浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・弁天山美家古寿司 その1

12月27日(土)夜

さて。2025年も押し詰まってきた。
今年最後、であろう。
毎度お馴染み、浅草の[弁天山美家古寿司]。

江戸前寿司の始祖華屋与兵衛の流れをくむ「千住みやこ寿司」
で修行をした初代 金七が慶応2年(1866年)に浅草金龍山浅草寺
鐘桜の下で浅草弁天山みやこ寿司を開店」という。

東京の鮨やで、江戸創業というのはあるにはあるが、
数えるほど。
鮨や同様に江戸東京で産まれ発達し、今も人々に愛されている
うなぎやは、江戸創業はなぜかもっと多い。
その理由は単価、価格の違いだったのでは、なかろうか。
鮨やというのは、屋台から始まっており、安いものであった。
これに対して、うなぎやというのは、明治初めまでは、
すべて天然もので、現代よりも流通量は少なく、希少性
は高かった。それで、相対的に値段は高いものであった
と思われる。つまり、商いとしてうなぎやの方が、
客単価が高く、利益が取りやすかったのでは、なかろうか。
これが、鮨やの方が商売を続けのがたいへんであったのでは
ないかと考えている。今はむろん、鮨やの値段感覚は大幅に
上がっているのだが。

ともあれ。
浅草寺の鐘楼というのが、今も同じ浅草寺境内の
最東南の小高い場所にあるが、弁天山の浅草の時の鐘。
これが、この店の裏。

さて。予約は18時。
タクシーで内儀(かみ)さんと向かう。

店前に今日も、予約で満席です、との札。
暖簾を分けて、入る。

カウンター向こう側、つけ場の若親方に挨拶。
これちらへ、と若親方。
出口側の二席に掛ける。
東京の鮨やの主人は、伝統的には“親方”と呼ぶ。
“大将”ではない。職人の長(おさ)は大工だけは、
棟梁(江戸弁ではトウリュウ)というが、それ以外
皆“親方”が正解。

ビール。キリンラガー。

お通し。

いつも通り、まぐろ血合いの佃煮。

さて、つまみ。
若親方は、今日はたこはない、と。
正月も近いこの時期、やはり希少な生の真蛸は、
手に入りずらいし、高額なのであろう。
いつもつまみはたこに決めているが、残念。

鰹を頼むことも多いのだが、若親方は、今日はすまがつお
というのがあるんですよ、と。
じゃそれと、蝦蛄と、内儀さんの希望で、北寄。

すまがつおは、鰹同様表面を炙ったたたき。
初めて食べたのではなかろうか。
ちょっと堅めの食感だが、驚いた、すごい脂。
たたきなので、香ばしく、かなりうまい
鰹よりも、鮪(まぐろ)に近い気もする。
堅めの食感は、今日おろしたところだからと、若親方。
愛媛のものと。
すまがつおというのは、見た目には鰹に近いもので
北海道南部を含め広く近海にいる魚のようだが、群れを
なさずまとまって獲れないので、あまり出回らなかった
ものらしい。
見た目は鰹に近いが、種としてはマグロ族に入り、
やはり鮪に近いよう。
蝦蛄はつゆに漬け込んだもので、出汁感たっぷり。
北寄もそうだが、ここは貝類も生のものは少なく
薄めだが、酢に漬けている。

前回同様、こんなものも出してくれた。

煮凝り。平目。
平目のあら。これもまた、出汁感濃厚。
うまい煮凝り。

つまみは、ここまでで、にぎりで、お茶に。
やはり、にぎりで呑むのはよろしくない。

いかと白身から。

生いかは、すみいか。

ご覧になっておわかりなろうか、厚め。
そこそこ大きなもの、で、あろう。
ただ歯切れよく柔らか。
これがすみいかの値打ち。

鯛。

皮を残した湯引き。
ここは、鯛も昆布〆にすることもあるが、やはり
この湯引きの方が多いか。
生とは違う食感とうまさ。

平目。

もちろん、昆布〆。
厚めに切っている。ほどよく水分が抜けてよい食感で
よいうまみ。

次は、光物の順番でよいのだが、この間に二種。

ぶりかと思って聞くと、かんぱち。

昆布〆にはしない、か。
こりっとした歯応えとうまみがよい。

ここでまた、こんなものを出してくれた。

味噌汁、なのだが、ものすごい。
なにかというと、海老の出汁感。ここで使った車海老
の頭を大量に使ったもの、と。

次は、これ。

なにかおわかりになろうか。
かじき、昆布〆。
水分が抜け、色も飴色に変わって、うまみ濃厚。
北陸、富山金沢へ行くとかじきの昆布〆は超定番だが、
最近はここでもよく見る。
うまいもんである。

そして、やっと光物。

小肌から。

半身でにぎり一つ分。
魚はそこそこ大きなものであろう。
が、ちゃんと身は薄めで、うまい小肌。

 

つづく


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメール、ダイレクトメッセージはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。