
12月27日(土)夜
引き続き[弁天山美家古寿司]。
今年最後。
つまみに、すまがつおなどの刺身をもらって、
にぎり、いか、白身、かんぱち、かじき、そして、
光物、小肌まで、で、あった。
小肌のにぎり、というのは、うまいと思う
のだが、皆様はどう思われようか。
小肌は、ご存知のように、大きくなると名前の変わる
出世魚で、鮗(このしろ)と、呼ばれる。
魚としての和名は、鮗の方である。
鮗は、ニシン科ニシン目で、鰊(にしん)の類。
細かく骨の並びなどをみると、なるほどヘリボーンの
鰊に近い。
北東北、北海道を除く日本全国の暖かめの近海、
特に内湾に棲む。
今の東京に出回る小肌の産地は、愛知の三河湾、
熊本などの有明海のものが多いようだが、いわゆる
江戸前、江戸湾奥でよく獲れたし、ほぼ流通は
していないようだが、今も東京湾にいることはいるよう。
それで、江戸発祥のにぎり鮨の主役の種になった。
ただ、どうであろうか、東京以外では、有明海で
成魚の鮗が郷土料理として名前を聞くようだが、
他地域では東京ほど食べられてはいないよう。
むしろ、子供の小肌は江戸・東京だけで好まれている、
珍しい例といってもよいのかもしれぬ。
ひょっとすると、なぜ東京の者は小肌の酢〆などを
そんなにうまいと思うのか、ピンとこない人も
全国的には多いのか。
まあ、名物にうまいものなし。そんなもの、かもしれぬ。
他地域の人には理解されない。うまいと思うの
だから仕方あるまい。
ともあれ。
光物の次は、鯵。
これも軽めではあるが、ここでは〆たもの。
生とは明らかに味が違う。
毎度書いているが、今は鮮度のよいものがたくさん
流通しているので、〆なくともうまい鯵の
にぎりが食えるのだが、これはこれで、別のもの
として、うまい。
鯖もあったので、もらってみた。
もちろん、〆鯖。それも炙ったもの。
最近のここでは、炙りが多いかもしれぬ。
炙るのもバーナーではなく、直火で。
昔から炙った〆鯖をにぎる江戸前鮨があったのか。
最近ではなかろうか。わからぬが。
今度聞いてみようかしら。
光物はここまでで、次は海老。
東京ではさいまき海老、などというが、小型の車海老。
これも酢漬け。
海老蟹の類はゆでて時間が経つと水分が抜けて
パサパサになる。これを防ぐために酢に漬ける。
それで、注文が入ってからゆでてちょっと冷ました
ゆでたてをにぎるところもある。
いつも通り、おぼろ好きの内儀さんには、にぎったものを
おぼろの上で転がしてたっぷりつけて出してくれる。
おぼろというのは、子供の頃よくあったでんぶに
近いもの。白身魚や芝海老を叩いで繊維をほぐし
甘く味を付ける。
今のおぼろはでんぶほどは甘くなく、繊維も完全に
ほぐしてはない粒状のもの。
江戸前鮨やでは酢〆の種や巻物に入れる。
それで、海老や小肌にはさんでにぎることがある。
まぐろヅケ。
ご存知の通り、まぐろのしょうゆ漬け。
見てお分かりになろうか、中とろ。
やはりヅケは中とろの方が、うまい。
もちろん、周知の通り、ヅケまぐろは、まぐろでも
赤身を使うものであったわけで、私の若い頃は
ヅケではない赤身まぐろまで、ヅケといっていた
くらいである。
幕末、まぐろを日持ちさせるためにしょうゆに漬ける
のを思い付いた馬喰町の鮨やが始め、広まったという。
でこの頃までは、生のまぐろ自体食べていなかった。
いや、足が速いのでとても食べられなかった。
たまたま獲れてしまうと、塩漬けにしていたよう。
で、最初は日持ちしやすい脂ない赤身からしょうゆ漬けに
していたのではなかろうか。
ともあれ。
かなり食った。
腹一杯。
だが、海苔巻だけはもらっておこう。
これも、決まり。
わさびを入れた干瓢巻。
やはりこれがシンプルでうまい。
鮨の食べる順番で、海苔巻は最後ということに
なっており、私もそうしている。
なぜ最後かというと、理由はたいしたことはないのだが、
巻物は酢飯をたくさん使うので腹を一杯にするためと、
考えている。
にぎりよりも使う酢飯の量は多い。
ここ同様の古い店で、細巻用の海苔を90度回す巻き方がある。
太くなり酢飯の量が多少増える。
その店の鮨職人さんが昔は腹一杯したい人が多かった
んですね、と。
そして、内儀さんの玉子。
にぎってもらうこともできるが、酢飯はなし。
おぼろも一緒に。
今の鮨やの玉子焼きは、厚焼き玉子だが、もちろん、
ここは昔のスタイル。おぼろのように芝海老や白身の
繊維をほぐしたものを入れる。鶏卵が貴重だったので。
ものも味も正月の伊達巻に近い。
以上、ここまで。
勘定は二人で24,750円也。
いつも通り、うまかった。
ご馳走様でした。
台東区浅草2-1-16
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と、いうことで、断腸亭料理日記、今年はここまで。
ご愛読ありがとうございます。
皆様、よいお年をお迎えください。
断腸亭
※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメール、ダイレクトメッセージはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。