな踊りを正月に、という疑問は残る。
明らかに、季違い。
ポイントは「鬼次」か。
私は、踊りのことはまったくわからないが、筋書によれば
あまり演じられない古風なものらしい。
「鬼次拍子舞」の鬼次というのは、この人。
東洲斎写楽 寛政6年(1794年) 江戸河原崎座
恋女房染分手綱 奴江戸兵衛 三代大谷鬼次
そう、ご存知、写楽である。
昨年の大河「べらぼう」でも出てきた。
この絵は写楽でも最も有名なものであろう。
国宝のようだが、やはり浮世絵として、一枚の絵画として
この手、顔の迫力、素晴らしかろう。世界に誇るべき一枚。
鬼次は後の二代目中村仲蔵とのこと。
で、この鬼次がこの踊りの初演で、名前に残っている
ということのよう。
と、いっても、まあ、芝居も違うしこの踊りを見て
写楽の描いた鬼次の姿を想像することは皆目できない
のだが。
といったところで、休憩。
弁当、で、ある。
おそらく私は初めて。
中。
昆布の巻かれた鯖寿司と穴子寿司。
渋谷でも買えるようなので、東京でも作っているのか。
もう一つ。
出汁巻き玉子と、
いなり寿司。
京都風のいわゆる出汁巻き玉子なのだが、
出汁感が強く、しっとり。
玉子焼きというよりは、柔らかい茶碗蒸しなどに
むしろ近かろう。
どれも、うまかった。
さて、三つ目。
「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」。
三幕もの。短かろう。
でも、これでも物語すべてを通す、通し狂言と
いってよいのか。
わからぬが、ストーリーはよくわかり完結している。
近松門左衛門作。
享保6年(1721年)大坂竹本座初演。
近松なので当然、当初は歌舞伎ではなく、人形浄瑠璃。
今言う文楽。
享保なので、吉宗の時代。
江戸時代のちょうど真ん中。
まだ、文化の中心は京大坂の上方であった頃。
近松の主要作品は「出世景清」「曽根崎心中」
「傾城反魂香」「心中天網島」などなど。
時代物90作、世話物24作だそう。
人形浄瑠璃から歌舞伎に移されている作品は多く、
切っても切れない関係だが「忠臣蔵」「義経千本桜」
「菅原伝授」の人形浄瑠璃から歌舞伎に移された
三大作品はもう少し後になる。(ちなにみにこの三つ近松ではない。)
が、ここで驚いたのは、歌舞伎化されたのは、なんと、
明治になってから、と。
どうも、歌舞伎化はおろか享保の初演時に人形浄瑠璃
として上演されが不人気で埋もれていたらしい。
(これ、ウィキと、歌舞伎座の筋書で違っている。
ウィキでは歌舞伎化されたが人気ではなく埋もれた、と。
どちらが史実なのか不明。まあ長く埋もれていたのは
一緒だが。)
で、明治になって、かの、坪内逍遥が掘り起こし、
その後、明治42年(1909年)に上演され好評。
芝居として定着したらしい。そして戦後、最近も
そこそこの頻度で上演されているよう。
こういう芝居があるのである。
舞台は江戸時代の享保、それも実話ベース。
それで、多数映画化されるほど内容が洗練されている
のか、、?。あるいは、手垢が付いていない分、
他メディアに取り上げられる余地があったのか。
ともあれ。例によって筋は追わない。
映画は視ていたが、歌舞伎としての見どころは、
最後の三幕目。もちろん、私の観た感想だが。
真っ暗の中での殺人シーン。(映画でもそうか。)
まあ、ほぼ台詞なしのパントマイム、なのである。
そう、これが、歌舞伎っぽくない。
歌舞伎の形だと、真っ暗のシーンは、だんまり
などというが、ちょっとスローモーションのような
手探りの動作になるのだが、実際には、明かりは
あるので、妙な、いえばちょっと滑稽に感じされる。
現代的にはピンとこないと思うのである。
これがパントマイムのようなちょっと洗練された
演出になっている。さすが、明治以降の作品で、
もしかすると最近も改良されている?。
そして、目当ての中村隼人。
主人公である。
それこそ仁左衛門のものを観たわけではないので
あまり断定的なことはいえないが、びっくりは
しなかった。そこそこ及第点?。マイナスもないが。
もちろん、初役だし、若い。
ともかくもこれからを期待したいではないか。
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