浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



浅草・弁天山美家古寿司 その1

4806号

7月5日(土)夜

さて。

浅草[弁天山美家古寿司]、で、ある。

書いていないのが、一回分あるが、ちょっと
ご無沙汰。

この日記では、毎度お馴染みで、十二分に満足を
しているのだが。

浅草、特に仲見世、新仲見世、六区など中心部は、
もちろん古い盛り場なので、昔はもっともっと鮨やが
あったと思うのだが、私が浅草に住むようになった
20数年前には既に、ここ以外には、回らない、これ、と
いう鮨やは数えるほどであったと思われる。
今は、もっと少ないかもしれぬ。
その中で[浅草まぐろ人]などは大健闘といってよい
と思われる。

毎度書いているが、浅草は今は、内外の観光客で
ごった返すようになったが、平成の20年ほどの間か、
映画、演劇、芝居、寄席、戦前のミュージカルなどで
大賑わいであった六区興行街が映画の下火などで
めっきり人が減り、浅草全体から人が消え、夜も早くに
暗い街になっていた。
やはり、このあたりが境目であったのであろう。
そこそこ値の張る鮨やは地元の人間だけではもたなかろう。

今の東京の鮨やといえば、昔からの銀座、新橋、あるいは、
赤坂、あたりから、麻布、広尾、青山、さらに、目黒、と
いった、西へ、高級店、有名店が広がっている。

今また、浅草中心部によい鮨やができてよい頃では、
なかろうか。[浅草まぐろ人]のように気持ち手頃な
ところ、あるいは高級なところも。
やはり江戸からの繁華街浅草には街としてよい鮨やが
必要であろう。賃料やら地代も浅草は上がっている
かもしれぬが、生きのいい店を期待したい。

さて、今日は18時の予約。

タクシーを伝法院通りの交差点で降りて、向かう。

この時刻でも、人出も多いし、蒸すような暑さ。

ドアを開けて入る。
今日も予約で一杯のよう。

若親方にご挨拶をして、カウンターに掛ける。

瓶ビール、キリンラガー。

お通しはまぐろ佃煮。

先日、自分で作ったてみたが、やはりプロには
むろん勝てない。どうもちょいと生ぐさくなって
しまった。しっかり煮た方がよかったか。

つまみは?、と考える前に、

たこと、鰹がありますよ、と若親方。
なにか、決まってしまった。
もちろん、あればこの二つを頼むのだが。

鰹はともかく、たこは、このところあるが、やはり今、
東京湾のまだこは希少である。
江戸前の仕事を店で施す。
これをちゃんとやっている江戸前鮨やはどのくらい
あるのであろうか。
江戸前仕事を施すには、生のまだこが手に入らなければ
いけないのである。
北海道の水だこなどは、比較的生で流通しているのを
見るが、内地のまだこのほとんどが産地でゆでて
しまうのである。

きた。

甘いたれを塗った頭。
赤ではなく、ちょっと臙脂(えんじ)がかったような色。
ほろっと柔らかいのが江戸前仕事。

蒸し鮑をとせました、と若親方。

手前の二切れが蒸し鮑。
この季節、初夏のもの。
昔は蒸していたから、蒸し、あるいは塩蒸しといっているが、
今は柔らかくゆでて、ゆで汁をもう一度鮑に含ませる。
柔らかく、滋味深い。生のコリコリもうまいが、これが
うまい。上にのっているのは、鮑の肝だそう。
ちょっとほろ苦い珍味。

そして、鰹。

たたき。
辛子じょうゆ。
昨年は今頃でも秋のようにべら棒脂ののったもので
あったが、今年は例年通り、この時期の鰹であろう。
腹側は脂があるが、背側はさっぱりみずみずしい。
うまい、鰹、で、ある。

と、ここで、味噌汁を出してくれた。

海老の頭。
ここなので、もちろん甘海老などではなく、
車海老(さいまき海老)。
とても濃厚で、うまい。

ビールはここでやめ。
お茶に。

そして、にぎりに。

毎度書いているが、鮨やでだらだら酒を呑み
ながらにぎりをつまむのはやめるべきである。
昔からの東京の鮨やのマナーである。

いつも通り、いかと白身、から。

いか。

なかなかの厚み。
だが、やっぱり、すみいか、とのこと。
厚いから、堅いかと思うと、これが柔らか。
表面の歯応えもすみいからしい。
飾り包丁も入れてませんと、若親方。
この時期は産卵期で、大きく、堅いのだが、珍しい。

そして、鯛。

湯引きの皮付。
なかなかの厚みで、うまみにあふれている。

ここは皮を取る場合は、やはり昆布〆にするが
生だと、これ。


つづく


弁天山美家古寿司

台東区浅草2-1-16

 

 

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