浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



断腸亭スペインへ行く その26

引き続き、スペイン。
首都マドリッドの王宮にきていた。

王宮内部の見学、で、ある。

王宮に入って、階段。

あがると、ちょっと大きなホール。

王宮の外は、渋い、と、書いたが、流石に内部は
この様子。
壁には、大きなタペストリー。
日本の京都の祇園祭の山鉾に飾られている
ものを思い出す。
もちろん、こちら(イタリア?)のものなのでここに飾られているのは
当然なのだが。時代も、安土桃山から江戸初期と思われ、
ちょうどこの王宮が出来た頃と同じではなかろうか。

天井は、

金を使った細かい彫刻の装飾と、見事なフレスコの
天井画。

この王宮は、実際には今は王、フェリペ6世を始め、
王室の人々はここには住んでいないとのことだが、
なにか儀式、式典は王様の臨席がありここで行われるよう。

で、もうこの王宮はとにかく、でかい。
部屋数もものすごい。
もちろん、部屋にはそれぞれ歴代王、王室のストーリー、
謂(いわ)れ、があって、装飾もそれぞれ趣向を凝らし、
たもの。

また、王室コレクションの美術品、宝物も多数展示されている。
ちょっと目を引いたのが、楽器。あのバイオリン、
ストラディバリウスなどもあった。

現王家は、前にも書いたが、ボルボン、borbon(ス)家で、
フランス王家の出身。

ボルボン家の前があって、ご存知であろうか、あのハプスブルグ家。
もちろん、オーストリア帝国の。で、スペインハプスブルグ家に
世継ぎがなくなり、フランス王家のブルボン家からルイ14世
孫をスペインに入れ、フェリペ5世として即位させた。
もちろんスペイン継承戦争といって、オオモメにはなるのだが。

スペインハプスブルグ家の方は16世紀初頭からで、この時代が
ちょうど世界に君臨した大航海時代のスペイン黄金期に
あたるわけである。ちなみにスペイン語ハプスブルクは、
Habsburgo、アブスブルゴ。

で、ボルボン朝初代のフェリペ5世が各方面に認められ、
落ち着いたところで、この王宮が建設されたということに
なるよう。

で、ここ。

もう見たまま。
Salon del Trono、サローン・デル・トローノ、王座の間。

獅子、ライオンが複数配置されている。
ライオンは後ろに貼られている、王家の紋章にも入っている。
これはスペインに限ったことではなく、欧州で王を象徴する
のが、ライオンという。
中国の皇帝だと龍。そういえば、龍は、日本の天皇の象徴と
いってもよく、天皇の装束などにも入れられているようだが、
あまり強調されていないと思われる。天皇以外に使うことが
禁忌でもなく、神社の天井画などにもよく見られたりもする。
また、水の神、水神様の化身とも理解されている。これも
おもしろい。

また、この紋章。
今の王家の紋章でもあり、スペインの国章。
これ、ずっと同じなのかと思うと、そんなことはまったくなく、
王や時代によって、ガラッと変わっていたよう。それで、今の
ものは、フランコ死去後に立憲君主制時代のものとして
作り直した新しいものらしい。
これも日本だと、紋は家紋ともいうくらいで、時代によっても
多少違うし、複数ある場合もあるが、基本、家によって決まって
おり、代替わりしても変えないのが一般的であろう。天皇家
菊、徳川家は三つ葉葵だったり。
これはなぜであろうか。激動の欧州と比べれば変化の少ない
日本ということか。いや、そうでもないのか。日本の場合は、
表面的な体制維持志向が強いのではなかろうか。ご存知の通り
天皇自身が統治の実権を持っていたのは、長くみても平安
初期まで。ただ、まったく権限がなかったのかといえば、
将軍にしても形式上は天皇の任命という形を取っており、
統治の拠り所は天皇にあるとする体制が太平洋戦争敗戦まで
続いていた。権力を握ろうとする者にはその方が好都合であり、
国民も理解しやすく馴染める。それが表面的体制維持志向と。
いかがであろうか

閑話休題
見るべきものは山ほどあるのだが、適当なところで終了。
やはり、疲れる。
再び、前庭へ。王宮の大聖堂も見ることができるが、まあ、
もういいだろう。
もう、タクシーで帰ろうか、だが、ちょいと休もう。

来た道の坂を上がったところにある、外にテントを張った
ところにしてみようか。[Taberna De Ramales]タベルナ・
デ・ラマレスというよう。
タベルナはご存知の通り、スペイン語で居酒屋。デ・ラマレス
は、支店といった意味のよう。真意はわからぬが。
テーブルに掛けて、バルセロナで習ったように、荷物は
二人の間に椅子を置いて、そこに置く。

たばこが吸いたかったので、灰皿をもらえるかと、お嬢さんにいうと、
下に捨てろ、と。あれま、びっくり。そんなもの?。

とりあえず、ビールをもらう。

もう、お馴染み、Estrella、エストレージャ。
マドリッドだが、バルセロナのビール。
やっぱり、人気のよう。それからお通し、ナッツ。

時刻は、13時少し前。満席に近い。
ちなみに今日は9/18(金)。若者、家族、ほぼ皆呑んでいる。
別段休日でもなんでもない、はず。

段々、スペインの居酒屋事情がわかってきた。
このテントの前に店があって、そこのショーケースに
つまみ、タパスが並んでいて、それを見ながらオーダー。
言葉がわからなくても、問題ない。勘定は最後テーブルで。
今日は、内儀(かみ)さんのセンスでオーダーして
もらおう。

で、これ。

三つ。どれも下にパン。

真ん中が、いわゆるスペイン風オムレツ。
tortilla、トルティージャ。じゃがいも入り。
トルティージャは、メキシコへ行くと、タコスに使う
小麦かとうもろこしを焼いたあの、皮になるが。

右がくせ強、山羊のチーズ、上にはくるみとジャム。

左が、豚肉、で、あったか、私は忘れてしまったが
内儀さんによると、その上がいちじくではなかったか、と。
私は、あまり覚えていないが、内儀さんは今回のタパスでは
一番うまかった、よう。


つづく

  

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