浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



ハンバーグの店・モンブラン・浅草店

4780号

5月23日(金)第一食

さて。
先日、鳥越神社そばの洋食[一新亭]へいったが、
ここを思い出した。

浅草の[モンブラン]。
言わずと知れた、ハンバーグの店。

ここも、もちろん、洋食や、といってよいだろう。

なん度も行ってはいるが、あまりにも有名で、
最近は列もあり観光客向けになっていると、ちょっと
足が遠のいていた。

場所は、雷門通り。
そばや[尾張屋本店]の並び。

浅草には、先日[一新亭]の所でも書いたが、洋食やは
伝統的に多い。だがどこも最近は観光客ばかりで、満席。
これまた足が遠のいている原因であった。

モンブラン]の創業は、昭和54年(1979年)。
老舗がひしめく浅草の洋食やとしては、決して古くは
ないだろう。

昭和54年頃の浅草といえば、どんな様子であったろうか。

以前に六区にあった「松竹演芸場」について

調べたことがあった。
ここが閉館したのが、たまたまだが、同じ昭和54年。

この時期に店を開いた、というのは、なぜかと少し
疑問に思った。

浅草という町は、それこそ江戸初期から浅草寺門前町
盛り場として、長く栄えてきた。
最盛期といえば、明治末から大正、戦争までと戦後しばらく。
特に、六区の興行街の賑わいであろう。六区は戦前は押すな
押すなの満員電車状態であった。
見世物、芝居、寄席から始まり、浅草オペラと呼ばれた
大衆歌劇、そして、映画。東京一、いや日本一の
エンターテインメントの街といってよかっただろう。
このあたりのこと、多少詳しく書いている。

戦後になって、焼け跡から復活。当初は時代もあり、
元祖断腸亭永井荷風先生も通ったストリップも盛り上がり
を見せたが、その後の浅草の賑わいを牽引したのは
この「松竹演芸場」といってよいのではなかろうか。
次第に映画はTVに取って代わられるようになり、
六区の通りに軒を連ねていた映画館もぽつぽつと
閉じ始めていった。
「松竹演芸場」は、といえば、萩本欽一坂上二郎
コント55号、これが初出演昭和41年(1966年)。その後、
昭和51年(1976年)初出演のツービート(ビートたけし
などなどで、かなりの賑わいを見せていたのだが、
昭和54年(1979年)に閉館。
客が入っていながら閉めるというのは、妙ではあるが
東京の松竹が演芸場経営から撤退という意味があったかも
しれない。
その後、映画館は平成24年(2012年)を最後に浅草から
完全になくなった。
この「松竹演芸場」閉館後の20年、30年が、浅草の
もっとも苦しい時代であったのではなかろうか。
夜も早かった。20時にはシャッターが降り、街はもう
人気(ひとけ)もなかった。

モンブラン]で、あった。
そんな時代に人気店、有名店になっていったこの店は
なかなか凄いといってよいだろう。
浅草の洋食というのは、その前の歴史があるので
基本、安くはないのだが、ここは、まあ、安くはないが
他の街と比べても、準的といってよいだろう。
これもこの時代だからであったろう。

浅草はその後、下町ブームで多少復活、そして中国などの
外国人観光客の増加、コロナ禍はあったが、開ければ
また今、内外の観光客でごった返すようになっている。

ということで[モンブラン]にきてみた。

15時少し前。もうすき始めているだろう、と。
さすがに列もない。
だが入ると、テーブルはほぼ満席。
なかなか広い店。カウンターもあって、ここにあきが
あった。
カウンター奥に掛ける。

ここ、ハンバーグの数がかなりある。
もちろん、ソース違いだが、フランス風デミグラス、オランダ風チーズ、
ロシア風ブラウンソース、和風、おろしオニオン醤油、メキシコ風
ピリ辛トマトソース、イタリア風ピリ辛トマトとチーズ、カレー、
ハンバーグシチュー、計8種。
で、これらが目を引くし今まで、これらを食べてきたが、
メニューをよく見ると、洋食やの定番のものも少なからず
揃えている。ビーフステーキ、ポークジンジャー、エビフライ、
ビーフカツレツ、ビーフカレー、サラダ、ポタージュ、などなど。

で、どうしたのか。さすがにハンバーグを食べたいのだが
定番のフランス風デミグラスで、カレーライスの
セット、1,650円也。

きた、ちょっと小さめのカレー。

味噌汁付き。

フランス風デミグラスのハンバーグ。

撮り忘れていたが、この前に小さな冷奴が付いていた。
まさに定食。

鉄板ハンバーグ。

ハンバーグから。切る。
なかなかすごい、いわゆる肉汁。

そして、デミグラス。これ、かなりうまい。
苦み少なめ。飯に合いそう。

やはりここ、ハンバーグはいろんなものがあるが、これが
正解であったのではなかろうか。やはり、ちゃんとした
洋食やだった。

そして、カレー。
ん!。
これも、おそらくベースは同じデミグラスソース。
辛みはほぼない、マイルドなカレー。
十分、うまい、洋食やのカレー、と、いって
よいであろう。

なるほど、そうであったか。

これもまた、ちょいと目から鱗
数の多いソースに惑わされて、いろんなソースに
行ってしまうが、王道でよかった、のである。

うまかった、うまかった。
腹一杯。

ご馳走様でした。

 

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