さて。昨日は、地方活性化の一つの例として、昨年9月宮崎で
行われた音楽フェス、日向坂46の「ひなたフェス2024」に
ついて書いてみた。誰もほめないので、私がほめたわけだが、
ここまでやった例は、そうそうない。またやれといっても、
難しいかもしれぬが。
ともあれ。私がファンであるということを差し引いてみても
ひなたフェス、音楽フェスの地方活性化例として、評価される
ものと考える。
一般には、音楽フェスは地方でも苗場だったり、大阪万博
記念公園と大阪市内だったり、やはりアクセスのよいところで
行われているものが多いよう。また、コロナ期であったか、
飲酒が行われ問題化していたものもあった。
運営団体により、玉石混交。全体としても地域おこしに
なっているかどうか怪しいのかもしれぬ。
一方、音楽ではなく、映画祭のようなものもある。
北海道の夕張だったり、地方の映画祭というもの複数
行われている。
その地域に合い、かつキャッチーなテーマでイベントを開き、
全国から人を集め、活性化を図ることが可能なのであろう。
が、これ、発信力があり、人を集められる主催者、発起人
のような人がおそらく必要で、こういう応援者を見つけ
られるかが、鍵かもしれぬ。
また、最近は、聖地巡礼の発展形というのか、アニメや
コミックの舞台となったところが、これで活性化し、
ガールズバンドアニメ「ラブライブ!」シリーズの
沼津市など移住者まで出てきている例もある。
どちらかとえば、ファン主体で地元はなんのことやら、
わからないところから始まっているようだが、地元と
トラブルなく、双方よき形で盛り上がるのはよいこと
である。ただ、ヒット作品があって初めて成立すること
なので、最初から意図してできないものでもあろう。
意図して作っても、おそらく思ったほどうまくは
いかぬであろう。このあたりが、日本の“オタク”
文化の妙である。コミック、アニメなどやはり国が
支援しようとしたことがあったが、なにかやっぱり
ピンとこない。作る方も見る方も、好きで勝手に
やっていることで、支援されても響かないはずである。
いや、もっといえばむしろ放っておいてほしいのでは
なかろうか。彼らには自由にやらせることが最大の
支援であろう。
一方、聖地巡礼が行きすぎると、特にここ数年、外国人
観光客が増加し、マナーのわるい人々により、交通の
麻痺、彼らが出すごみ問題など、地域とのトラブルが
出てきている。(外国人観光客問題は、地方に留まらぬ
ことなので、ここではこのくらいにする。)
さて。地元とのトラブルということでは、地域おこし協力隊
問題というのがある。
ご存知であろうか地域おこし協力隊。
NHKのクローズアップ現代で取り上げられていた。
これは、総務省の旗振りで行われているもので、地域おこしの
ために、手を挙げた若者が、地方の市町村へ派遣されて最長3年
従事するというもの。地域おこし協力隊
東京なり、街で育った若者が、志と夢を持って、地方の活性化に
役に立ちたいと赴く。
これ、趣旨はとても結構なのだが、トラブルが頻発している
ようなのである。
結局、とうの本人と、派遣される自治体と一対一で行われ
様々なコミュニケーションギャップが生まれているよう。
また、やはりコミュニケーションギャップは、地元住民との
間でも起こっているという。
派遣される若者は、思っていたのと違っていた、と。
なにをしてほしいのかは、自治体任せなので、内容が実に
様々。移住してくれるだけで、なにもしなくてよい、いや、
してくれるなと、いうところもあったり、逆になにか
特定の仕事要員、単なる労働力として考えられて、自由に
動けない、という人も。
また、農漁村などへ派遣されるわけだが、年嵩の、おじさん、
おばさんが相手で、まあ、そうそう価値観は新しくもない
わけである。パワハラ、セクハラ、あたり前、のような。
容易に想像できそうである。
街で育った若者には、かなりのギャップであろう。
地方の人は、素朴でみんないい人、?、そんなわけは
ないのである。田舎はユートピアではない。
まさに異文化なのである。異文化とコミュニケーションする
くらいのつもりで行かねばならない。
私なども社会人を30年もしてきたし、知らない人とどのように
コミュニケーションを取るのかは学んできた。また、
民俗学を学んでもいる。民俗学などで、伝統的ムラやマチに
調査に入る場合、参与観察などというが、こちらの意図なり
意思といったものは、まずはまったく無にし、相手の言って
いることを、そのまま聞き集団に溶け込む。それから
でなければ、始まらない。相手の理解はできない。その上で、
やっとなにかできる。
訓練されたわけでもない20代、30代の若者がそうそう簡単に
できることではないのはよくわかる。
やらせる方も、やらせる方であろう。乱暴すぎる。
また自治体まかせも乱暴である。自治体も人手不足で細かく
考えて対応できていないのが実情のよう。
まさにお役所仕事。箱だけ作って中身なし。むしろお互い
傷だけ残る結果になっていないか。
40、50歳以上であろうか、そのくらいになり、地方へ移住
する人は、ある程度理解でき、馴染めるかもしれぬ。
もちろん、若くとも理解できる人はあろうが。
趣旨はよいのだが、地方活性化に付きまとう、どこでも
起こっていそうな、共通の課題かもしれぬ。
さて、さて。
2月に行ったイタリア旅行から、そこで気になった、日本の
地方問題。長々書いてきてしまったが、キリがよいので、
この辺で終わりにしよう。
二度目のイタリアは、一言でいえばよかった。私が
カトリック信者であることも理由の一つだが、食い物、
硬水、いろんな意味で文字通り水が合っていた。
(そういえば、ローマ教皇・パパ様が亡くなられた。
滞在中も毎日イタリアのTVでは健康状態を伝えていた。
カトリックの場合はご冥福を、とは言わぬ。帰天、天に
召されたので、よいこと、と考える。)
そして、我が国の地方問題。
国としての多様性、イタリアの例にあるような地域の
文化やアイデンティティーを大切にし、地産地消を
よしとする、ことにしても持続可能性を高めるために
絶対に必要である。地方の底上げは、国としての底上げに
もちろんなろう。結果、東京一極集中の解消になればよい。
だがまあ、いろいろ見てきたが、これ、といった、決定的な
解決策は、おそらくないというのも事実であろう。
みてきたように、国策として東京一極集中をしてきたのだから、
やはり国策として強力に支援すべきであろう。
どうも我が国政府、官僚なのであろうが、は、民間に
肩入れをすることに、どこか歯止めを掛けるくせがある。
韓国の例をみても、ある意味、この分野はそれを取り払い
特別キャンペーンをして然るべきではなかろうか。
石破さんはかねてから地方創生を看板にしてきた。
トランプ政権に対峙せねばならぬし、山積する目先のことも
なんとかせねばならぬ。そもそも政権が続くのか甚だ心もとない。
だが、もう一度、地方創生にヒト・モノ・カネを集結させる特別
キャンペーンを強力に掲げてはどうであろうか。(数年期限を切って
特定の数値目標を定め、例えば、ある地場産品の海外売上○○億円、
などなど。)ともあれ、地方をなんとかせねば。
以上ここまで。
長々お付き合いをいただいた方々に、感謝。
断腸亭
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