浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



立ち喰い鮨・浅草まぐろ人・上野広小路出張所

4780号

5月27日(火)第一食

さて。
鮨だ、鮨を喰おう。

お馴染み[まぐろ人]の上野広小路

ここ、平日の午後の時間はすいていてよい。

今日は曇りだが、最高気温20.3℃(14時59分)。
カーディガンを羽織るくらいで、ちょうどよい。
よい気候かもしれぬ。

14時すぎ。
半分ぐらいの客の入り。一番奥へ。

ビールをもらう。

スーパードライ

まずは、いつも通り、いかと白身だが、
すみいかと、活平目から。

すみいかは、もうさすがに大きなものなのであろう。
包丁目を縦に入れている。
だが、それでプチっとした歯切れが心地よい。
平目は、なかなかの厚切り。

と。ん!?、
白身昆布〆と、ボードにあった。

頼もうとすると、平目と鯛がありますが、と。
じゃ、両方。

これも厚切り。
適度に水分が抜けており、うまい。

あ。ここ、また撮り忘れてる。
ここで、毎度お馴染み、かんぱちとしまあじを食べていた。
どちらもよい脂で、うまかった。

次は、光物三種。

〆鯖、鰯、鯵。
〆鯖はいつもより、少し強めの〆具合?。
いや、なんというのか、酢が強い、か。

鰯も鯵もうまいが、入梅鰯などといって、そろそろ、鰯が
うまくなるシーズン。もうちょい先、か。
ただ、黒潮次第、なのかもしれぬ、か。

光物残り、肝心の小肌、それから、貝類で、

煮はまと、平貝。

小肌も大きなものなのであろう。開いて横に切り包丁目を
入れたもの。ちょっと珍しいかもしれぬ。

平貝は生の貝類では最も好物。
このサクサクとした歯応えが堪らない。

煮はまは薄い味付けで、甘いたれ付き。

ビールはここまでで、味噌汁と、お茶。

味噌汁は浅利。出汁が濃い。

本来、にぎりの鮨というのは、酒を呑みながら食べる
ものではない。元来、腹を満たすためのもので、酒の
肴ではない。
にぎりというのは、にぎってもらって間髪を入れずに
食べなくてはいけない。これはうまいにぎりを食べる
ためには欠かせないことだし、鮨やでのマナーでもある。
誰かと話しながら呑んでいるとどうしても置きっぱなし
になってしまう。
これは、厳に慎むべきこと。池波先生の教え、で、ある。
(従って、鮨やは長居をするところではない。)

ただ、やはり一杯は呑みたい。が、一杯だけ、と
決めている。

さて、このあたりで、私はここでは軍艦の順番。
今日の品書きだと、季節的に(?)白子もないし、
軍艦種はそう多くはない、か。

数少ないところで、生しらす

うまい。
生しらすは、もちろん伝統的江戸前鮨の種ではない。
足が速く、生で食べられるものが東京に流通するように
なったのはごく最近であろう。
生しらすの最もうまい食い方は、もしかすると、
この軍艦ではなかろうかと思うのである。
酢飯にも合う。海苔との相性もよい。
これだけそのままつまむのももう一つであろう。
また、よく、産地では飯の載せ丼なぞにするが、
あそこまで大量に食べるものでもなかろう。

そろそろ終盤。
まぐろ仲卸経営のここの看板、もちろん、まぐろ。

ヅケと中とろ。

ヅケは白胡麻をパラリ。
意外にあまりこれ、あまり見たことはない、か。
気は心だが、ちょっとよい。

大とろもよいが、やはり中とろ。
まあ、ここなので、おそらく近海の生、で、あろう。
瑞々しさが違っている。

やっぱり、うまい。まさに堪えられぬ。
こういうものを食べると、まぐろを食べるようになった
ことに、感謝をしなければいけなかろう。

まぐろを食べるようになったのは、さほど古くはない
というのは、ご存知であろうか。
まぐろというのは、実は、足が速い。
冷蔵設備がなかった江戸期には、基本狙って獲っては
いなかったと思われる。獲れてしまった場合は、
記録に残っているが、日本橋の魚河岸にあがり、
江戸中の話題になっていたりする。生だと、売り切ら
なければいけないので。(太田南畝先生の日記である。)
残ってしまった場合は、塩漬けにして、長屋の庶民が
食べる安いものであった、と。(塩を抜いて食べる。)
ヅケがその次で、幕末。これは赤身だが、しょうゆに
漬ければ少し日持ちがする。トロを食べるようになった
のはさらに後。明治に入ってから。それも後期か。

最後もここはまぐろで、やっぱり鉄火巻

うまかった。
ちょっと食いすぎたか。
勘定は5,000円台になってしまった。
ご馳走様です。

 

浅草まぐろ人

台東区上野4-4-1

 

 

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