浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭スペインへ行く その31

引き続き、スペイン、マドリッド
いよいよ、帰国の日。
マドリッド空港からイベリア航空の成田直行便に乗る。

空港まではタクシー。
12時テイクオフなので、余裕をみて、9時に
きてもらうようフロントに頼んでおいた。

これが、ホテル、アトーチャヒルトンの玄関。

地味な感じではある。看板もむしろ表示、程度。

タクシーだと空港までハイウエーで30分はかからない。

着いて、チェックイン。
出国チェック。

搭乗して、定刻に離陸。

乗って、驚いたのだが、なんと8割はスペイン人。

普通、ミラノでもパリでも成田行きなど、現地の
エアラインでも日本人の比率の方が今までは高かった
はずである。直近のANAミラノ→羽田便はそれでも
半分は日本人ではなかったか。

が、イベリア航空マドリッド→成田便は、スペイン人
の方が断然多い。それも、まあ、30代くらいまでの
若い男女。

なるほど!。こういうことか。
日本観光がスペインの若い人には大人気、なのである。
聞いてはいたが。ここまでとは。
もちろん、日本のマンガ、アニメ人気。

アラブでも東南アジアでも、どこといわず、世界中で
日本のマンガ、アニメが人気なのであろうが、スペインの
若い人の支持率が特に高い。
加えて、ブラジル、アルゼンチンなど中南米のラテン
アメリカでも日本のマンガ、アニメは絶大な人気とも
聞く。世界でも特にラテン系の人々により支持されて
いると言えそうなのである。

フランス、イタリアなどは、浮世絵だったり伝統的に
東洋趣味、日本趣味というのは、あると思うが、それとも
随分趣きが違っている。

なぜであろうか。特にスペインの若い人が?。
不思議であろう。

ちょっと、AI君に聞いてみた。
なんでも比較的スペインは日本のアニメなどが
放送された時期が早かったので、それではないか、と。

うーん。これはあまり説得力がない。
時間の問題で、皆が見れば好きになるというものでも
なかろう。

今回、スペインにきて様々な印象を持ったが、
特に、マドリッド。先に書いた、空港の行列ヨコハイリ
家族事件、ホテル前で若者が警察に突き出されていた
事件、、、、。
まあ、あくまで、私の印象なのだが、スペインという
国、首都でもそこそこ人々は“ゆるい”、と。
NY、LA、パリ。ロンドンは行ったことが
ないがおそらくロンドンも、もっとピリピリしている
のではなかろうか。まあ、東京も。
内儀(かみ)さんに話すと、日本人もアメリカ人も
皆、イライラしてるよね、と。
まあ、それはそうであろう。かくいう私も。

日本のマンガ、アニメは、一言で言えば、癒し、
で、あろう。ある種の、現実逃避?。

小説を読むよりもずっと、楽。
そして、ハマると文字通り、時間を忘れる。
(私は、マンガ、アニメはまったく見ないが、
むしろ、これにあたるのが、ゲームであるが。)

スペイン人も含めてラテン人はやはり、ちょっと
ゆるい。こういう人達に、癒しや現実逃避が、
受け入れられやすいのでは、と。

ちょっとおもしろいのは、イタリア人。
この人たちは、微妙に中間的ではなかろうか。
ちゃんとしてもいるし、ゆるい時もある。
最近思うのは、この辺が、日本人に近いのでは
なかろうか、と。日本人もマンガ、アニメを産んだ国で
ゆるいのも十分わかる。だが、厳しい時もある。
それで日本人がイタリア好き?。まあ、わからぬが。

ついでなので、ちょっと、スペイン、まとめてみようか。

今回、バルセロナサン・セバスティアンマドリッド
の三都市へ行った。
カタルーニャバスクの二つのスペイン王国ではない
自治州の街へ行ったのは意識的ではないのだが、
おもしろかった。
イタリアのフィレンツェ、ミラノ、シチリアといった
地方文化の色が濃い国との違い。
イタリアは地域ごとに違っているのが、むしろ
あたり前。
カタルーニャバスクは、スペインという大きな
国に対峙し、ソフトに、また時にハードに自らを
主張しているのが伝わってくる。
ちょっと他の国にはない地域感覚であろう。

付け加えると、もう一つの異文化地域といわれる、
ガリシア州(地方)。ガリシアガリシア語といわれ、
言葉も別。今回、なん回も出てきたが、ビーフと魚介が
特徴的な地方。またNHKのBSなどで繰り返し
放送されているが、州都のサンティアゴ・デ・
コンポステーラ。欧州各地のカトリック信者の巡礼の
終着地であり聖地。また、バグパイプによく似た楽器が
あったり、ケルト民族の血を引く文化がある。
ここもまた、いつか行ってみたい。

そして、最初にも書いたが、イスラム文化が濃厚な
アルハンブラ宮殿のある南部のグラナダには
是非いつか行ってみなくてはいけない。

そして、バルセロナで書いたが、サグラダ・ファミリア
あれが完成した暁には、ゆっくり数日かけて見てみたい。
あれだけの厚みの、個人発進の芸術であり、近代の
カトリック教会は他にはない、まさに唯一無二のもの。
元気で生きているうちに完成形を見られたら僥倖である。

そして、今回の食べ物について。
[Akelare]で書いたが、欧州の食通好みの“高度”な
魚介料理がやはりどうしても馴染めない。
豊富にあったノーマルな庶民が食べる魚介はむろん
うまいのだが。また、これもなん度も書いたが、
マヨネーズ食文化。おそらく、日本人のほとんどが
馴染みがある味で、逆にスペイン人も日本のジャンクな
居酒屋メニューはすぐに馴染めそう。
アニメ、マンガだけでなくこれらも知ってほしい。

そして、食べ物でちょっと気になったこと。
なにかというと、アヒージョ、ajillo。
私もかなりの頻度で作るし、日本でパエリア同様、
最もポピュラーなスペイン料理といえると思うが、
各所のバルでも、今回まったく見なかった。
なぜであろうか。どちらかといえば、今回行って
いない南部の料理ではあったようだが、どこのバルでも、
ショーケースにあるものだけを食べており、メニューから
頼まなければ食べられぬメニューだったのかもしれぬ。
せっかくなので意識的にでも食べてみるべきであった。


つづく

  

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