4769号
5月4日(日)
さて、歌舞伎、で、ある。
5月の歌舞伎座。
どのくらいの方が、ご存知なのであろうか。
一応、ニュースで多少は取り上げられていたのだが。
ただ、そうそうメジャーな話題でもなかいかもしれぬ。
大谷翔平がパパになったニュースよりはまあ、おそらく
知らぬ人はずっと多かろう。
なにかというと、表題、八代目尾上菊五郎の襲名がなされ、
その披露興行がこの5月の歌舞伎座から始まった。
尾上菊五郎は、市川團十郎と並んで歌舞伎界の大名跡、
ビッグネームと、いうのは、まあ知っている人は多い
かもしれぬが。やはりこの状況は寂しい。
ともかくも、やはり見届けるべきであろうと、4日、
夜の部に行ってきた。
襲名披露なので口上があり芝居は「弁天娘女男白浪」
(べんてんむすめめおのしらなみ)など。
これもまあ、ご存知。
菊五郎といえば、この芝居、かもしれぬ。
夜の部は16時半開演。
三越の地下で[弁松]の弁当を買って、歌舞伎座まで。
今日もよい天気。
劇場前は、お祝いムード。
人力車のタイヤには、志(し)ら浪。
もちろん、夜の芝居にちなんだもの。
ついている若い衆の半纏は、襟に音羽屋と入り、裾に音羽屋の
柄の斧琴菊(よきことぎく)、背中は上に音羽屋の紋と、下は
松竹の紋。
音羽屋というのは、もちろん、尾上菊五郎家の屋号。
この他の、男性係員もすべてこの半纏姿。
通常の芝居であれば、松竹もしくは歌舞伎座の紋のみの入った
ものを着るが、形式上は、音羽屋と松竹の共催芝居ということ
なのであろう。
入ると、襲名披露祝いの引幕。
存在感はあるが、ごてごてせず、さわやか。
題は「雲上富士」。ちなみに田淵俊夫という著名な日本画家の
もので、祝ったのは音羽屋と縁の深い木場の老舗木材会社[長谷萬]
というところのよう。「日本一高い山を目指して、親子でこれからも
一生懸命頑張ります。」と新菊五郎のコメント。(スポニチ)
親子というのは、八代目菊五郎だけではなく、子息の菊之助襲名の
ことを言っている。
席は、連休少し前に取ったのだが、さすがによい席はなく、
前の方だが花道の下手(舞台に向かって左)側。
ただ、連休中なのに売り切れていないのも寂しいか。
演目と配役を書き写しておこう。
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松竹創業百三十周年
尾上菊之助改め 八代目 尾上菊五郎襲名披露
尾上丑之助改め 六代目 尾上菊之助襲名披露
團菊祭五月大歌舞伎
夜の部
一、義経腰越状(よしつねこしごえじょう)
五斗三番叟
五斗兵衛盛次 松緑
錦戸太郎 坂東亀蔵
伊達次郎 種之助
亀井六郎 左近
泉三郎忠衡 権十郎
九郎判官義経 萬壽
八代目尾上菊五郎
二、襲名披露 口上(こうじょう)
六代目尾上菊之助
河竹黙阿弥 作
三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
浜松屋見世先の場より
滑川土橋の場まで
〈浜松屋見世先〉
弁天小僧菊之助 菊之助改め八代目菊五郎
日本駄右衛門 團十郎
南郷力丸 松也
浜松屋倅宗之助 萬太郎
番頭与九郎 橘太郎
狼の悪次郎 片岡亀蔵
鳶頭清次 松緑
浜松屋幸兵衛 歌六
〈稲瀬川勢揃い〉
弁天小僧菊之助 丑之助改め菊之助
忠信利平 亀三郎
赤星十三郎 梅枝
南郷力丸 眞秀
日本駄右衛門 新之助
〈極楽寺屋根・滑川土橋〉
弁天小僧菊之助/伊皿子七郎
菊之助改め八代目菊五郎
日本駄右衛門 團十郎
狼の悪次郎 片岡亀蔵
関戸の吾助実は大須賀五郎 九團次
岩淵の三次実は川越三郎 市蔵
青砥左衛門藤綱 七代目菊五郎
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襲名披露の興行なので、いわゆる口上、というのが
真ん中にある。
裃姿の本人と幹部、関係者が舞台にずらっと並んで「隅から
隅までずずずい~、っと、御願い上げ奉ります」というあれ。
でその後は皆さん、ご存知、菊五郎お家芸「知らざぁいって
聞かせやしょう」の「弁天娘女男白浪」。
で、口上の前の一幕目。
「義経腰越状」五斗三番叟、というもの。
幕が開いて、しばらくして、あれ?。
いつまで待っても、今日の襲名の主人公、菊五郎は
出てこないのである。筋書で確認してもやっぱりこの芝居には
出ない。はて、そんなことがあるのか?。
つづく
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