浅草在住、断腸亭錠志の断腸亭料理日記はてな版です。(内容は本店と同じです。)

断腸亭料理日記本店



カレー・デリー上野店

4778号

5月20日(火)第一食

東京の最高気温、31.1℃(14時13分)。

暑くなった。
今シーズン初めての真夏日

ただ、最小湿度41%(13時34分)。

日差しは強いが、日陰に入れば
多少すごしやすい。

今日は、買い物もあって、バスで上野方面。

特に、考えてきたわけではないのだが、
思い付いたのは[デリー]。

暑くなってくると、やっぱりカレー、で、あろう。

上野御徒町界隈というのも、カレーやが多い。

これは、これはこの界隈、宝飾、貴金属関係の店が多く、
宝石といえばインド、スリランカ。そちらの人々の店も
多く、また、必然的に、多く拙亭近所あたりまで多く
彼らが住んでいる。

御徒町界隈で宝飾店が増え始めたのは、おそらく戦後。
きっかけとすれば、闇市が直接的ものなのであろうが、
それ以前、戦前、さらにその前から、背後になる元浅草、
小島、竹町、といったあたりで、錺物(かざりもの。
かんざしだったり、わかりやすいところだと、神輿の
金属の飾り、のようなもの)と呼ばれた、金属の細かい
細工物の職人達が多くいたことが、背景になっていると
思われる。ちなみに、池波先生の育たれた元浅草の家は
錺物職人だったお祖父様の家である。

ともあれ。
宝飾関係のインド、スリランカ方面の人々が多く
いるとなると、当然、そちらの食べ物であるカレーやも
多くできる、というわけである。

ただ[デリー]の創業は、昭和31年(1956年)で、
インド系のカレーやとしては、東京でも古い方であるが、
創業者も日本人で、上野御徒町の宝飾関係の人々由来の
ネイティブ系カレーやとは無関係といってよい、
のであろう。

日本人が作ったインド系カレーなので、日本人に
食べやすくなっている。
ともすると、現地至上主義という考え方がある。
ネイティブ人が作ったネイティブな味でなければ、
スパイスカレーとは言えないといった考えである。
まあ、それはそれでわからぬこともない。私も
そういう意味で自分自身で若い頃からスパイスカレーを
作っている。
ただ、年のせいか、あまりにきついのは、最近は
たくさんに思うようになってきた。
辛いだけでなく、複数種の強いスパイスの組み合わせ
で、ある。

ここ、ことによると列になることもあるが、
今日は14時頃、問題なし。
だが、入るとほぼ満席。
運よく、出る人があり、手前のテーブルに掛けられた。

ここ、かなり狭い。
奥に長いが、カウンターと二人掛けのテーブル2、3。
両側埋まると、間を通れないほど。

ここは、私には、カシミールカレーの店なのだが、
やはり、いつもの通り、飲み物とサラダ、タンドリーチキン
などにカレーが入ったセットにしよう。

飲み物はビールで、カレーは迷わずカシミール

ビール。

サラダ。

このドレッシング、ちょっと変わっている。
おろし玉ねぎにレッドペッパーなのか。
また、その他のスパイス、レモンなども入っている
のかもしれぬ。ちょっと複雑な味。

そして、スープ。

名前はラッサムという。
マッシュルーム、玉ねぎ。トマトベースなので
あろうが、これはスパイシーだが酸味も強い。
この酸味はトマトだけではなくタマリンド
ただ、ネイティブ系に比べれば、日本人の許容範囲。

そして、タンドリーチキン。

ポテサラも添えられている。
黒っぽい粒は、クミンか。

一般のネイティブ系の店のタンドリーチキンはもっと
水分が抜けている、硬いものが多いと思うが、ここのは、
しっとり、柔らか。もちろん、脂もあり。
これが、うまいと思うのである。

そして、真打。

カシミールカレー
赤黒い色。
入っている具は、大きなじゃがいもと鶏。

この店で、最も辛い。
ただ、さらさらでホールのスパイスは入っておらず、
なにかが突出しているわけではないので
極辛だが日本人に食べやすい。
ただ、香りは複雑で、うまみも強い。
これも、ポイント。
もちろん、ただ辛いだけではない。
でなければ、こんなにクセにはならぬであろう。

日本米だが堅くパラパラに炊かれているご飯もよい。

もうなん回これを食べているであろうか。
当初はもう辛くて、汗だくになっていたが、
どういうわけか、この頃はあまり汗をかかなくなった。

辛さに慣れてしまっているということもあるかもしれぬ。
また、代謝が落ちているのかもしれぬ。

ただ、これを食べると、頭がボーっとしてくる。
この、ボー、が心地いい。

これは以前も今も変わらない。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。


デリー

文京区湯島3-42-2
03-3831-7311

 

 

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